昨日(7日)の朝日新聞「ひと」の欄に『チヌ釣り愛好会会長を務める車いすのセミプロ釣り師』という方が紹介されていた。
仕事中の事故で下半身不随となったが「釣りなら手があればできる」と新しい夢に据え、中でもチヌ(クロダイ)釣りに狙いを定めた、と紹介されている。
私は小学校時代に近くを流れる荒川の支流や池でフナ釣りくらいはしたが、成人するまで釣りを趣味とすることはなかった。
それが社会人の第一歩が大分県南部にある工場内の研究所であり、工場が面する入江を始め県南部一帯の海は九州でも海釣りのメッカであった。工場には釣友会があり、すぐそれに加入し、釣り船に乗って海釣りの趣味がスタートした。
船釣りでは主にタイ、アジ、イサキ、カワハギ、キス、カサゴ、タチウオ、イカなど、突堤釣りでチヌ(クロダイ)、メバル、投げ釣りでキス、カレイなどが釣れ、釣りの目的としない、いわゆる「外道」と呼ばれるものとしてウマズラハギ、ウミタナゴ、ベラなどが釣れた。もう本当に魚種に富んだ海域で、一年中何かが釣れる海の百貨店であった。
この中で一番珍重される魚種はチヌであろうと思う。新聞に登場した方も「チヌ釣り愛好会会長」とある。私は港の突堤からのチヌの夜釣りを始めたが、最初の日はボーズ(何も釣れず)で帰宅したら家内から「本当に釣りに行ったの?いい人の店に飲みに行ってたんじゃないの?」と皮肉られた。2晩目は見事40㎝超の収穫で、その後それを越えるチヌを釣ったことはついぞ無かった。まさに「ビジナーズラック」である。
海釣りには危険も伴う。釣友会の釣り会では船が暗礁に乗り上げて浸水を始めたり、同じく暗礁で舵が折れて全く方向のコントロールがつかず海上をさまよったこともある。いずれも船上の全員の顔が真っ青になった。
島から通っている私の同年の従業員にして工場内では最も海域の地形に詳しいことで知られる釣り友と2人でイカの夜釣り行った時、濃霧に巻かれて灯台の明かりが全く見えなくなり、真夜中の海で夜明けを待った。(当時、小舟には方向計など付けていなかった)
そのほか、沖釣りでヒヤリとした例は数多くあったが、それで「もう釣りはやめよう」と思ったことは一度もなかった。
さて釣って来た獲物だが、家内はどれも嫌がることはなく、むしろ喜んで捌いて食卓に載せてくれた。中には奥さんが生臭い魚に触るのもイヤで、釣って帰っても料理をしてもらえないという釣り仲間も少なくない中、私はその点幸運であったと思う。
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