後藤浩輝騎手の突然の死から2日経った3月1日、中山競馬場で伝統の古馬重賞「中山記念」、阪神競馬場で短距離重賞「阪急杯」が行われました。仲間を失った悲しみを抱えながらも、ジョッキーたちは今日も戦い続けます。
今週開幕した阪神のメイン・第59回阪急杯(GⅢ・芝1400m 16頭立て)は、高松宮記念覇者⑨コパノリチャード、NHKマイルカップ覇者⑤ミッキーアイル、マイルチャンピオンシップ優勝馬③ダノンシャークのGⅠ馬3頭に加え、「JRAジョッキー」ミルコ・デムーロ騎手が乗る⑬ダイワマッジョーレ、元2歳女王⑥ローブティサージュ、⑮レッドオーヴァル、⑦オリービン、②サドンストームなどが参戦しました。
スタートでサドンストームと④エールブリーズが後手を踏んでしまう。好スタートを切った⑩ニホンピロアンバーが先手を取り、⑧マジンプロスパーが2番手追走、ミッキーアイル3番手、コパノリチャードは4番手から。5番手グループには、ローブティサージュ・オリービン・⑫ハノハノ・レッドオーヴァル・⑯メイショウヤタロウが横並び。その後ろには、①アミカブルナンバー・ダノンシャーク・オリービン・ダイワマッジョーレの4頭が10番手集団を形成している。エールブリーズ14番手、15番手プリムラブルガリス、⑪リヴェレンテが最後方を進んでいる。
内回り3,4コーナー中間点を過ぎ、アンバーが依然先頭だが、プロスパーとリチャードが接近し、外からヤタロウが上昇。アイルはまだ5番手辺り、前が塞がっている。マッジョーレは外に持ち出し、シャークはまだ馬群の中。4コーナーを回ったところで、コパノリチャードが先頭に立ち、その内からマジンプロスパーが並びかけ、ミッキーアイルが外に回り、さらにはローブティサージュが内ラチ沿いから上がってきた。残り200mでアイルがリチャードを捕らえると、ティサージュが2番手に浮上。大外から一気にダイワマッジョーレが伸びてきた!そして最後はローブティサージュ、ミッキーアイル、ダイワマッジョーレが3頭横一線でゴールインしたが、外のマッジョーレがハナ差で1着!ミッキーアイル2着、ローブティサージュは3着となりました。
GⅠ馬4頭が参戦した阪急杯は、単勝2番人気のダイワマッジョーレが接戦を制して優勝。3コーナー辺りでは中団よりやや後ろの位置に控え、最後の直線でミルコ・デムーロ騎手のムチに応えるかのように一気に追い上げ、最後はローブティサージュとミッキーアイルを2頭まとめて差し切りました。ミッキーアイルは控えた競馬で2着、ローブティサージュは前走の京阪杯での大敗がウソのような好走ぶり。この前はゲート入りでかなり嫌がっていたけど、今回は素直に入りましたね。3番人気のダノンシャークは5着、1番人気のコパノリチャードは直線で一旦先頭に躍り出たものの、最後に沈んで6着。昨年に続いての連覇はなりませんでした。
勝ったダイワマッジョーレは、2013年の京王杯スプリングカップ以来の勝利で通算6勝目。重賞勝ちも今回で2度目。鞍上のミルコ・デムーロ騎手は、JRA所属1日目でいきなり重賞勝ちを収めました。この日は第3レースの3歳未勝利戦でJRA免許取得後初勝利を挙げると、第7レースの「4歳上500万円以下」でも勝利し、1日で3勝をマーク。リーディングジョッキー獲得へ幸先良いスタート、世界クラスの騎手はレベルが違いますね。
中山メイン・第89回中山記念(GⅡ・芝1800m 11頭立て)は、昨年の皐月賞馬⑩イスラボニータとオークス馬④ヌーヴォレコルトが初対決。他にも2013年皐月賞馬⑦ロゴタイプ、⑪ステファノス、⑤マイネルフロスト、③タガノグランパらが出走しました。
