昨年夏、北京五輪の最中に起きたグルジア戦争から1年たった。ロシアは圧倒的な軍事力で短期間に勝利したものの、肝心のサーカシビリ大統領の「打倒」はいまだにできず、南オセチアとアブハジアの親露地域の独立承認もロシア以外ではニカラグア1カ国にとどまっている。
戦争勃発から満1年を迎え、ロシア側、グルジア側とも大統領が出席して追悼式典を開いた。7日に演説したグルジアのサーカシビリ大統領は「グルジア統一を当分は平和的手段で実現する」と”領土奪還”を強調した。これに対し、メドベージェフ露大統領は軍事介入を決意した理由をしきりに述べたが、今後の展望についてはほとんど触れなかった。前者のほうが威勢がよく、どちらが「勝者」かわからないような感じだった。
それというのも、戦後の国際社会がロシアの思うように動かないからだ。
第一に、グルジア2地域の独立承認の追随国が中南米のニカラグアしかなく、ロシアの友好国であるカザフスタンやキルギスでさえ同調していないことが上げられる。旧ソ連諸国からすれば、国内の親露派が独立を主張した場合、ロシアが軍事介入してくる先例を示したことになり、自国でこんなことが起きてはたまらないという思いが強いからだ。
第二に、ロシアは米国からの帰国組で、米国の支援を受け、ロシアの政策にすべて反対してきたサーカシビリ大統領を倒そうとグルジアの野党勢力にテコ入れしたが、成果が上がらなかった。有力な野党指導者がいないこともあるが、愛国主義でグルジア国民が結束したことが大きかったと見られる。
第三に、南オセチアとアブハジアの住民が求めるロシアへの編入計画が進んでいないこともあげられる。ロシアは今、予想以上に深刻な経済危機に苦しんでいるうえ、2地域の編入は国際社会の支持が得られそうもないからだ。
ロシアはいま、グルジア問題で今後どう対応すべきか真剣に検討中と見られる。米国が湾岸戦争でフセイン政権を倒せなかったのと似たような状況で、再びイラク戦争を起こすのか、それともサーカシビリ大統領の任期切れを待つのか。「大国ロシア」の看板を背負うメドベージェフ大統領は就任以来、最大の試練に立たされている。
戦争勃発から満1年を迎え、ロシア側、グルジア側とも大統領が出席して追悼式典を開いた。7日に演説したグルジアのサーカシビリ大統領は「グルジア統一を当分は平和的手段で実現する」と”領土奪還”を強調した。これに対し、メドベージェフ露大統領は軍事介入を決意した理由をしきりに述べたが、今後の展望についてはほとんど触れなかった。前者のほうが威勢がよく、どちらが「勝者」かわからないような感じだった。
それというのも、戦後の国際社会がロシアの思うように動かないからだ。
第一に、グルジア2地域の独立承認の追随国が中南米のニカラグアしかなく、ロシアの友好国であるカザフスタンやキルギスでさえ同調していないことが上げられる。旧ソ連諸国からすれば、国内の親露派が独立を主張した場合、ロシアが軍事介入してくる先例を示したことになり、自国でこんなことが起きてはたまらないという思いが強いからだ。
第二に、ロシアは米国からの帰国組で、米国の支援を受け、ロシアの政策にすべて反対してきたサーカシビリ大統領を倒そうとグルジアの野党勢力にテコ入れしたが、成果が上がらなかった。有力な野党指導者がいないこともあるが、愛国主義でグルジア国民が結束したことが大きかったと見られる。
第三に、南オセチアとアブハジアの住民が求めるロシアへの編入計画が進んでいないこともあげられる。ロシアは今、予想以上に深刻な経済危機に苦しんでいるうえ、2地域の編入は国際社会の支持が得られそうもないからだ。
ロシアはいま、グルジア問題で今後どう対応すべきか真剣に検討中と見られる。米国が湾岸戦争でフセイン政権を倒せなかったのと似たような状況で、再びイラク戦争を起こすのか、それともサーカシビリ大統領の任期切れを待つのか。「大国ロシア」の看板を背負うメドベージェフ大統領は就任以来、最大の試練に立たされている。