ラムの大通り

愛猫フォーンを相手に映画のお話。
主に劇場公開前の新作映画についておしゃべりしています。

『アフタースクール』

2008-04-08 22:50:00 | 新作映画
----内田けんじって人、
『運命じゃない人』を作った監督だよね。
確かアメリカの大学で映画を学んだんでしょ。
「そう。サンフランシスコ州立大学芸術学部映画科ね。
8ミリから35ミリ。それに脚本技術までも。
そのキャリアを積んだ上で帰国してPFFに応募。
もう、これは戦略的としか言いようがない。
並みの日本人監督では追いつくのが大変だ」

----そんなに独自性があるの?
「うん。特に脚本がね。
じゃあ、それを分かってもらうために
まずは、この映画のプロットから説明しようか。
主人公は、母校の中学校で働く、人のよい教師・神野(大泉洋)。
彼は今日、親友の同級生・木村(堺雅人)の家へ。
美紀(常磐貴子)を病院に連れて行き、
その出産に立ち会ったばかり。
ところが、学校へ戻った彼を
中学時代の同級生と称する探偵(佐々木蔵之介)が訪ねてくる。
探偵は神野に、今朝撮られたばかりの
木村と若い女(田畑智子)が一緒の写真を見せる。
どうやら、この女はタチの悪いヤクザの情婦らしい。
果たしてふたりは駆け落ちしようとしているのか?
かくして、人を疑うことを知らない男と
人の裏側をばかりを見てきた男による
ちぐはぐな人探しが始まった…」

----うわあ、オモシロそうだ。
でも結局
「なんだ、よくある話だね」で終わっちゃうんじゃニャいの?
「いやいや。
それがそうじゃないんだ。
この映画、実は途中からとんでもない方向へ転がっていく。
“予想不可能”とは、まさにこのこと。
正直言うと、ぼくも二転三転する筋についていくのが精一杯。
上映中、ずっと頭をフル回転させていたつもりだけど、
それでもふと油断すると、
置いてきぼりになりそう----というヤバい瞬間もあったね」

----ふうん。
それってコン・ムービー(詐欺映画)みたいなもの?
「いや、それともちょっと違うな。
この映画を一言で言うと“人生はミステリー”。
自分の見えないところ、
もっと言えば自分以外の人間はミステリー。
その本質を、さりげない視点移動で見せてゆくんだ。
それまで探偵目線で描いていたものが
途中で木村目線に変わる。
すると当然ではあるけれど
それは探偵=主人公から見た木村と大きく違ってくる。
と同時に、ドラマ自体も次のステップへと移って
新たな展開を迎えていくんだ」

----それは俳優も大変だね。
「うん。
自分が、いまどの立ち位置にあるのか。
役の上の相手だけでなく、観客の目線も気にしなくちゃならないからね。
映画はクドカンや 『バンテージ・ポイント』のようなリワインド手法を使い、
“あのとき実はこんなドラマも起こっていた。
ここの真の意味はこうだ----”
と、伏線の見事な回収を見せてくれるけど、
それらの作品に比べて、
こちらはもっとスマート。
しかもそれは人間関係における攻守の逆転というスリリングな場面で
最大のクライマックスを迎えるんだ。
思うに彼はこの作品で
だれのものでもない『内田ワールド』を確立した気がするね」


           (byえいwithフォーン)

フォーンの一言「そ、そんなにスゴいのかニャあ」身を乗り出す

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※ここからはCM。
映画とは関係ありません。この車も出ていなかったと思います。

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