スタンド前のスタートで、ヌーヴォレコルトがポンと飛び出したが、⑥タイキパーシヴァルがかわし、先頭でスタンド前通過。ロゴタイプは2番手から、ヌーヴォレコルトは3番手、イスラボニータは4番手で1コーナーを回る。
1,2コーナーから向正面に入ったところで、タイキパーシヴァルが単独先頭、2番手にロゴタイプ、3番手のヌーヴォレコルトは岩田康誠騎手が手綱を引っ張っている。その外にイスラボニータが並ぶ。5番手にマイネルフロスト、タガノグランパとステファノスが6,7番手並走。8番手②ゼンノルジェロ、9番手⑧ナカヤマナイト、10番手①ヒラボクディープ、⑨トラストワンしんがり追走。
3コーナーを回り、後続にリードを拡げて逃げるパーシヴァルが快調なペースで飛ばすが、残り600mを過ぎたところでその差がなくなる。3,4コーナー中間点でロゴタイプがタイキパーシヴァルを抜く。ボニータは3番手、ヌーヴォは最内4番手。フロスト、ナカヤマナイトも好位進出。4コーナーから直線に差し掛かり、ロゴタイプが先頭、内からヌーヴォレコルト、真ん中マイネルフロスト、外からイスラボニータが追いかける。大外にステファノスもいる。残り200mでボニータがなかなか伸びず、ラスト100mでヌーヴォとロゴが並び、ゴール前でヌーヴォレコルトが抜け出して1着ゴールイン!オークス馬・ヌーヴォレコルト、新旧皐月賞馬を一蹴しました!
中山競馬場に春を告げる一戦は、メンバー紅一点のヌーヴォレコルトが内ラチ沿いから差しを決めて優勝。牝馬がこのレースを勝ったのは、1991年のユキノサンライズ以来24年ぶりの快挙だそうです。ロゴタイプは4コーナーのところで先頭に立ちましたが、最後まで押し切れず2着。2走前の中山金杯でも最後にかわされたんだよなあ。3着にはステファノスが入り、1番人気のイスラボニータは伸びずに5着。ヌーヴォとボニータはともに休み明け初戦でしたが、明暗がはっきり分かれましたね。
ヌーヴォレコルトは昨年のオークス、ローズステークスに次いで重賞3勝目。初めての中山コース、古馬になって最初のレース、一線級の牡馬との対戦だったけど、大きな1勝と挙げました。同世代のハープスターが京都記念で不甲斐なかったのに対し、ヌーヴォレコルトはしっかりと結果を出した。今思えばヌーヴォの方が「最優秀3歳牝馬」に相応しかったのでは…。陣営によれば、この後はヴィクトリアマイルから宝塚記念に向かう予定。もう1つのGⅠタイトル獲得で「4歳世代最強」を証明できるでしょうか?
来週からは3歳クラシックのトライアル競走がスタート。7日は阪神競馬場で桜花賞TRのチューリップ賞が行われ、阪神ジュベナイルフィリーズ2着のレッツゴードンキ、3着のココロノアイ、エルフィンステークスを勝ったクルミナル、紅梅ステークスを制したコンテッサトゥーレ、出遅れ癖がついちゃったロカ、さらには白毛馬のブチコも出走を予定しています。ブチコはダートで2勝してますが、芝では3戦未勝利なんだよなあ。
8日は中山競馬場で皐月賞TRの弥生賞があります。2連勝でホープフルステークスを勝ったシャイニングレイをはじめ、京都2歳ステークスの勝ち馬ベルラップ、札幌2歳王者・ブライトエンブレム、シンザン記念を制したグァンチャーレ、京成杯2歳ステークス覇者・サトノクラウン、いちょうステークス初代優勝馬・クラリティスカイ、デイリー杯2歳ステークスの勝ち馬・タガノエスプレッソと重賞ウィナー7頭が参戦。シャイニングVSサトクラの無敗対決は見逃せないですね。