飯島一孝ブログ「ゆうらしあ!」

ロシアを中心に旧ソ連・東欧に関するニュースや時事ネタを分かりやすく解説します。国際ニュースは意外と面白い!

「期待」と「失望」が混在の北方領土返還要求全国大会

2009年02月08日 23時33分24秒 | Weblog
 北方領土の日の制定から28年目を迎えた2月7日、東京・九段で恒例の北方領土返還要求全国大会が開かれた。今年はプーチン首相の訪日が予定されるなど、いつになく領土問題解決への機運が高まっているので、盛り上がり状況を肌で感じようと出かけてみた。だが、麻生首相ら政府要人は相変わらず官僚の書いた文章を棒読みしており、国会議員ら有力政治家の姿も少なく、出席者からも「風化」や「熱気のなさ」を嘆く声が目立った。

 会場の九段会館には、各地で返還運動を続けている民間人約1000人と、麻生首相や各政党の代表、それに元島民の家族・遺族らが出席した。まず北方四島の現状や人々の暮らしが「ビザなし交流」訪問団が撮影した写真で紹介された。これまでは道路状況の悪さや壊れそうな公共施設が主流で、貧しさとインフラのひどさが強調されていたが、今回は港湾が整備され、公共の建物が新築同様に生まれ変わり、人々の生活が一新した様子が映し出された。ロシア政府が一昨年あたりから多額の予算を投入してインフラ整備を進めている成果が現れてきたのだ。

 続いて政府要人、政党代表、民間運動家、元島民らが舞台に上がり、あいさつや意見を表明した。初めて祖父と一緒に北方四島を訪れた小学生の体験談や、京都で教育者会議を立ち上げた元校長の話、「国は無策すぎる。いつまでこういう運動を続けないといけないのか」と声を張り上げた青年会議所代表の話が印象に残った。

 これに引き換え、政治家の発言では、自分たちの努力不足を棚に上げて運動の風化を嘆く元自民党幹事長、政府の取り組みに熱気が感じられないとやたら大声を張り上げる野党議員らが目立ち、次世代に委ねずに領土問題を解決しようという「覚悟」が伝わってこなかった。

 麻生政権は今月18日にサハリンで行われる日露首脳会談で領土問題を取り上げ、「四島の帰属問題を解決し、最終的解決への進展を目指す」(麻生首相)としているが、1回や2回の会談で長年の懸案が解決するわけがない。本気で取り組むなら、政府・与党できちんと態勢をつくり、じっくり腰をすえてやらなければ無理だ。この日の政府・与党要人の話を聞いても「麻生政権の人気回復に役立てば」という、その場限りの「意気込み」しか感じられなかった。