飯島一孝ブログ「ゆうらしあ!」

ロシアを中心に旧ソ連・東欧に関するニュースや時事ネタを分かりやすく解説します。国際ニュースは意外と面白い!

プーチン大統領、恒例の大記者会見で自らの実績を自慢!

2013年12月19日 22時14分06秒 | Weblog
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   プーチン大統領は19日、恒例となった大記者会見をモスクワで開き、内外の記者約1300人を相手に丁々発止とやりあった。今回が9回目ということもあり、攻める相手には反撃し、本音を聞き出そうとする質問ははぐらかした。経済成長の実績を自慢するなど、自信たっぷりな会見となった。

   記者団の一番の関心は、プーチン大統領の後継者問題。記者たちはあの手この手で大統領を攻め立てた。ある記者は、「もしプーチン大統領がいなかったら、誰が大統領を務められるか、という声をよく聞く」と、政権幹部の発言を披露して持ち上げた。

   プーチン大統領は「遅かれ早かれ、私はこの職を退く。私の後を誰が務めるかに無関心ではいられない」と語り、まんざらでもない様子。続けて過去の実績に触れて「私は在任中、ロシアのGDPをほぼ2倍に増やした。よく考えると、これは大変な業績だ」と自画自賛した。

   一方、西側の記者が「石油王」と呼ばれ、新興財閥のトップに君臨しながらプーチン政権に投獄されたホドルコフスキー元ユーコス社長に言及。「刑期を短縮するとの決定が報じられたが、この決定は大統領と裁判所の合意がなければできないことは明白」と指摘、元社長を早く釈放するよう求めた。

   大統領は「あなたは我が国の司法制度を誤解している。彼は政治家でも議員でもない。単なる経済犯罪者に過ぎない。この問題を政治問題化するのは間違いだ」と反論した。だが、会見後、記者団の質問に答え、近く恩赦の大統領令に署名すると述べた(その翌日、釈放された)。人権政策への批判から、ソチ五輪への出席を見送る欧米の首脳が増えているためとみられる。

   記者がプーチン政権の独裁体制を槍玉に上げ、「あなたは19年かけてかなり厳しい権力体制を築いたが、これは独裁主義だ。現在もそれは有効だと思うか」と質問した。すると大統領は「我々は安定を保証した。これが極めて重要なことだ。この体制を独裁と呼ぶのは間違いだ。私は憲法改正をやろうと思えば簡単に出来たが、それをしなかった」と独裁を否定した。

   また別の記者は「大統領の今の任期が終わると、大統領が権力に就いた時、生まれた子供が成人に達する。安定が停滞に変質する恐れがないだろうか」と指摘、長期政権が停滞の時代を生むとの懸念について質問した。大統領は「とてもうまい表現だが、根拠はない。発展にとっての絶対的条件は安定だ。そうでなければ誰が金を貯めることができるだろうか」と語り、中国の経済成長を引き合いに出して自説を強調した。

   こうしたやり取りをみると、プーチン大統領の方が記者団より一枚も二枚も上手だ。頭の回転の速さと長年の経験に裏打ちされた自信が成せる技とでも言うのだろうか。彼に代わり得る指導者は当面出てこないだろうから、さらにもう1期6年、2000年の大統領就任から数えると計24年の長期政権が現実性を帯びてきたと感じた。(この項おわり)
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