ラムの大通り

愛猫フォーンを相手に映画のお話。
主に劇場公開前の新作映画についておしゃべりしています。

『河童のクゥと夏休み』

2007-04-22 22:59:12 | 新作映画
黒目川

----あれっ、これ携帯の写真だよね。
映画のシーンとは違う。どういうこと?
「うん。この前観た『河童のクゥと夏休み』が
あまりにも素晴らしくて
ちょっとロケ探訪してきたってわけ。
ここはこの映画の
重要な舞台となる黒目川」

----へぇ~っ。でも確かそれってアニメだよね?
「そう。
あの大傑作
『クレヨンしんちゃん・嵐を呼ぶモーレツ!オトナ帝国の逆襲』の監督、
原恵一初の“マンガ原作ではない”アニメ。
この映画は
東久留米在住の児童文学作家・木暮正夫の原作が基になっているんだ」

----ふうん。と言うことは、
この黒目川と言うのは東久留米にあるんだ。
「そういうこと。
この映画化のため
原作者に会いに行った原恵一監督は
街の中を2本の河が流れるこの東久留米の街並みを
とても気に入ったんだね。
ロケハンにロケハンを重ね、
東久留米駅や黒目川周辺はそっくり再現。
映画の中で使われる効果音も、
実際に東久留米の街音を使ったらしい」

----ニャるほど。
で、お話の方はどういうものニャの?
河童が出てくると言うことはファンタジー?
「簡単にプロットを話すとこうなる。
夏休み前のある日、
小学校の帰り道に上原康一は大きな石を拾った。
化石のようにも見えたその石を
水で洗うと中から出てきたのはなんと河童の子供…。
その第一声が『クゥ~!』だったことから、
康一はこの河童をクゥと名付ける。
何百年もの間、
地中に閉じ込められていたクゥ。
しかし時は移り、
この時代には彼を苦しめたお侍もいなければ、
住んでいた沼もない。
見かねた康一はクゥを河童伝説の残る遠野へ連れて行くが…」

----ニャるほどね。でもそこにも河童はいなかった!
「そういうこと。
まあ、お話はここまでにしておこうかな。
実を言うとこの映画は、あまり喋りたくないんだ。
観た人とだけ、
お互いにその感動を分かち合いたい部類の作品」

----でも、それだけじゃ
観る気がいま一つ起きないニャあ。
どういうところがいいのか少し話してくれなきゃ…。
「そうだね。じゃあ少しだけ。
まず、クゥたちが住んでいた沼がなくなった理由。
それは江戸時代に私利私欲に走るお侍が干拓してしまったから…。
これって現代にもありそうな話だよね。
さて、クゥが息を吹き返した遠因となるのは
現代の小学校ではもはや普通となっているイジメが元で起こった
ちょっとしたアクシデント。
一方、康一の家にはクゥと心で会話できる犬のオッサンが飼われている。
実はこのオッサンもイジメの二重構造で
康一の元へやってきている。
ぼくは物語としては
このオッサンの話でまずやられたね」

----ニャるほど。
そういう話には、えいは弱いものニャ。
「そうなんだ(汗)。
そこには
あまりにも辛い別れがある。
この<別れ>は、
この映画にはその後、幾とおりも出てくる。
オッサンとクゥ。
康一と同級生の女の子。
そして最大のクライマックスとなるのは
やはりクゥと康一の<別れ>。
この映画を観ているうちにぼくは
寺山修司の『サヨナラだけが人生だ』という言葉を思い出してしまった。
果たしてこれはどこまでが原作で
どこからが原監督のオリジナルなんだろう?」

----ふうん。
でもそれだけだと、
普通の泣かせの映画にしか見えないけど…。
「いや。さすが
『クレしん』で場数を踏んだ監督だけある。
家族の描き方が実にリアル。
子供と一緒に無条件に
クゥを育てることを受け入れる父親。
恵一と一緒に夢中になるその姿には
監督の男性観が窺えたな。
<男はいつまでも少年>と言う感じ。
一方、妹の瞳は家族の関心がクゥの方にばかり行くことがオモシロくなく、
クゥにわざと辛くあたる。
そしてそのすべてを達観したように受け入れる母親。
父親には田中直樹、母親には西田尚美。
このボイス・キャスティングもピッタリとハマっていたね。
また、人間たちに追いつめられたクゥが登る
東京タワーのシーンも見逃せない。
だれもが普通なら『キング・コング』を思い出すこのシーンも、
『クレしん』ファンならば
それは『オトナ帝国の逆襲』となる」

----ニャんだ。結局いろいろ喋ってる(笑)。
「あっ。ヤバいヤバい。
じゃあ最後にこの黒目川で観た鳥さんを…」


白鷺

----ニャに、これ?
「これは白鷺。
まさか東京で
この鳥にめぐり逢えるとは思わなかったね。
遊歩道沿いには花があふれ、
川には鴨や鯉が泳ぎ、
空では鳥がさえずる……。
まるで小旅行をしたような気になっちゃった」

----う~ん。と言うことは映画がヒットすると
人がドッと押し寄せるかも。
ここで紹介したのも考えものかもニャ。
「mmmmm……」

     (byえいwithフォーン)

フォーンの一言「別れの映画はつらいニャあ」もう寝る


※やはり原恵一はGreatだ度
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