飯島一孝ブログ「ゆうらしあ!」

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ウクライナ首相、EUとの「連合協定」署名延期の真相を公表!

2013年12月15日 11時44分36秒 | Weblog
 
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   ウクライナのアザロフ首相は14日、首都キエフで開かれた与党の集会で、EU(欧州連合)との「連合協定」に署名しなかった理由について「あのとき署名したら国家が破産する恐れがあったからだ」と語った。首相は懸案のロシアとの貿易交渉が終了、16日に協定を結ぶと述べ、野党が喧伝している「ロシアとの関税同盟締結」を強く否定した。

   インタファクス通信などによると、この日の集会は、野党の集会に対抗して与党「地域党」が開いたもので、約1万人が参加した。集会で演説したアザロフ首相は、EUへの加盟の第一歩となる連合協定署名を延期したのは「みなさんのことを考えたため」と述べ、ロシアとの貿易正常化が緊急の課題だったことを強調した。

   続けて首相は3年半続いていたロシアとの交渉がようやく合意に達し、16日に包括協定に署名することを明らかにした。これにより、航空、宇宙、機械製作などすべての分野で、ロシアとの貿易が正常化するメドが立ったとしている。

   さらに首相は、EUとの連合協定に署名しても直ちにビザ(査証)不要の体制が導入されるわけではないと指摘。「我々の目的は一つ。将来的な欧州国家の実現だ」と述べ、「政治家は円卓会議に参加を!集会参加者は家庭に戻ってほしい」と、事態の収拾を呼びかけた。

   首相の説明は、ロシアがウクライナに貿易面で圧力をかけ、EUとの連合協定署名を阻もうとしていたことをうかがわせる。この交渉がようやくまとまったことから、経済的には安定のメドが立ったとみられるが、これでEU加盟の見通しが立ったとは言い難い。今後もロシアとEUの間で、ウクライナをめぐる激しい綱引きが予想される。(この項おわり)