日本人のグループで日本に関係ある建物を見学に行きましたが、みんな一様に「えっ!」と驚いていました。「まるで拘置所のようだ」「要塞みたいだ」 という人も。では、ここでクイズです。この建物はいったいなんでしょう?
実はこれ、2年前にモスクワ市街地北部に新設された日本大使館なんです。夕方だったので日の丸の国旗は掲揚してありませんでしたが、正面の建物の上部に菊の紋章がありました。看板もちゃんとかかっていました。
しかし、四角い鉄筋に囲まれ、窓が少ない構造は、どうみても治安関係の施設にしか見えません。大使館といえば「日本の顔」ですが、日本文化のかけらも感じられません。あとで大使館員に聞くと、設計された頃は在外公使館が襲われたり、電波ジャックされたりする事件があったからだそうですが、だからといってこれじゃ、守りに徹した建物としか見えません。
日本大使館は地上5階地下1階建てで、延べ床面積は1万6500平方㍍。総工費は93億円とのことで、日本の在外公館では在米国大使館に次ぐ規模だという。02年の着工当時、地下プールやサウナ、テニスコートまで計画されていて、「豪華すぎる」との批判を受け、計画を一部変更した大使館ですが、こんな外観だとは思いませんでした。
私は90年代に特派員としてモスクワに赴任し、家族とともに6年間住んでいましたが、大使館から耳にたこができるくらい「強盗や物取りに襲われないように注意しなさい」といわれました。とくに女性に対しては「地味な服装にしなさい」との指示が出ていたそうです。ところが、ロシア人は子供でもネックレスやイヤリングをしているので、日本人の奥さんたちは「地味な服装をして下を向いて歩いていると、すぐに日本人とわかってしまうよね」と、話していたそうです。うちの奥さんは「役に立たない情報というより、逆効果になるわ」と今でも怒っています。
今から考えても、外務省側の過剰防衛的発想が理解できません。大使館の設計もその延長線上のことと思いますが、ロシア人からすれば、日本側は交流や接触を避けていると映るのではないでしょうか。外に開かれているようで要所要所は締める、というような柔軟な発想があれば、もっと違う設計になったのではないでしょうか。
実はこれ、2年前にモスクワ市街地北部に新設された日本大使館なんです。夕方だったので日の丸の国旗は掲揚してありませんでしたが、正面の建物の上部に菊の紋章がありました。看板もちゃんとかかっていました。
しかし、四角い鉄筋に囲まれ、窓が少ない構造は、どうみても治安関係の施設にしか見えません。大使館といえば「日本の顔」ですが、日本文化のかけらも感じられません。あとで大使館員に聞くと、設計された頃は在外公使館が襲われたり、電波ジャックされたりする事件があったからだそうですが、だからといってこれじゃ、守りに徹した建物としか見えません。
日本大使館は地上5階地下1階建てで、延べ床面積は1万6500平方㍍。総工費は93億円とのことで、日本の在外公館では在米国大使館に次ぐ規模だという。02年の着工当時、地下プールやサウナ、テニスコートまで計画されていて、「豪華すぎる」との批判を受け、計画を一部変更した大使館ですが、こんな外観だとは思いませんでした。
私は90年代に特派員としてモスクワに赴任し、家族とともに6年間住んでいましたが、大使館から耳にたこができるくらい「強盗や物取りに襲われないように注意しなさい」といわれました。とくに女性に対しては「地味な服装にしなさい」との指示が出ていたそうです。ところが、ロシア人は子供でもネックレスやイヤリングをしているので、日本人の奥さんたちは「地味な服装をして下を向いて歩いていると、すぐに日本人とわかってしまうよね」と、話していたそうです。うちの奥さんは「役に立たない情報というより、逆効果になるわ」と今でも怒っています。
今から考えても、外務省側の過剰防衛的発想が理解できません。大使館の設計もその延長線上のことと思いますが、ロシア人からすれば、日本側は交流や接触を避けていると映るのではないでしょうか。外に開かれているようで要所要所は締める、というような柔軟な発想があれば、もっと違う設計になったのではないでしょうか。