ラムの大通り

愛猫フォーンを相手に映画のお話。
主に劇場公開前の新作映画についておしゃべりしています。

『迷子の警察音楽隊』

2007-11-28 21:27:13 | 新作映画
※カンの鋭い人は注意。※映画の核に触れる部分もあります。
鑑賞ご予定の方は、その後で読んでいただいた方がより楽しめるかも。



(原題:The Bands Visit)


----これって東京国際映画祭で
東京サクラグランプリを受賞した作品だよね。
イスラエルの映画だっけ。
「そう。
じゃあ、まずはさわりから。
イスラエルにやってきたエジプトの警察音楽隊。
ところが空港に出迎えはなく、
しかも乗るバスを間違えてしまったために
彼らはホテルもない辺鄙な町に着いてしまう。
町の食堂の美しい女主人ディナの厚意により、
音楽隊は3組に分かれてホームステイをすることになる。
ざっと、こんなお話かな」

----ふうん。これのどういうところが受けたんだろう?
「おそらく、
アラブとイスラエルという対立する民族でありながら、
そんな政治的立場からまったく離れた庶民同士の関わりの中で
お互い、一人間として心を通わせるさまが描かれていることが
いちばん大きな理由じゃないかな」

----でも、それだけじゃ
普通のメッセージ映画になってしまうのでは?
「そのとおり。
ここでは、そこからさらに一歩進んで
ヴィジュアル的なオモシロさも見せてくれる。
イスラエルの人たち自身が自ら認める“文化も何もない”砂漠の町。
そこに水色の制服を着た音楽隊が立っているという
なんとも奇妙な感覚。
あるいはアキ・カウリスマキの『街のあかり』を思わせる
グリーンのトーンの室内など、
映像としての見どころは多い。
さらに言えば、その人物造型だね。
エジプトの音楽隊には女あしらいの上手いカーレイドという色男がいて、
ストイックな団長トゥフィークの手を焼かせている。
ところが、女主人ディナはこの堅物のトゥフィークを気に入ってしまう。
この二人に芽生えた感情がどう落ち着くか?
これはこの映画最大の見どころ」

----へぇ~っ。女に手が早い青年が出てくるのか。
それは思ってもみなかった設定だニャあ。
「うん。彼カーレイドがスケート場で
女扱いに慣れていないイスラエルの若者に
恋の指南をするところも楽しい。
なるほど、こうやってキスに持ち込むのかって
あっけにとられて観ていた。
こんなシナリオが書けるなんて、
この監督エラン・コリリンも
なかなかの強者と睨んだね」

----ところで、さっきの団長と女主人の恋は?
「これがねぇ~っ。
一時期、ヌーヴェルヴァーグあたりによくあったような展開になるんだね。
ある程度、想像はついたけど、
このお話の持っていき方は
個人的にはあまり好きじゃないね。
まあ、これが現実なんだろうけど…」

ニャに言っているのか
さっぱり分からないニャあ。

(byえいwithフォーン)

フォーンの一言「よく分からないニャあ」小首ニャ

※審査員受けするの、分かる気がする度

人気blogランキングもよろしく

☆「CINEMA INDEX」☆「ラムの大通り」タイトル索引
(他のタイトルはこちらをクリック→)index orange
猫ニュー 

画像はイスラエルのポスターです。


※ちょっとCM。ドラマ仕立てです。(画像をクリックしたらスタート!)
「寒い家」