ラムの大通り

愛猫フォーンを相手に映画のお話。
主に劇場公開前の新作映画についておしゃべりしています。

『純喫茶磯辺』

2008-04-30 13:45:56 | 新作映画
※一部、見どころに触れています。
鑑賞ご予定の方は、その後で読んでいただいた方がより楽しめるかも。



----邦画週間第2弾は、また変なタイトル…。
「そう。この“純喫茶”というのが
なんとも古めかしい。
でも、いまでこそスターバックスとかドトールとかに押されてるけど、
その昔は、この純喫茶というのは、
ちょっと背伸びした高校生なんかのたまり場。
ぼくなんか、高校だけでなく大学の頃、
部屋が暑くて
この純喫茶で試験勉強していたもの
クーラーなんか学生が買えない時代だし…」

-----で、その純喫茶がなぜいま頃?
「主人公の磯辺裕次郎(宮迫博之)は、
8年前に妻・麦子(濱田マリ)が家を出て以来、
高校生の一人娘・咲子(仲里依紗)と公営団地に二人暮らし。
ある日、父が急死したことで多額の遺産が舞い込むことになり、
彼はそれをもとに、喫茶店経営を始めることを決意。
というのも、偶然入った喫茶店で、
マスターが美女と楽しく会話しているのを目撃したから」

-----ニャンか、動機が不純。
“純喫茶”なのに(笑)。
「まあ、この映画はそこがポイントだからね。
『純喫茶磯辺』の店名ばかりか内装もダサイその店が
咲子は恥ずかしくてたまらない。
一方、裕次郎は勢いから、江頭(近藤春菜)を雇ったもの客はさっぱり。
そこにバイトを探していた美人の素子(麻生久美子)が現れたモノだから、
裕次郎は江頭を言いくるめてクビに。
だが、それを機に『純喫茶磯辺』は
常連客が入り浸り大繁盛…」

----ははあ。これで映画としてのお膳立てはできたニャ。
「うん。映画は
この後、裕次郎の素子への想い。
そして常連客の小説家・安田(和田聰宏)に惹かれる咲子。
さらには素子に対する咲子の反発などが軸になって、
物語が進んでゆく。
この映画の監督、吉田恵輔という人の作品を観るのは、
実はこれが初めてだけど、
ぼくとしては大いに楽しめたね」

----どんニャところが?
「ダメオヤジ裕次郎の下心見え見えの姿に
咲子は娘として嫌悪感さえ感じるんだけど、
でもそれは元妻・麦子の言葉を借りれば
『いつまでも青春していたい。
恋する気持ちは咲子と同じ』。
こういうのって嬉しいじゃない」

----(笑)えいも大人になれないニャあ。
「あと、登場人物それぞれのユニークな造型、
そしてそれらを
ある空間の中に押し込んで
一種の緊張状態を作り出す、その計算された語り口。
たとえば、最初の頃、素子は観客から見てあれっ?と思う意外な行動に出る。
また、途中で元カレが現れて突然、彼女をぶん殴るシーンがある。
実はこれらは、次のクライマックスの伏線になっている」

----それ語っちゃっていいの?
「だから、最初に※注を付けたの。
居酒屋で素子は咲子に思いっきりなじられる。
『あんた、人の気持ち考えたことないでしょ?』って。
ところが、この居酒屋では実は父・裕次郎が彼女に
プロポーズをする予定だった。
咲子と素子がそんなことになっているとは知らず、
トイレから戻ってきた裕次郎の前で、
素子はとんでもないことを言い始める。
さすがにここは明かせないけど、
もう、このシーンだけでお釣りがくるくらい
ドキドキしてオモシロかったね」

----ふうん。よくわからニャイけど、
そんな役を麻生久美子がヤルっていうのも珍しいね。
「そうなんだ。
とても彼女が口にするとは思えない下ネタなセリフが
ぽんぽん出てくる。
一方、清純派のイメージが強い仲里依紗にも、自分の匂いを嗅がせたりと、
かなりタブー破りの役者演出。
しかし、目下絶好調の仲里依紗にとっても
これはそれこそ本領発揮の作品。
『ガチ★ボーイ』でしか彼女を知らない映画ファンは
改めて彼女のよさを見直すことは間違いないと思うよ」



        (byえいwithフォーン)

フォーンの一言「これは、いままであまり描かれなかった女性なのニャ」おっ、これは

「キタ顔」キャンペーン参加中!※フォーンを探せ!
きた~っgif


※夏のオススメだ度

人気blogランキングもよろしく

☆「CINEMA INDEX」☆「ラムの大通り」タイトル索引
(他のタイトルはこちらをクリック→)index orange
猫ニュー