ジャパンライフ(以下J社と呼ぶ)という会社で磁気商品を使ったマルチまがいの商法をしていた同社元会長の逮捕が大きく報じられている。
J社は磁気ベストや磁気ネックレスを「1次顧客」に売り、それを預かって「2次顧客」にレンタルするのを商売としていた。1次顧客からの商品代と2次顧客からのレンタル料を売り上げ、1次顧客には年利6%の配当を支払う商売だが、2次顧客が思ったようには無いのに1次顧客へ高額配当をエサに商品の売り付けを拡大して行った。
配当支払いの原資となるレンタル料が入らないのだから、いずれ行きつくことは目に見えている。マルチ商法そのものである。そして3年前に倒産、その後警視庁が特定商取引法違反容疑でJ社を調べていたが、この18日山口元会長らが詐欺容疑で逮捕された。
「J社は高齢者を中心に延べ約1万人から2100億円を集めた」とされ、負債総額2000億円、債権者は7千人と報じられている。大事件なのである。
7千人もの人たちが、1人平均3千万円近い被害を被っているのだ。巨大な詐欺事件である。
ところでこの事件、実は私も「1次顧客」としてのターゲットにされたことがある。会社定年後に中国で日本語教師を勤め、帰国して間もなくのことであった。市内で市民活動者を中心にした交流会が開かれ、その中によその市から紛れ込んで来た私と同年輩の男性が何くれとなく話かけて来た。名刺を交換したがその後捨てたのでどんな肩書きだったか覚えていないが、勿論怪しまれるような風情や名刺ではなかった。二次会の懇親会に移ると私の側に着いて「ここの人たちはつまらない人ばかりだ。私は友達に恵まれて一緒に楽しく過ごしているが貴方ならその仲間に紹介したい。旅行したり、ゴルフをしたりいい仲間と楽しく過ごしませんか」とささやくのだ。
その後一度会ってはっきり分からないがビジネスのような話と”楽しい仲間”の話をした後、分厚い冊子が送られて来た。磁気商品の愛用者の全国の数十名の称賛の声をカラー写真とともに載せた分厚く豪華なカタログ状の冊子であった。
私はここで気が付いた。「こんな仕掛けは怪しい。まっとうなビジネスではない」と。そして、今後一切の接触を断つ旨の書状と共に冊子を送り返した。
今回の逮捕劇の報道でJ社の客を誘い込む手口などが明かされているが、なるほどと分かる。私は早めに気がついてラッキーだったのかも知れない。