飯島一孝ブログ「ゆうらしあ!」

ロシアを中心に旧ソ連・東欧に関するニュースや時事ネタを分かりやすく解説します。国際ニュースは意外と面白い!

「新モスクワ情報3」 昔懐かしい「食堂」がグム・デパートに!

2009年10月09日 12時59分30秒 | Weblog
 ソ連時代、会社や学校にあった「スタローバヤ」(いわゆる食堂)が、モスクワ・赤の広場に面したグム・デパートに復活したと聞いて、仲間と連れ立って出かけてみた。


 グム・デパートはソ連時代、「ソ連製品でここに売っていないものはない」といわれたモスクワ最大の百貨店だった。今では西側の最新ファッションや宝石類、化粧品などを販売する高級デパートに生まれ変わっている。そこに旧ソ連の象徴とも言える「スタローバヤ」ができたと聞いたときは、何かそぐわない気がした。

 グム・デパートの3階にあがると、突き当たりに目指す店が、あった。昼時だったが、ひときわ混んでいた。しゃれた作りの入口には、そのものずばり、「スタローバヤ」という看板がかかっていた。中に入ると、お客がお盆を持って並んでいて、順番にケースに入ったサラダやスープを取って進んでいく。いわゆるセルフサービス形式である。


 ソ連時代には、どこの会社や学校の公衆食堂へ行っても、このスタイルだった。私も旧ソ連末期に特派員としてモスクワに赴任したころ、よくこういう食堂で昼食をとった。街のレストランに比べると何倍も安く、サラダ、スープ、メーン料理にパンをつけて1ルーブル(当時、日本円で200円くらい)以内で食べられた。この店でも、フルコースをとっても100ルーブル(現在約300円)程度ですんだ。この安さと昔懐かしいスタイルがモスクビッチ(モスクワっ子)だけでなく、外国人観光客にも人気なんだそうだ。

 このデパートの1階には、ソ連時代の食材を売る「スーパーマーケット」もあった。広いフロアーに、あか抜けない包装紙のチョコレートや菓子類が所狭しと並んでいた。ソ連時代にサービスの悪い国営商店で売っていた品物が大半で、今では街のスーパーを探しても売っていないものだという。

 ソ連崩壊からまもなく20年になろうとしているが、ロシア国民の旧ソ連へのノスタルジーは衰えていない。それを逆手にとって旧ソ連回顧の店を相次いでオープンしたとすれば、ロシア国民も資本主義に慣れてきたといえよう。