第104回全国高校野球選手権大会の決勝戦が22日、阪神甲子園球場で行われました。今大会の決勝に勝ち進んだのは、仙台育英高校(宮城)と下関国際高校(山口)の2チーム。3度目の決勝選出となる仙台育英は、準決勝で聖光学院(福島)に18得点を奪い圧勝。下関国際は準々決勝で春の選抜王者・大阪桐蔭、準決勝で準優勝校・近江高校(滋賀)を撃破しました。全国3547チームの頂点を懸けた戦いを制したのは一体どちらか?
両チームのスタメン
【下関国際】
1番(中)赤瀬健心(3年)
2番(二)松本竜之介(3年)
3番(遊)仲井慎(3年)
4番(一)賀谷勇斗(3年)
5番(右)水安勇(3年)
6番(左)奥山晃大(3年)
7番(三)森凜琥(りく)(3年)
8番(投)古賀康誠(3年)
9番(捕)橋爪成(3年)
【仙台育英】
1番(中)橋本航河(2年)
2番(遊)山田脩也(2年)
3番(三)森蔵人(3年)
4番(右)斎藤陽(ひなた)(2年)
5番(一)岩崎生弥(3年)
6番(左)遠藤太胡(だいご)(3年)
7番(二)秋元響(3年)
8番(投)斎藤蓉(よう)(3年)
9番(捕)尾形樹人(2年)
注目の決勝戦、先行の下関国際は2回に2死から森凜琥がヒットで出塁するも得点なし。後攻の仙台育英は3回に2死から尾形がヒットを放つも後続が凡退。仙台育英・斎藤蓉、下関国際・古賀、両先発ともに3回まで1安打無失点。
4回、仙台育英は斎藤蓉がわずか4球で3者凡退に抑えると、その裏に先頭の山田がレフト線を破る2塁打を放つと、森蔵人の犠打で1死3塁のチャンスを作り、4番・斎藤陽が下関先発・古賀の初球を叩いてライト前へのタイムリーヒット。仙台育英がまず1点を先行。
5回表、1点を追いかける下関国際は、奥山の四球と森凜琥のヒットで無死1,2塁。8番・古賀が送りバントを試みるも、斎藤蓉が3塁送球→2塁走者が3塁封殺。続く橋爪は2塁ゴロ併殺打。無死1,2塁のチャンスを活かすことができません。
ピンチを凌いだ仙台育英は、5回裏に2死3塁から橋本がセンター前タイムリーを放って2点目を奪う。続く山田の場面で橋本が2塁への盗塁を成功させると、山田が低めの変化球を合わせてセンター前に落ちるタイムリーヒットでもう1点追加。1,2番コンビの連続タイムリーで3-0とリードを拡げた。
6回、下関国際は先頭の赤瀬が斎藤蓉の初球を捉え、右中間への3塁打を放つ。1死の後、仲井の内野ゴロの間に1点を返し、3-1と2点差に縮めます。
仙台育英2点リードで終盤を迎えた7回、仙台育英は先頭打者が死球で出塁すると、橋本が下関2番手・仲井の3球目を右中間へ弾き返すタイムリー3塁打で4点目。この後2つの四死球で満塁となり、1死満塁の場面で岩崎が仲井の5球目のストレートを強振!レフトへ舞い上がった打球は浜風に乗ってスタンドイン!岩崎の値千金の満塁ホームランが飛び出し、8-1と下関を突き放します!
仙台育英は8回から高橋煌稀(2年)がマウンドに上がり、下関打線を寄せ付けず。下関国際は9回に2本のヒットで2死1,3塁と攻め立てだが最後の打者が3塁ゴロに倒れて試合終了。仙台育英が8-1で下関国際を下し、初優勝を飾りました。
【試合結果】第14日 決勝 仙台育英VS下関国際/甲子園
下|000 001 000|1
仙|000 120 50X|8
バッテリー
(下)古賀、仲井-橋爪
(仙)斎藤蓉、高橋-尾形
本塁打
(仙)岩崎1号満塁(7回、仲井)
1915年の第1回大会から108年目の2022年、深紅の優勝旗が遂に「白河の関」を越えました!仙台育英高校が東北勢として初優勝の快挙を成し遂げました。4回に先制し、5回に2点、7回には岩崎選手の満塁本塁打など5点を追加しました。投げては斎藤投手が7回1失点、高橋投手は2イニング無失点。仙台育英は準決勝まで本塁打がなく、決勝の結果次第では「完投なし&本塁打なしでの優勝」という大会史上初の珍記録が生まれるかと思われましたが、何とか免れました。
敗れた下関国際は、5回の無死1,2塁のチャンスをモノにできなかったのが痛かったし、快進撃の立役者だった仲井選手が7回に5失点。優勝候補と言われていた大阪桐蔭と近江の2校を破った勢いそのままに決勝も勝っちゃうんかと思ったんですが、山口県勢64年ぶりの優勝は成りませんでした。点差を拡げられても最後まで諦めずに戦ったのは良かった。
仙台育英は今大会、初戦となった2回戦で鳥取商業を10-0で下すと、3回戦の明秀日立(茨城)戦では6回までリードされながらも7回に3点を奪い、5-4の逆転勝ち。準々決勝の愛工大名電(愛知)戦は3回までに5点を奪い、6-2で快勝。準決勝の聖光学院との東北勢対決は、2回に11得点を奪う猛攻。その後も追加点を重ねて18ー4で勝利。決勝戦も中盤以降に得点を重ねました。
今大会は斎藤蓉投手、高橋投手の他にも、エースの古川翼投手、2年生の湯田統真投手と仁田陽翔投手も登板。投手陣の層が厚いから、全ての試合で継投を行いました。かつての高校野球は絶対的エースが完投する印象がありましたが、最近は継投が当たり前みたいになりましたね。選手の体を守るためにもいい事だと思う。
打線の方は、1番の橋本選手が2本のタイムリーヒットを放つなど3安打2打点。2番の山田選手も3安打をマーク。7回に貴重なグランドスラムを放った岩崎選手は、スタンドイン直後にガッツポーズ。打った球は高めに浮いたボール球で、見逃せば押し出し四球だったと思います。岩崎選手は前年に「逆流性食道炎」や「食道裂孔ヘルニア」を患いましたが、病気を克服して甲子園でメンバー入り。代打で結果を残し続けると、準々決勝以降はスタメンに定着し、決勝で満塁弾。この勝負強さは恐ろしいほどだ。
昨年の夏の甲子園は無観客試合と雨での順延が相次ぎましたが、今年は1日も順延がなく無事に閉幕。新型コロナの感染者が見つかったチームもありましたが、出場辞退はありませんでした。近江高校の山田陽翔投手の力投、今大会3本塁打を放った高松商業の浅野翔吾選手の活躍もあれば、下関国際の快進撃、白河の関越えと見どころいっぱいでした。選手の皆さん、本当にお疲れ様でした。