ラムの大通り

愛猫フォーンを相手に映画のお話。
主に劇場公開前の新作映画についておしゃべりしています。

『マンデラの名もなき看守』

2008-04-07 20:58:30 | 新作映画
(原題:Goddbye Bafana)

----マンデラってネルソン・マンデラのこと?
「うん。南アフリカ共和国は、
かつてはアパルトヘイト政策を取っていた。
いわゆる人種隔離政策だね。
それに対して、黒人の自由と権利を獲得するために闘い続けた
ネルソン・マンデラは
後に初の黒人大統領となるものの
それまで長い獄中生活を送っている。
この映画は、その彼が初めて自身の人生の映画化を許可したということでも
話題となっている作品なんだ」

----ふうん。ということは実話に基づいているんだニャ。
「うん。その囚われた27年を描いた“トゥルー・ストーリー”。
でも主人公はマンデラ(デニス・ヘイスバート)ではなく、
看守としてマンデラが投獄されたロペン島の刑務所に赴任した
ジェームズ・グレゴリー(ジョセフ・ファインズ)の方。
マンデラの生まれ故郷の近くで育ったことから、
彼らの言葉が分かるグレゴリーは、
マンデラの担当として秘密の会話を報告するよう命じられる。
妻のグロリア(ダイアン・クルーガー)は昇任した夫に天にも昇る心地。
ところが、マンデラの人となりに触れるにつれて
グレゴリーの中で、
次第に何かが大きく変わっていく…」

----ニャんだか、嘘みたいによくできたお話だね。
「うん。実話のはずなのに、
どこか既視感がある。
歪んだ心が大きな魂に触れることで変わっていく。
ちょっと喩えが悪いかもしれないけど、
昨日亡くなったチャールトン・ヘストンの代表作『ベン・ハー』だって
観方によればそうなるしね」

----ふうん。じゃあ感動も予定調和ということ。
「いや、それだけじゃないよ。
この映画でむしろ注目してほしいのは“音楽”の使い方。
ぼくの中で、心揺さぶられたシーンは2ヶ所。
マンデラとグレゴリーが
『スティックファイティング(剣術)』で相見えるとき。
そしてマンデラ解放のシーン。
この2ヶ所では、映像に寄り添うように
静かに音楽が流れ情感を盛り上げてゆく。
ただ個人的には、
このふたりよりも、
ダイアン・クルーガーの方が印象に残ったな。
『黒人はテロリスト』と平然と言い放ち、
『神様がそうお決めになった』と子供に説く。
身震いするほどの無知と傲慢さを
あたりまえのように演じる、その度量がスゴい。
その彼女が、最後にどこに写っているか?
これも要チェックだね」


           (byえいwithフォーン)

フォーンの一言「ネルソン、寝ると損するニャあ」ぱっちり

※デニス・ヘイスバートは偉人が似合う度
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画像はイギリス・オフィシャル(ダウンロードサイト)ウォールペーパーより。