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ウクライナ政府がEU(欧州連合)との「連合協定」に署名しなかったことに対し、野党は8日、再び十万人規模の集会を開き、大統領選、議会選の繰り上げ実施を要求した。一方、ヤヌコビッチ大統領は17日にもロシア主導の「関税同盟」に加盟する構えとされ、ウクライナ情勢は混迷を深めている。
8日のインタファクス通信(電子版)によると、EUへの早期加盟を求める野党がキエフの独立広場で開いた集会には、10万人以上の市民が参加した。野党「ウダール(こぶし)」のクリチコ代表は「我々は権力の総入れ替えを要求する。大統領選と議会選の繰り上げ実施が必要だ」と演説した。
8日付けの地元紙「ウクライナの真実」によると、野党側はアザロフ内閣が48時間以内に総辞職しなければ、大統領官邸を封鎖することを申し合わせたという。一方、ティモシェンコ元首相は集会に宛てた書簡の中で、現政権が選挙の繰り上げ実施を約束しない限り、交渉しないよう呼びかけている。
一方、英国誌「エコノミスト」のツイッターによると、ヤヌコビッチ大統領は近くロシアと関税同盟を結ぶことで合意。さらに、同大統領はプーチン露大統領との会談で、天然ガスの購入価格引き下げなどで合意し、ウクライナ側はロシアから総計150億ドルを得ることになると伝えている。
これに対し、ペスコフ・ロシア大統領広報官は両大統領が7日、ソチで会談したが、ウクライナの関税同盟加盟問題については協議しなかったと述べ、報道を全面的に否定した。
一方、ウクライナの野党代表の一人は、ヤヌコビッチ大統領が17日にロシアと関税同盟を含む戦略的協力に関する協定に署名するとの情報を得ていると述べたが、「大統領は関税同盟に加盟する権限は得ていない。最高会議(議会)はそういう協定は批准しない」と強調した。
ヤヌコビッチ大統領は親露派で、EUへの加盟問題に慎重な姿勢を示している。世論も欧州との連携か、ロシアとの同盟かをめぐって二つに割れている。17日にモスクワで2国間委員会が予定されているが、今の状況でロシア主導の関税同盟に加盟すれば、再び国内を二分する混乱状態に陥りかねない。大統領は野党側と真摯に話し合い、妥協の道を探すしか平和的解決の道は開けないだろう。(この項おわり)