2010年のJリーグ1部は、4日に各地で第34節が行われました。今季は名古屋グランパスの優勝が決まっておりますが、ACL出場権とJ1残留争いは最終節までもつれ込みました。ACL出場権は、鹿島アントラーズ、ガンバ大阪、セレッソ大阪の3チーム。一方、16位のヴィッセル神戸、15位・FC東京、14位・ベガルタ仙台がJ2降格の危機に立たされています。勝てば天国、負ければ地獄の最終節。結末はいかに?
△ベガルタ仙台(勝ち点39)1-1 川崎フロンターレ(勝点54)△
現在14位と残留争いをしている仙台は、神戸と東京の結果次第では降格となるだけに、川崎戦は絶対に負けられない。
両チームとも互角の戦いの中で迎えた前半25分、川崎はジュニーニョのゴールで1点を先制。ホームでJ2降格は避けたい仙台も、チャンスを何度迎えても得点が奪えず。このまま川崎勝利で終わるかに思われた後半48分、仙台はCKから渡辺広大が頭で叩きこんで同点!何とか引き分けに持ち込み、自力での残留を決めました。
△モンテディオ山形(勝ち点42)1-1 鹿島アントラーズ(勝ち点60)△
4連覇を逃した鹿島アントラーズ、最終戦の山形戦に勝ってACL出場権を確保できるか?
先制したのは山形でした。前半16分、左CKから秋葉勝のシュート→西河翔吾がコースを変えてゴールイン。1点を追う鹿島は積極的に攻撃を仕掛けるも、山形DFを崩しきれず。前半は山形1点リードで折り返します。後半に入り、鹿島は6分にCKからのファウルでPKを獲得し、小笠原満男が決めて1-1の同点に追い付きます。この後、大迫勇也、青木剛を投入し、後半37分にFKから岩政大樹が頭で合わせるもGK正面。90分間でシュートを13本を放った鹿島でしたが、逆転することができず、1-1のドローに終わりました。
●浦和レッズ(勝ち点48) 0-4 ヴィッセル神戸(勝ち点38)○
負ければ降格が決まる神戸は、アウェーで浦和と対戦。フィンケ監督&ポンテのリーグ戦最後の試合となる浦和は、京都に続いて神戸もJ2に落とすのか。
試合は前半17分、浦和はポンテのミドルシュート、さらにエスクデロもシュートを狙いますが、神戸GK・徳重が立て続けにファインセーブを見せます。迎えた前半31分、神戸は左サイドからのロングボールに反応した吉田孝行がDFラインの裏を抜け出し、最後は右足で流し込んで1点を先制します。
後半も神戸が試合の主導権を握ります。後半3分に小川慶治朗がペナルティエリア内で浦和DF・浜田水輝に倒されてPKを獲得。このPKを吉田がしっかりと決めて2点目。後半14分にはスルーパスから抜け出したパク・カンジョが冷静に決めて3点目。カンジョは神戸サポーターに向かってカズダンス。勝利を決定付けた神戸はロスタイム、右サイドのクロスに小川が右足ボレーでダメ押しの4点目。崖っぷちの神戸、浦和に大勝して勝ち点3獲得!一方の浦和は今年も最終戦で黒星を喫しました。
●横浜Fマリノス(勝ち点51)0-2 大宮アルディージャ(勝ち点42)○
松田直樹、山瀬功治、河合竜二などといった主力選手たちの戦力外通告が波紋を呼んでいるFマリノス。この試合は山瀬と河合が先発し、松田はベンチスタートとなりました。前半14分、左サイドのクロスに山瀬がシュートを放ちますが、ボールはバーにはじかれてゴールならず。28分には中村俊輔の絶妙なパスから藤田優人がシュートもGK正面。前節で残留を決めた大宮は前半39分、右CKから坪内秀介が飛び込んで先制ゴール!1-0で大宮リードで折り返します。
1点を追うFマリノスは、後半から17歳の小野裕二、さらに松田と同様戦力外を受けた坂田大輔を投入。後半26分に俊輔が左足ミドルを放つもGKの好セーブに阻まれる。そして後半39分、松田がピッチに入る。松田にボールが渡る場面が何度もありましたが、同点ならず。後半終了間際、大宮の李浩(イ・ホ)に追加点を奪われて万事休す。ホームで大宮に完封負けを喫したFマリノス、試合後はサポーターからのブーイングが起きました。
○アルビレックス新潟(勝ち点49)3-1 湘南ベルマーレ(勝ち点16)●
試合は立ち上がりから動きました。前半2分に新潟はマルシオ・リシャルデスが左サイドからのFKを直接決めて先制点を奪うと、5分にはミシェウが2点目のゴール。対する湘南は後半16分に17歳の遠藤航が1点を返しました。1点差とされた新潟は後半31分、マルシオ・リシャルデスがこの日2得点のゴールで湘南を突き放しました。新潟は9位でリーグ戦を終え、湘南は勝ち点16の最下位でJ1の戦いを終えました。
●清水エスパルス(勝ち点54)0-3 ガンバ大阪(勝ち点62)○
2位を射程圏内にとらえているガンバ大阪、4年連続ACL出場へ大事な一戦となった清水戦は、前半13分に左サイドの安田理大のクロスボールのこぼれ球をルーカスが右足で流し込んで1点を先制。前半終了の46分、清水はヨンセンがエリア外からボレーを見せますが、ガンバGK・藤ヶ谷陽介がファインセーブ。その2分後、ルーカスのシュートが相手に当たるも、武井拓也が決めて2点目。後半に入ってもガンバの勢いは止まらず。立て続けにチャンスが生まれ、後半41分に途中出場の佐々木勇人が3点目を奪い勝負あり。清水に快勝したガンバ、リーグ戦を2位で終えて来年のACL出場権を獲得しました。
○名古屋グランパス(勝ち点72) 2-1 サンフレッチェ広島(勝ち点51)●
王者・名古屋グランパスはホーム最終戦で広島と激突。得点ランキングトップのケネディにゴールが生まれるか?
