ラムの大通り

愛猫フォーンを相手に映画のお話。
主に劇場公開前の新作映画についておしゃべりしています。

『ボルベール<帰郷>』

2007-04-06 22:56:24 | 新作映画
ボルベール 帰郷 (原題:Volver)

----アルモドバルって女性ばかり撮っている気がするニャあ。
「うん。そのイメージが強いね。
今回も男たちは一様にその生きざまは薄汚く、
反面、女たちは強くたくましい。
しかも男たちは、その行為の罰を女たちから与えられ、
早々と舞台から退いてしまう。
そして映画で語られるのは
<母親たちの深い愛>だ」

----えっ、母親たち?
<帰郷>するのはどっち?
「じゃあ。まずは物語から話してみよう。
プレスを要約すると、こうなる。
------10代の頃、ライムンダ(ペネロペ・クルス)は
母(カルメン・マウラ)を拒んでいた。
分かり合えないまま、その母は数年前の火事で亡くなってしまう。
そして15歳の娘を持つ母となったライムンダは、
死んだはずの母の姿を見たという噂を耳にする。
やがて再会したふたりだったが……」

----ニャんだか、たいしたお話には見えニャいなあ。
もしかして思いっきりはしょってニャい?
「ありゃりゃ。バレたか……。
実はこの物語には、それこそいくつも
<殺人>はあるわ<秘密>はあるわで、
取り扱いが非常に難しい。
アルモドバルの世界を特徴づける
原色の世界とは裏腹にその物語は緻密で繊細。
喋り方を気をつけないと、
それこそ観る人の楽しみを奪ってしまうことになりかねない」

----う~ん。ニャるほどね。
でも、世界広しといえども、
アルモドバルほどスチールを見ただけで、
誰の映画か分かる監督も珍しいよね。
「うん。壁の色から服の色まで
しっかりとした色彩設計がなされている。
彼の映画は、まずその色彩で観る者を酔わせる。
いつも思うんだけど、
彼がハリウッドから依頼されて撮ったら、
どんな映画になるんだろうって?」

----そう言えばそうだよね。
ペネロペ・クルスはハリウッドでも活躍しているのに、
彼女の育ての親のひとりもである
アルモドバルは故国にとどまっている。
「そうそう。
クルスと言えば、“たくましい女”を演じるために、
なんと<付け尻>を付けたらしいよ。
『ペネロペ・クルスは美の絶頂にある!』と絶賛するアルモドバル。
瞳も肩も胸も最高だけど、
この役には彼女のお尻は細すぎると言うことらしい。
こういうことまで徹底しちゃうところも
彼が巨匠と呼ばれるゆえんかもね」

----そう言えば、
彼女は本年度のアカデミー賞主演女優賞にノミネートされたんだよね。
カンヌでは6人の女性全員が最優秀女優賞とか?
でも、このカルメン・マウラって人、よく知らないニャあ。
「アルモドバル映画は19年ぶり。
その昔は、彼の映画に多数出ていて
アルモドバルのミューズと言われていたんだ」

----そうかこの映画は、
アルモドバル映画への
彼女の<帰郷>の意味も持っているわけだ。
ニャるほど・…・。

       (byえいwithフォーン)

フォーンの一言「世の中には色んな映画があるニャあ」ぱっちり

ペネロペ・クルスはスペインが似合う度
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猫ニュー

画像はイタリア・オフィシャルより。