飯島一孝ブログ「ゆうらしあ!」

ロシアを中心に旧ソ連・東欧に関するニュースや時事ネタを分かりやすく解説します。国際ニュースは意外と面白い!

オバマ新政権でロシアとの関係改善が進むのか?

2009年02月12日 23時14分16秒 | Weblog
 米国のオバマ新政権が動き出し、ブッシュ前政権とは異なった国際協調路線を明確に打ち出した。「新冷戦」とまでいわれた米露関係も、今後は融和に向かう可能性が出てきた。といっても、米国は東欧のミサイル防衛計画継続を言明するなど、これまでの安保政策を当面引き継ぐ方針と見られる。ロシアも当面は米国の動きを見守る構えで、両者の腹の探りあいが続くことになろう。

 米国の新政権がロシア側と初めて顔を合わせた2月上旬のミュンヘン安保政策会議。まず、バイデン米副大統領が、緊張した対露関係の「リセットボタンを押すときだ」と述べ、仕切り直しを明言した。だが、個々の問題ではミサイル防衛計画の継続を明言するなど、強硬姿勢を変えず、「協議には応じる」という姿勢を示すにとどまった。これまでの一方的な行動から、話し合い路線に変更したものの、強硬姿勢を変えるかどうかは不明だ。

 これに対して、バイデン副大統領と会談したロシアのイワノフ副首相も米国の対話路線を歓迎しながらも、「すぐ反応しなければならないものではない」と述べ、米国の出方を当分見守る考えを示した。いわば双方ともジャブの応酬に終わったということだ。

 最初の「接近戦」を踏まえて双方とも初の首脳会談の日取りを調整しているが、4月2日のロンドン・サミット前の日程は決まらず、結局このサミット期間中に首脳会談が行われることになりそうだ。というのも、首脳会談を急いで行っても目に見える結果の出そうなものはないことが分かったからだ。両国間の重要案件は①アフガニスタンへの増派問題②年末に失効する核軍縮条約問題③東欧ミサイル防衛計画などだが、いづれも長期交渉が見込まれている。

 ロシアの有力紙コメルサントによると、困った米国の外交担当者は、メドベージェフ大統領がしきりに強調している汚職対策を取り上げ、汚職防止で共同コミュニケを作成しようという動きもあると伝えている。とりあえず合意できそうなものを集めて両国の関係改善をアピールしようという作戦らしい。

 だが、そんなことで関係改善を取り繕っても意味はない。両国の新政権とも始まったばかりだ。今は姑息な手段を考えるより、じっくり腰を落ち着けて関係改善を探ることを考えるべき時だ。
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