褒めまくる映画伝道師のブログ

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映画 マルコムX(1992) 最も過激な黒人解放運動家

2010年08月17日 | 映画(ま行)
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 僕が学生の頃、アメリカでロサンゼルス市警の白人数人が全く罪の無い黒人を警防で滅多打ちにしている映像を見た時はかなりショックだった。
 そのシーンが今回紹介する映画マルコムXの冒頭で出てくる。

 新作を発表する度に問題作を連発するスパイク・リー監督の、最も評論家、観客を賛否両論の渦に巻き込んだのが今回紹介するマルコムXだろう。
 とにかくドゥ・ザ・ライト・シング、ジャングル・フィーバー等、この時代のスパイク・リー監督の作品は黒人をテーマにした作品が多かった
 しかし、今やアメリカでも黒人が大統領になる時代。彼の作品も黒人をテーマにした作品から幅広いジャンルの映画を撮るようになった

 クライブ・オーウェン演じる知的犯が印象的な傑作サスペンス映画インサイド・マン、そして刑務所行きまでの1日を描いたヒューマンドラマの25時、そして戦争ドラマを通して人種、宗教、国家のことを考えるだけでは平和はやってこないかのような奇跡が連発するセントアンナの奇跡など最近は幅広い分野の映画を撮っているが、彼の映画には社会性が常に付きまとう

 そんな黒人の人種偏見を描き続けていたスパイク・リー監督の最もパワーあふれる映画が今回紹介するマルコムX
 内容はタイトル通り黒人解放家のマルコムXを描いた映画黒人解放家といえばキング牧師が有名だ。キング牧師は白人との融合によって黒人差別問題を解決しようとした。
 しかし、同時代を生きたマルコムXは白人に対して非常に攻撃的で、その黒人差別問題の解決方法は大きく異なる。”白人は悪魔”とまで叫ぶマルコムXとは如何なる人物か?、そんなマルコムXの理想とした黒人の世界とは?
 それではスパイク・リー監督の渾身の力作マルコムXを紹介しよう

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 マルコム・リトル(後のマルコムX)は牧師をしている父親がいるが、そんな父親が過激黒人差別者によって殺される
 前半はマルコムX(デンゼル・ワシントン)の青春時代が描かれる。



 マルコムX(ワシントン)は将来弁護士になる夢を持っていたが、先生から黒人は弁護士になれないと言われ、彼は電車の食堂で働くことになるがニューヨークにおいて黒人ギャングのアーチー(デルロイ・リンドー)の子分として強盗を繰り返していた。
 その頃のマルコムX(ワシントン)は友達のショーティー(スパイク・リー)と一緒に遊んでいて、白人の女と遊び、またヘアースタイルも黒人特有のチリチリのへヤースタイルを白人のように髪の毛を伸ばしていた
 しかし、マルコムX(ワシントン)とショーティー(リー)は強盗罪などで捕まり懲役8~10年の刑を受けてしまう。

 そんな刑務所生活においての同じ黒人であるべインズ(アルバート・ホール)との出会いが、マルコムX(ワシントン)の思想に大きな影響を与える

 マルコムX(ワシントン)は黒人にはキリスト教ではなく、イスラム教こそ絶対的な教えだと考え、さらに黒人を差別してきた白人こそ悪魔の対象だと考えるようになり、そしてネーション・オブ・イスラムという黒人、イスラム教至上主義の団体の指導者であるイライジャ・ムハンマド(アル・フリーマン・Jr)の存在を知ることになる



 マルコムX(ワシントン)は刑期を終えると直ぐにネーション・オブ・イスラムに入信する。
 彼は栄養士を目指していたベティ(アンジェラ・バセット)と出会い、結婚するがマルコムX(ワシントン)はアメリカ各地を演説で回り多忙を極めていたために、なかなか妻のベティ(バセット)と一緒に過ごす時間が持てなかった。

 マルコムX(ワシントン)の演説は白人に対する誹謗がエスカレートしていき、また彼の誹謗の対象は白人と融和路線を取ろうとする黒人運動家にも向けられる。
 ネーション・オブ・イスラムの中でマルコムX(ワシントン)の存在は大きくなり、マスコミは彼のことを騒ぎ立て、またネーション・オブ・イスラムの中でも彼を疎ましく思う者も出てきた

 マルコムX(ワシントン)はわが父とまで尊敬していたイライジャ・ムハンマド(アル・フリーマン・Jr)が自らの女性秘書に手を出し、妊娠させていた事実を知る彼はイライジャ・ムハンマド(アル・フリーマン・Jr)に対して大きな失望感を持ち、ネーション・オブ・イスラムを脱退する。
 そんな彼にネーション・オブ・イスラムのメンバーから家に火炎瓶を投げられたり、命の危険性を感じるようになった。

 マルコムX(ワシントン)はイスラム教者としてサウジアラビアのメッカへ巡礼に行く。
 マルコムX(ワシントン)がメッカで見たものとは、白人も黒人も肌の色など関係なく衣食住を暮らす姿。
 
 マルコムX(ワシントン)は白人を誹謗する事を止めて、まずは黒人同士の争いを止めて新しい黒人解放運動家としての道を模索しようとするが・・・果たしてマルコムXの描いていた黒人の世界とは?人種偏見問題を考える上でも見て欲しい映画です

 白人は悪魔、白人が銃で襲ってきたら銃で対抗せよ、ケネディ大統領の死に対しても"自業自得”だと言い放つマルコムXの痛烈な言葉の数々
 白人だけでなく彼は本来自分が産まれたアメリカという国家に対しても痛烈な言葉を投げる。黒人の祖国はアメリカではなくアフリカなのだ。
 まさに黒人原理主義とでも言えそうな彼の黒人解放運動家としての言葉からは決して褒められる思想だったとは思わない。
 しかし、黒人がアフリカから奴隷として連れてこられて400年間ずっと白人に媚びていたことは事実であり、そんな黒人に対して勇気、アイデンティティを与えたのがマルコムXであることは事実である。

 しかし、マルコムXが人間が肌の色で争う事の馬鹿馬鹿しさに気付いた時に、黒人に殺されてしまうとは・・・歴史というものが英雄に対して味方をしない事を改めて感じる。いつも長生きするのは凡人なのだ。
 
 そしてマルコムXを演じたデンゼル・ワシントンが、彼にそっくり
 この時既にグローリーでアカデミー助演男優賞に輝いていて、実力は認められていたが本当のスターダムに登りつめたのがマルコムXからだろう
 
 オープニングから非常に迫力のある構成になっているが、本編に入ってからの前半が少し中だるみするのが欠点だが、途中からの迫力ある映像はスパイク・リー監督のパワーが炸裂した映画です

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