WBC(ワールドベースボールクラシック)で侍JAPANのチームリーダーとして連覇に貢献したイチロー選手が16日、セーフコ・フィールドでのマリナーズVSエンゼルス戦で今季メジャー初出場を果たしました。WBC終了後、胃潰瘍を発症して15日間の故障者リスト入りで開幕戦アウトとなりましたが、無事完治したことでようやくメジャーの舞台に戻ってきました。1番・ライトの定位置でスタメン出場したイチロー、復帰初戦でいきなりやってくれました!
この試合、通算安打数の日本記録保持者である張本勲氏が観戦に訪れ、張本氏の記録まであと2本に迫っているイチローにとっては、本人の前で記録を塗り替えたいところ。イチローの復帰後初打席は初回、エンゼルス先発・ウィーバーの初球を捉えますが、ショートライナーに倒れて初安打ならず。イチローの2打席目は3回無死1塁の場面に訪れ、カーブをセンター前に弾き返して今季初安打を記録。続くチャベスの場面で盗塁を決めます。チームは1死1,2塁とチャンスを迎えますが、後続が相次いで倒れて先制点を取ることができません。
4回に城島健司選手の先制タイムリーでマリナーズが1点を先制。なおも2死1,3塁の場面でイチローの第3打席を迎えます。イチローのバットで追加点を取りたいところでしたが、結果はライトフライで3アウト。タイ記録は4打席目以降にお預け。6回に味方が1点を追加し、無死1,2塁のところでイチローに打順が回ります。ジェプセンの4球目をセンター前へ抜けようとした当たりを2塁ゴロ、俊足で1塁へ駆け抜けるもアウト。イチローまさかの併殺打。
7回、マリナーズは無死満塁からロペスの犠牲フライで1点を追加すると、ジョンソンの2点タイムリーでリードを5点差に広げて、1死満塁の場面でイチローの第5打席。カウント2-3、エンゼルス3番手・バルジャーの6球目の低めのカーブを上手くすくい上げると、打球は山なりでライトスタンドへ飛び込む満塁本塁打!張本氏の前でグランドスラムを放ったイチロー、この一発で張本氏の持つ3085安打に並ぶ日本タイ記録!チームはこの回7点を奪うビッグイニング、試合も11-3でマリナーズがイチローの復帰戦を白星で飾りました。
マリナーズ-エンゼルス
(セーフコ・フィールド、22:10 日本時間:16日 11:10)
エンゼルス 000 020 100 3
マリナーズ 000 121 70X 11
【投手】
(エ)ウィーバー、ジェプセン、バルジャー、スパイアー、R・ロドリゲス-マシス
(マ)ワシュバーン、バティスタ、ケリー、ロー-城島、ジョンソン
【責任投手】
(勝)ワシュバーン2勝
(敗)ウィーバー1勝1敗
【本塁打】
(エ)ハンター3号2ラン
(マ)チャベス1号ソロ、グリフィー2号ソロ、イチロー1号満塁
胃潰瘍でDL明けの復帰戦で見事にグランドスラムを放ったイチロー選手、この試合5打数2安打(1本塁打)4打点の活躍で完全復活を果たしました。5打席目の満塁アーチは張本氏の記録に並ぶ快心の一撃でした。張本氏に並んだと大騒ぎになっていますが、実はこの一発で日米通算1000打点を達成しました。マリナーズもこれで6連勝と絶好調。今季のマリナーズは、ケン・グリフィー加入で打線強化、イチローが復帰したころで打線の層も厚くなってきたんじゃないかなと思います。イチローが出塁して、グリフィーで決めるという必勝パターンが今後見られるでしょう。
イチローが張本氏の記録に並んだことについて、観戦に来た張本氏は「大あっぱれですよ」と称え、「あっさりやってくれたね。病気上がりで時間がかかると思ったが、さすが。よもや満塁ホームランとは思わなかったけどね」と語りました。17日にも観戦予定ということで、「あしたは新記録は間違いないでしょう」と確信しておりました。もちろんイチローならやってくれるはずですよ。福岡ソフトバンクの王貞治会長が「メジャー史上初の9年連続200安打という大記録達成に弾みのつく記録であり、ぜひ達成してほしい」とエールを送りましたが、この感じなら9年連続200安打もクリアできると思っています。
日本時代は94年に200本安打を達成、99年には本塁打で1000本安打を達成し、7年連続で首位打者に輝きました。メジャー移籍以降は、デビューから8年連続200本安打、1年目にはマリナーズの快進撃の立役者となり、首位打者・新人王・アリーグMVPを受賞。2004年には日米通算2000本安打を達成すれば、262本の年間最多安打記録を樹立。メジャーでも記録を残し続けたイチローですが、9年目のシーズンに入った今年、WBCのストレスが影響してか胃潰瘍で初の故障者リスト入り。人生最大の挫折を味わうことになりましたが、復帰戦で2安打放って復活をアピール。次の試合では、3086本目のヒットが出るかもしれません。次の目標は9年連続200本安打とメジャー通算2000本安打。2つとも今年達成しそうな記録なので、イチローにはまた金字塔を打ち立ててほしいものです。