ラムの大通り

愛猫フォーンを相手に映画のお話。
主に劇場公開前の新作映画についておしゃべりしています。

『ユゴ~大統領有故~』

2007-11-04 18:01:42 | 新作映画
(英題:The President's Last Bang)

-----ハン・ソッキュが、ニャにやらひそひそ話をしているけど、
これって謀略もの?
「うん、そうだね。
韓国で長年にわたって独裁政権に君臨した朴正煕大統領が暗殺された
歴史的な一日を描いたものなんだ。
この事件は、大統領ファミリーの一人、
中央情報部長(KCIA長官)キム・ジェギュ(ペク・ユンシク)が
晩餐を楽しむ大統領(ソン・ジェホ)を殺害したわけだけど、
ハン・ソッキュの役はその部下のチュ課長役」

----ということは、耳打ちされているのがキム部長。
「そうだね。
この映画、完全に史実かというと
そうは言い切れない。
というのも、事件を起こした関係者の供述も
悪名高きKCIAの拷問によって引き出されているわけだから、
それをすべて真実と捉えるのは早計にすぎる」

-----ということは、
この映画の観るポイントとしては
監督が事件を、あるいは朴正煕をどう捉えたか…ということになるね。
「おっ、分かってきたじゃない。
そのため、ここではある意味の誇張もなされている。
たとえば晩餐の席が四方から階段を上った場所。
これは出席者の関係だけでなく
視覚的にもオモシロい効果を上げている。
また、当日大統領は二人の女性を宴席に呼んでいるんだけど、
その一人に『北の宿から』など日本の演歌を歌わせている」

----あれっ。その頃、
確か韓国では日本の歌は禁じられていたんだよね。
「うん。ただ、そのモデルとなった歌手の持ち歌に日本の曲が多かったこと、
また生前の大統領が演歌が好きだったこと、
さらには彼自身、戦時中は日本の陸軍士官学校に進んだことなども
その背景にあるようだ。
それとこの映画は日本語がやたらと多く使用されている、
これは日本と韓国の不幸な過去の象徴とも言えるだろうね」

-----肝心の暗殺シーンはどうだったの?
「喩えは悪いけど、
『忠臣蔵』の松の廊下を思い出したね。
というのも、前から実行を考えてはいたとはいえ、
あまりにも突発的に起こる。
同席のチャ大統領警護室長(チャ・ジチョル)の
傲慢な態度が腹に据えかねたんだね。
キム部長が腹心の部下たちに知らせるのもその日、その場所で。
ボスの命令は絶対という感じで、
それを上から聞かされ、
おのおの覚悟を決める過程がなかなかオモシロかったね。
大統領ファミリーの描き方からにしてそうなんだけど、
全体的に大きなヤクザ組織を見ているみたい。
あと、発覚するまでもなかなかスリリングに見せてくれる。
監督のイム・サンスという人は『ディナーの後に』では
若い女性の性を真っ向から描いていたけど、
ここでも妥協はなかったね。
なにせ、大統領の遺族から抗議があって
ソウル中央地方裁判所は3分50秒の削除を命じたというからね」

----じゃあ。これは不完全版?
「ぼくが見たヴァージョンでは、
該当シーンが黒塗りに。
でも日本での完全無修正公開が決まったようだよ」


         (byえいwithフォーン)

フォーンの一言「これは恐そうだニャ」もう寝る

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