前半11分に今季限りで退団するマギヌンがエリア内で切り返してシュートを放つもポスト直撃。22分、右サイドにいた小川佳純のクロス→ケネディがドンピシャヘッドが決まり名古屋先制!ケネディはこれで17得点目。32分、小川のパスからチャンスが生まれ、玉田圭司のスルーパスにマギヌンが抜け出し、左足シュートが決まり2点目。前半終了間際、広島は李忠成のゴールで1点を返すと、後半は決定的なシーンが続出しましたが、反撃もここまで。1点を守り切った名古屋が最終戦を白星で飾り、勝ち点72で有終の美を飾りました。
○京都サンガ(勝ち点19)2-0 FC東京(勝ち点36)●
神戸とは勝ち点差1で15位のFC東京は、格下の京都に勝って残留を決めたいところ。
東京は果敢にゴールを狙い、前半16分に平山相太がロングシュートを放つもバーの上、32分にはCKから森重真人が頭で合わせるもGKの正面。しかし34分、京都の左サイド・中村太亮のクロスに最後はドゥトラにヘディングシュートを決められ、先制点を許してしまいます。1点を追う東京は39分に中村北斗がFKを狙うも左に逸れてノーゴール。
後半、リカルジーニョ、さらには平山がシュートを狙うも、同点ゴールを奪うことができません。後半15分には大黒将志を投入し、後半20分に左CKから今野泰幸がヘディングシュートを見せるが、ゴール前で京都DFにクリアされる。その後も東京の反撃が続くが、1点が遠いまま時間だけが過ぎていく。そして後半ロスタイム、東京GK・権田修一が相手選手を倒してしまいPKを与えてしまう。京都はこのPKをディエゴが決めて2点目。東京にとっては痛い失点。試合は2-0で京都が勝利。16位の神戸が勝利したため、FC東京のJ2降格が決まりました…。
○セレッソ大阪(勝ち点61)6-2 ジュビロ磐田(勝ち点44)●
33節終了時点で4位のセレッソ。最終節の結果次第では3位浮上、ACL出場権の獲得の可能性もあります。対するナビスコ王者・磐田は、エースの前田遼一が得点王なるか注目が集まりました。
この試合はセレッソの攻撃陣が大爆発。前半24分に乾貴士のパスを受けたアドリアーノが先制点を奪うと、その5分後にまたもアドリアーノが追加点を決めてセレッソが前半で2点のリード。
後半になると両チームとも点を取り合います。後半3分に成岡翔のゴールで磐田が1点差に詰め寄りますが、後半9分にセレッソがアドリアーノのハットトリックで3-1と突き放します。その2分後、磐田は前田が今季17得点目のゴールで3-2と再び1点差。セレッソは後半14分、アドリアーノがなんとこの日4得点目!これで4-2としたセレッソは、後半41分にアマラウ、終了間際には途中出場の播戸竜二がゴールを、終わってみれば後半だけで4得点を奪い、6-2で磐田に大勝。鹿島が引き分けに終わったため、セレッソが3位に浮上し、ACL出場権を獲得!
というわけで、2010年のJリーグ・ディビジョン1は全日程を終了しました。名古屋グランパスが年間27勝、勝ち点72で2位に10点差の大差をつけての初優勝。ガンバ大阪が2位、今年J1に復帰したセレッソ大阪が3位と大健闘。この上位3チームが来年のAFCチャンピオンズリーグの出場権を獲得しました。鹿島アントラーズは、4位に終わりACL出場権を逃しました。上位3強の中に大阪勢が2チーム入り、来年のACLは大阪旋風が巻き起こりそうな予感だ。
そして残留争いでは、ヴィッセル神戸が勝利して、FC東京が京都に敗れたため、神戸が逆転でのJ1残留を決めました。FC東京は昇格11年目で屈辱のJ2降格。ホーム・味の素スタジアムでの試合でなかなか勝てず、長友佑都選手がW杯後にチェゼーナに移籍、城福浩監督が解任され、大熊清氏が就任して立て直しを図ろうとしたんですが、上手くいきませんでした。首都・東京のチームがJ1から消え、来季はJ2で東京ヴェルディとの「東京ダービー」が実現…。西日本勢がACL出場、東京の2チームが来年はJ2、Jリーグは西高東低の時代に突入したのかもしれません。
ジュビロ磐田の前田遼一選手と、名古屋グランパスのケネディ選手がともに17得点を挙げて得点王を分け合う結果に。前田選手は史上初の2年連続得点王の偉業達成、ケネディ選手はオーストラリア人初の得点王に輝きました。来月のアジアカップで前田選手が代表に選ばれるか楽しみですね。
2010年のJリーグは終わりましたが、年末年始には天皇杯が控えています。25日の準々決勝は、鹿島VS名古屋、ガンバ大阪VS浦和レッズ、FC東京VSアビスパ福岡、清水エスパルスVSモンテディオ山形の4試合が行われます。ACL最後の1枚の切符をかけた戦いを制するのは一体どこなのでしょうか?