サンクトペテルブルクで最も有名な観光スポットといえば、もちろんエルミタージュ美術館。その美術館の壁の色を「ばら色」に塗り替える計画が浮上し、市民を二分した論争に発展している。
ロシアの中立系新聞「独立新聞」によると、ピオトロフスキー・エルミタージュ美術館長が「創建されたときの色に塗り替え、歴史的事実を復元したい」と提案したのが発端。もともとこの美術館は18世紀に帝政ロシアの冬宮(冬用宮殿)として建設され、19世紀初め帝室美術館となった。エカテリーナ2世が欧州の画商などから買いあさった絵画や彫刻が多く、合計260万点収蔵されている。
創建当時、宮殿の壁には天然の染料を混合して得られた塗料が使われ、優美なばら色だった。その後、緑色や黄色に塗り替えられ、約2百年前、いまと同じ「海の波の色」と呼ばれる色になったという。
今年初め、美術館側が市民や識者に塗り替え案を説明し、意見を求めたところ、賛否が半々だった。賛成意見の大半は美術館長の「歴史的な色を再現したい」という考えに同調したもの。これに対し、反対意見は「色が剥げ落ちたら塗り替える必要があるが、そうでなければ今の困難な時期にわざわざ塗り替える必要はない」という現実的意見が大勢を占めた。意見が大きく割れたため、サンクトペテルブルクのマトビエンコ市長と文化省が決めざるを得ないとの見方が強まっている。
私もモスクワ特派員時代、何度かこの美術館に足を運んだが、今の色が「エルミタージュ(日本語では隠れ家)」という呼び名にマッチしていると思う。もしかしたら美術館長は壁の色を「ばら色」に替えて、文字通り華やかな帝政時代を復活させたいと思っているのではないだろうか。
ロシアの中立系新聞「独立新聞」によると、ピオトロフスキー・エルミタージュ美術館長が「創建されたときの色に塗り替え、歴史的事実を復元したい」と提案したのが発端。もともとこの美術館は18世紀に帝政ロシアの冬宮(冬用宮殿)として建設され、19世紀初め帝室美術館となった。エカテリーナ2世が欧州の画商などから買いあさった絵画や彫刻が多く、合計260万点収蔵されている。
創建当時、宮殿の壁には天然の染料を混合して得られた塗料が使われ、優美なばら色だった。その後、緑色や黄色に塗り替えられ、約2百年前、いまと同じ「海の波の色」と呼ばれる色になったという。
今年初め、美術館側が市民や識者に塗り替え案を説明し、意見を求めたところ、賛否が半々だった。賛成意見の大半は美術館長の「歴史的な色を再現したい」という考えに同調したもの。これに対し、反対意見は「色が剥げ落ちたら塗り替える必要があるが、そうでなければ今の困難な時期にわざわざ塗り替える必要はない」という現実的意見が大勢を占めた。意見が大きく割れたため、サンクトペテルブルクのマトビエンコ市長と文化省が決めざるを得ないとの見方が強まっている。
私もモスクワ特派員時代、何度かこの美術館に足を運んだが、今の色が「エルミタージュ(日本語では隠れ家)」という呼び名にマッチしていると思う。もしかしたら美術館長は壁の色を「ばら色」に替えて、文字通り華やかな帝政時代を復活させたいと思っているのではないだろうか。