ラムの大通り

愛猫フォーンを相手に映画のお話。
主に劇場公開前の新作映画についておしゃべりしています。

『アポカリプト』

2007-04-03 15:30:37 | 新作映画
(原題:Apocalypto)

----これって確かメル・ギブソンが
全編マヤ語で撮ったとか言う映画だよね。
『パッション』を思い出すニャ。
「うん。観る前から『この映画怖すぎ…』という噂を聞いていたんだけど、
思っていたのとは少し違っていたね」

----ふうん。でもストーリーは知っていたんでしょ?
「そう。おおよそはね。
舞台となるのはマヤ文明後期のメキシコ、ユカタン半島のジャングル。
主人公のジャガー・パウは、
誇り高き狩猟民族の血を引く青年。
恐怖も争いもない楽園のような場所で
妻や仲間たちと平和に暮らしていた彼だったが、
ある日、突然マヤ帝国の傭兵に襲撃され、
都へ連れて行かれる。
そこでジャガーを待ち受けていたのは
干ばつを沈めるための残忍な儀式。
その過酷な運命を間一髪逃れることが出来た彼だったが、
なんと人間狩りの標的にされてしまう。
かくしてジャガーの必死の逃走が始まる-----」

----十分に怖いじゃニャい。
「いま、こうして振り返ってみると確かにそうだね。
ところがその描写があまりにもショッキングすぎ。
そのため心理的な恐怖が後ろに回ってしまうんだ。
しかもそれが全編に渡って続くものだから、
最後の方では観ている方も少しマヒしてしまう。
最初にぼくが抱いていたこの映画の恐怖イメージはこれ。


アポカリプト1

つまり恐怖がひたひたと忍び寄る感じ。
ところがジャガー・パウを演じるルディ・ヤングブラッドが
その名の通り若い血が漲ってタフ。
実はアスリートでもあると言う彼は
並外れた身体能力を持っていて
この危機を逃れる可能性を観ている方に予見させてしまう。


アポカリプト主人公

それと問題なのはデジタル撮影かな」

----ん?どういう意味?
「これは時折なんだけど、
どこかメイキング映像を観ている錯覚に陥ってしまうんだ。
もとより歴史上のお話なのに、
<現在>が覗いてしまったんだね。
人間狩り自体はマカロニウエスタンなどで、
よく見受けられた設定だし、
さほど珍しいとも思わなかった。
生け贄の儀式も、その残酷描写は目を背けたくなるけど、
あまりにもあっさりと殺してしまうものだから
心理的恐怖を生け贄と共有するまでにいかない」

----厳しいニャあ。
じゃあ、えい的には
この映画のオススメはどこになるの?
だって「時間の長さを感じさせなかった」って
言ってたじゃない?
「村が襲われて
連行されていくところかな。
何人もの男たちが棒にくくり付けられて、
激流を渡ったり、崖道で足を滑らせたり…。
このときの征服者の、人を人とは思わない非道ぶりは
『バイオレンスジャック』のスラムキングを思い出したな。
あっ、あとマヤ帝国。
ここはパゾリーニ『王女メディア』+フェリー二『サテリコン』。
暗黒舞踊団みたいな一団の動きもオモシロい。
そして大自然の描写は『ミッション』って感じかな
↓」


アポリカプト2>

----分かった分かった(笑)。
もう、過去の映画はいいから,
この作品は結局何を言おうとしているの?
「それは映画の冒頭に出てくる一文に要約される。
文明が征服される時は
その多くは内部の崩壊から始まる----。
これを地球規模に広げると
いまの世界に通じるとも言える」

----そうか、これだけ世界中で紛争が起こっていると,
宇宙人が来たらひとたまりもないもんね。
ダメだね。人間は……。

       (byえいwithフォーン)

フォーンの一言「フォーンには観れそうにないニャあ」もう寝る


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『ホリデイ』

2007-04-01 21:14:11 | 新作映画
(原題:the Holiday)

----まさか、映画の日にこの作品に行くとは
フォーンは思わなかったニャ。
「うん。『蟲師』だの『ケロロ軍曹』だのも考えたんだけど、
「黒猫のうたた寝」さんのところを読んで、
急にこの映画が観たくなったってわけ」

----何がキメテになったの?
「もうこれはイーライ・ウォラック。
『続・夕陽のガンマン/地獄の地獄の決斗』
(『The Good, the Bad and the Ugly』)のthe Ugly役で
マカロニファンならば知らないものはいない彼が
90歳を越えた姿を見せてくれるとあれば、
これは観ないわけにはいかないよね」

----それぞれ恋人に振られた女性が
その恋の傷を乗り越えて新しい恋を見つける-----
お話はあまりにもありふれているし、
なぜ、いまさらこの映画を?と思ったら
ニャるほどそういうことか。
「うん。ただ、そこにホームエクスチェンジと言う
味付けはしてあるけどね。
この映画のユニークさは
アマンダ(キャメロン・ディアス)を映画予告編製作会社の社長、
マイルズ(ジャック・ブラック)を映画音楽作曲家としたところ。
全編に渡って映画、とりわけ映画音楽への
オマージュがいっぱい溢れていた」

----そう言えばマイルズがオープンカーで現れたところでは
エンニオ・モリコーネの『ニュー・シネマ・パラダイス』がかかっていたよね。
「うん。イーライ・ウォラック繋がりで
『続・夕陽のガンマン/地獄の地獄の決斗』とはいかなかったけどね。
でも、そのあともCDショップで
ジャック・ブラックの独演会の形で
次々と映画音楽が聴ける。
思い出すままにあげてみると
『風と共に去りぬ』『炎のランナー』『卒業』、
『JAWS・ジョーズ』『ドライビングMissデイジー』。
そしてマイルズが最も影響を受けた映画として
『ミッション』の名も…」

----この中では『ドライビングMissデイジー』が渋くニャい?
「『ドライビングMissデイジー』は
この『ホリデイ』の音楽を担当している
ハンス・ジマーの手によるもの。
この映画には、こういったニヤリとさせる仕掛けが
随所に散りばめられていたよね。
なにせ、『卒業』の「ミセス・ロビンソン」を
マイルズが口ずさんだ次のショットがダスティン・ホフマン。
『気づかれたか…」なんて、こちらをチラリ(笑)」

----そう言えばアマンダ製作の予告編では
リンゼイ・ローハンとジェームズ・フランコが共演。
「一説にはリンゼイ・ローハンの治療施設入院は
ジェームズ・フランコに振られたのが原因とも…」

----そう言えば、
ジュード・ロウもよかったよね。
「最近は都会的な映画への出演が相次いでいた彼だけど、
ここではロンドンの郊外が舞台。
おとぎ話のような田園風景の中、
彼のクラシックな美形がハマっていた。
あっ、あとエドワード・バーンズ。
このキャスティングも絶妙」

----あっ、そうか。
キャメロン・ディアスとは
彼が監督した『彼女は最高』以来の共演だったよね。

  (byえいwithフォーン)

フォーンの一言「いい音楽たくさん聴けたニャ」ぱっちり

※イーライ・ウォラックだけでもお釣りくる度
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