プーチン政権を批判した女性記者のアンナ・ポリトコフスカヤさんが殺害された事件で、モスクワ管区軍事裁判所は20日、被告全員を無罪とする判決を出したが、これに対しロシアでは「司法の敗北」との見方が出ている。メドベージェフ大統領は司法改革に取り組んでいるが、司法が国民に信頼されるようになるまでには時間がかかりそうだ。
この事件は06年10月に起きたもので、当時のプーチン政権そのものが殺人に関与しているのではないかとの疑惑も出ており、検察当局は総力を挙げて犯人逮捕に取り組んだ。ところが、拘束した10人を次々釈放したうえ、実行犯とされる人物は国外逃亡し、殺害を依頼した黒幕の存在も明らかにされなかった。このため、この事件も闇に葬られるのかとの見方も出ていた。
ところが、裁判が始まると兄弟で被告のおじが「殺人を依頼した人物が大金を支払ったと聞いた」と証言するなど、意外な展開となり、真実が明らかになる可能性も出ていた。その一方、裁判が途中で非公開になるなど不可解な面もあった。
結局、陪審団は全員一致で「証拠不十分」として被告3人に無罪の評決を出し、裁判所は無罪を言い渡した。これに対し、検察側は控訴することを言明し、今後さらに上級審で争われる見通しだ。
ロシアの有力紙「独立新聞」には、無罪判決について様々な談話や反応が掲載されている。それによると、ポリトコフスカヤさんが勤務していた「ノーバヤ・ガゼータ」紙のレベジェフ・オーナーは「ロシアの検察・司法制度が不完全な結果だ」とコメントしている。また、ジャーナリスト同盟のバクダーノフ委員長は「90年代始めは表現の自由がもてはやされ、マスコミは『第四権力』といわれたが、今は昔の話だ。今回の事件は権力の恥だ」と批判している。
ソ連崩壊後、司法制度は民主主義国家並みになったものの、国民はまだ本当に司法を信頼していないのではないか。だから、裁判で真実を述べても、いつ自分に不利な結果が跳ね返ってくるかわからないというのが本音だろう。こういう状況では、いくら裁判をしても真実が明らかにならない。メドベージェフ大統領が進めている司法改革は、司法への信頼感を高めることができるのだろうか。
この事件は06年10月に起きたもので、当時のプーチン政権そのものが殺人に関与しているのではないかとの疑惑も出ており、検察当局は総力を挙げて犯人逮捕に取り組んだ。ところが、拘束した10人を次々釈放したうえ、実行犯とされる人物は国外逃亡し、殺害を依頼した黒幕の存在も明らかにされなかった。このため、この事件も闇に葬られるのかとの見方も出ていた。
ところが、裁判が始まると兄弟で被告のおじが「殺人を依頼した人物が大金を支払ったと聞いた」と証言するなど、意外な展開となり、真実が明らかになる可能性も出ていた。その一方、裁判が途中で非公開になるなど不可解な面もあった。
結局、陪審団は全員一致で「証拠不十分」として被告3人に無罪の評決を出し、裁判所は無罪を言い渡した。これに対し、検察側は控訴することを言明し、今後さらに上級審で争われる見通しだ。
ロシアの有力紙「独立新聞」には、無罪判決について様々な談話や反応が掲載されている。それによると、ポリトコフスカヤさんが勤務していた「ノーバヤ・ガゼータ」紙のレベジェフ・オーナーは「ロシアの検察・司法制度が不完全な結果だ」とコメントしている。また、ジャーナリスト同盟のバクダーノフ委員長は「90年代始めは表現の自由がもてはやされ、マスコミは『第四権力』といわれたが、今は昔の話だ。今回の事件は権力の恥だ」と批判している。
ソ連崩壊後、司法制度は民主主義国家並みになったものの、国民はまだ本当に司法を信頼していないのではないか。だから、裁判で真実を述べても、いつ自分に不利な結果が跳ね返ってくるかわからないというのが本音だろう。こういう状況では、いくら裁判をしても真実が明らかにならない。メドベージェフ大統領が進めている司法改革は、司法への信頼感を高めることができるのだろうか。