ハブ ア ナイス doi!

いつまで続くのかコロナとの戦い。
全て解放されて、もっと、もっと
心から楽しまないとねえ。

晩夏の山寺にて1

2013年08月29日 21時23分44秒 | トライアスロン

昔、トライアスロンの大会によく出ていた頃、
バイクの練習で頻繁に行ってたのが牛滝でした。

内畑から大沢町の山村を縫ってつけられた
府道40号線をエッチラオッチラ登り、
山の製材所からの急こう配を
ゼイゼイと漕ぎ上って、
いよやかの里が左に見えると、
終点の牛滝山大威徳寺はもうすぐです。

最初の頃は、この坂を
時速8kmなどという、
いつこけてもおかしくないような
低速でしか登れなかったのですが、
最も元気な時は前輪アウターで
時速18km位で駆け上がった時もありました。

なつかしい、バイクトレの聖地です。

そして、この山で昔、
よく会ったのがTさんでした。

登り切った終点の石の上に
ちょこんと座っておられて、
よだれまみれ、鼻水まみれで登ってきたdoironを
いつも笑顔でお迎えをしてくれました。
とても練習熱心な人でした。

というか、ざっくばらんで
とても仲間思いのいい人でした。

と、過去形で書いているのは、
このTさん、実はあるトライアスロンの
大会中にお亡くなりになったのです。

スイム中での心停止でした。

彼はその前の海外アイアンマンレースでも
一度スイム中に心停止し、
海兵隊に湖底から引き上げられて
一命を取り留めたという経歴を持っていました。

復帰してのレースだったのですが、
多分本人にも気づかない傷が
心臓に残っていたのだと思います。

悲しいお葬式だったことを思い出します。

しかし、失礼かもしれませんが、
そうしてTさんが
命を賭けて教えてくれたその教訓が、
今もdoironを生かしてくれているのだと、
思わずにはいられません。

医者に後遺症はないよ
と言われた段階から、
もしかしたらまた以前と同じように
無茶をして、大事に至っていたかもしれないdoironに
ずっとブレーキをかけてくれていたように思えてなりません。

そんなTさんが
いつも笑顔で座っていた
大威徳寺入り口のある石を、
doironは勝手に

「Tさん石」

と名付けています。

前置きが長くなりましたが、
実は先日仲のいい友達と、
久しぶりに牛滝に行ってきました。

一番の目的は、その「Tさん石」訪問でした。

doironの事故後、
ようやくたどり着いたその石の前で、
お祈りをささげてきました。

石をなでながら

「Tさん。来たよ。僕もいろいろあったけど、
Tさんに教えられた教訓で今日まで生きてますよ。
ありがとうございます。また、来ますからね」

と言わせていただきました。

秋の気配が漂う晩夏の山寺の参道に置かれた
その石をなでると、
山に漂う空気よりもなぜか暖かく、
Tさんのぬくもりが残っているようでした。

もう、あれから何年経ったのか、
指折り数えてもわからないほどの
年月が過ぎました。

しかし、今もdoironの胸には
あの笑顔が残っていますし、
何よりこうして生きながらえさせて
いただいております。

事故後初めて訪れた、
バイクトレの聖地で
深い感傷にひたるとともに、
かつては何度も行っておきながら、
お寺そのものを
ほとんど訪れたことがなかったので、
この機会にお詣りもしてきました。

そのお話は、次回に。