ラムの大通り

愛猫フォーンを相手に映画のお話。
主に劇場公開前の新作映画についておしゃべりしています。

『ブッシュ』

2009-04-19 16:12:42 | 新作映画
----キャッチコピーが「世紀のKY【クツよけ】男。」
これって、なんだかニャあ。
「こういうのもあるよ。
『パパ、ボクだって世界を《チェンジ》したのに…』。
かと思うと、
『世界でいちばん有名な大統領は、
世界でいちばん寂しい人でした』」

----ブッシュ、完全におちょくられてるにゃあ。
「落ち目の人をそんな風に叩くのは、
あまり好ましいとは思えないけど、
この映画自体が、
確かにそう言う描き方をしているからなあ」

----監督がオリバー・ストーンだよね。
『JFK』『ニクソン』)に続いて3度目の大統領映画だ。
「もともとオリバー・ストーンと言えば政治的な監督だからね。
まあ、日本に来たときは、あっち方面で遊んでいるという噂だけど。
と、それはさておき、
この人の映画って、けっこう好き嫌いが出ちゃうのは、
映画を“メッセージ”のツールにしちゃうところにあるのかもね。
この作品も、その要素がかなり。
実際に彼がそうだったのかもしれないけど、
ここに描かれるブッシュときたら、
だれが見てもアメリカのトップに立つのがふさわしいとは思えないもの。
聖人君子が政治家の不可欠要素とは言わないけど、
あまりにもチャイルディッシュ。
その青年時代を見ても、そこらにいる普通の大学生と何ら変わりがない。
いや、その中でもちょっと周囲より劣るかのように描かれている」

----でも、なぜそんな男が政治家を目指したの?
「それが、大統領になったパパ・ブッシュの影響。
先ほどのキャッチコピーからも想像がつくように、
彼は父親に頭が上がらない。
その父親は、このジョージを頭から放蕩息子扱い。
なにかというと、弟の方に肩入れする。
そんな父親を乗り越えるには、
自分も政治家になるしかない。
いわゆるファザー・コンプレックスだね。
この映画は、終始、その観点からブッシュを描いている。
大統領という重職についているという違いこそあれ、
これはシニカルなファミリー映画」

----そんな理由で、大統領になられたんじゃたまらないね。
「うん。“映画の中での描き方”という留保付きだけどね。
で、監督オリバー・ストーンは
そういう男を大統領に選んでしまう自分たちアメリカ人というものへも批判の刃を向けている。
と、まあ、この映画はこう読み解くべきなんだろうなあ。
以前どこかで
クリントンはオープンでコーヒーなどを飲みながらブレーンと語らう。
一方、ブッシュは周囲をシャットアウトして
側近と秘密裏にことを進めるというような比較を読んだことがあるけど、
ここに描かれたブッシュは始終ニヤニヤ。
自分の考えを持っているようにはあまり見えない。
あるのは、父親が追い詰めるぉとがでなかったフセインに仇を取るという気持ちのみ。
ほんとにそうだとしたら、やりきれないね」

----ブッシュを演じているのはジョシュ・ブローリンだっけ。
似ていないような気もするけど?
「スティールで見ると、そうでもないよね。
ところがこれが映画のマジックで、
観ているうちに、
あれっ、こんな顔もするよな…という気になってくる。
他の“そっくりさん”にしてもそう。
いつも思うけど、こういう映画を観ていると、
いわゆる悪役を演じる人たちはかわいそう。
うまければうまいほど、
役と一体化して、そのイメージがついちゃう。
そう言う意味ではパウエルを演じたジェフリー・ライトは得した方だね」

  
         (byえいwithフォーン)

フォーンの一言「ライスを演じたタンディ・ニュートンもそっくりだニャあ」いいねぇ

※人間は寂しいものだ度

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