「2014 Jリーグディビジョン1」は6日、最終節9試合が行われる予定でしたが、アルビレックス新潟VS柏レイソル戦(@デンカビッグスワンスタジアム)が大雪のため中止となり、8試合行われました。第33節を終え、優勝争いは勝ち点62で並ぶガンバ大阪と浦和レッズ、勝ち点60で3位の鹿島アントラーズの3チームに絞られました。ガンバと浦和は勝ち点を多く上積みしたほうが優勝、鹿島は最終戦に勝ち、上位2チームが負ければ大逆転で王者となります。優勝争い&残留争い、この日すべてが決まります。
鹿島アントラーズ0-1サガン鳥栖@カシマサッカースタジアム
3位からの逆転優勝のためには勝つしかない鹿島は、ホームで4位・サガン鳥栖と対戦しましたが…。
試合は序盤に動きます。前半6分、鳥栖は左サイドで安田理大がクロスを上げると、FW池田圭が落としたボールを、MF高橋義希がペナルティエリア手前の位置から右足ボレーシュートでゴールネットを突き刺し、鳥栖が早々と先制点を奪います。
劣勢に立たされた鹿島は、13分にDF植田直道のロングボールからFW赤崎秀平がダイレクトで合わせるもGKにキャッチされ、24分にはMF遠藤康、31分には植田がシュートを打つも、ゴールを奪えず。後半16分には遠藤康が見方のワンツーから抜け出してシュートを放つも枠を捉えられず。1点が遠いまま時間だけが過ぎていった後半アディショナルタイム、右サイドでDF西大伍クロス→ルイスアルベルトのシュートはクロスバー直撃→こぼれ球をMF土居聖真が押し込んで同点ゴールかと思いきや、オフサイドでノーゴール。最後まで決定力不足に泣いた鹿島、鳥栖に敗れて優勝を逃しました…。
ガンバ大阪0-0徳島ヴォルティス@鳴門・大塚スポーツパークポカリスエットスタジアム
優勝に王手をかけている首位・ガンバ大阪、徳島に勝てば自力で優勝、引き分け以下なら浦和レッズの結果待ちとなります。
序盤は優勝へのプレッシャーからか、徳島にペースを握られます。ホーム初勝利を狙う徳島は開始3分にMF衛藤裕がシュートを放つも枠外、14分にはDF那須川将大が左サイドからミドルを放つが、ガンバGK東口順昭にキャッチされます。ガンバは前半28分、右サイドのクロスのセカンドボールを拾ったMF阿部浩之がシュート。しかし、わずかにバーの上。31分にはCKの流れから左サイド・遠藤保仁のクロス→DF丹羽大輝が頭で落とし、最後は米倉恒貴がスライディングシュートを放ったが、徳島GK・長谷川徹のファインセーブに阻まれる。その後も攻め込むガンバだが、前半は無得点で折り返し。
後半開始早々、徳島にビッグチャンス到来。ゴール前での混戦からDF橋内優也のシュートがゴールに吸い込まれるも、オフサイドで先制ならず。ガンバにとっては命拾い。ガンバは後半20分過ぎに宇佐美貴史がPA手前からシュートを放つもDFにブロックされ、22分には左サイドで宇佐美クロス→パトリックが頭で合わせるも枠を捉えられず。後半27分、徳島はカウンターを試み、FWキムジョンミンのスルーパス→エステバンのシュートはサイドネット直撃。後半32分、ガンバは宇佐美が右の位置から狙うもGKに防がれる。その後も両チームともにゴールは生まれず試合終了。ガンバは徳島にスコアレスドローに終わり、勝ち点1を挙げました。
浦和レッズ1-2名古屋グランパス@埼玉スタジアム2002
優勝目前から一転、失速で首位転落を味わった浦和レッズ。ホーム最終戦の名古屋戦に勝って逆転Vなるか?
前半2分、浦和は左サイドのCKをDF槙野智章がヘディングで合わせて先制ゴール。浦和が早々と先制点をもぎ取ります。先制された名古屋も負けじと反撃。10分にMF小川佳純のミドルシュートはクロスバーを叩くと、35分には矢田旭が右サイドから左足を振り抜くも、ポスト左に当たってノーゴール。浦和は1点リードで前半を終えます。
しかし後半27分、名古屋はMF田口泰士の左CKをDF矢野貴章が頭で合わせるも、浦和GK西川周作が好セーブ。しかし、こぼれ球をDF牟田雄祐が押し込み、1-1の同点に追いつく。さらに後半アディショナルタイム目前、名古屋は途中出場の松田力が相手のパスをカットすると、逆サイドの永井謙佑へスルーパス。永井は一気にドリブルで持ち込み、そのまま左足シュートを決めて見せた。一瞬のカウンター攻撃で名古屋が勝ち越し。悪夢の逆転負けを喫した浦和レッズ、勝ち点を積み上げられず終戦。この結果、ガンバ大阪の優勝が決定しました。
2014年のJ1王者争いは、鹿島(勝ち点60)と浦和(勝ち点62)が勝ち点を上積みできなかったのに対し、徳島に引き分けて勝ち点1を積み上げたガンバ大阪が勝ち点63とし、2005年以来9年ぶり2度目の優勝を果たしました。2012年にJ2降格、2013年にJ2優勝でJ1復帰。今年は昇格即優勝、ナビスコカップに続いての2冠達成で、天皇杯を含めた3冠制覇にリーチをかけました。W杯前は降格圏の16位、浦和とは勝ち点14差もありましたが、リーグ再開後は15勝2敗3分け。2週間前の浦和レッズ戦で勝ち点差を2に縮め、先週の試合に勝って勝ち点で並び首位浮上。最大勝ち点14差をひっくり返しての逆転劇、まさにミラクルですね。
浦和レッズは前半終了時点では、浦和が勝っていたので、逆転優勝もあり得ると思われましたが、後半に2失点を喫して逆転負け…。試合終了の瞬間、選手のみんなが泣き崩れてしまいました。7年前の悪夢を再び起こしたレッズは、2007年のAFCチャンピオンズリーグを優勝して以降タイトル無し…。レッズの終盤の失速は秋から冬にかけての名物詩と言ってもいいかも。それにミハイロ・ペトロヴィッチ監督は優勝できない運命にあるのか?
その他の試合。15位・清水エスパルスと、16位・大宮アルディージャの残留争いはどうなったのか?
大宮アルディージャ2-0セレッソ大阪@NACK5スタジアム大宮
前節終了時点で勝ち点32・降格圏の16位にいる大宮。セレッソ戦に勝たなければJ2降格が決まってしまいます。
試合は前半21分、FWズラタンのグラウンダークロス→MF金澤慎が右足でゴールを決めて1点を先制。前半35分、セレッソは左サイドの折り返しに反応した南野拓実がシュートするも、ポストに当たりノーゴール。後半5分、橋本晃司→ズラタンと繋ぎ、最後はムルジャがゴールネットを揺らして2点目。大宮はホーム最終戦でセレッソに2-0で快勝し、勝ち点3を獲得。清水の結果を待つ。
清水エスパルス0-0ヴァンフォーレ甲府@IAIスタジアム日本平
15位・清水は引き分け以上で残留決定、サッカー王国・静岡の威信をかけた運命の一戦で残留なるか?
前半は清水・甲府共にお互い決め手がなく、両チーム無得点で終了。後半2分、清水は左サイド・ノヴァコヴィッチのクロス→大前元紀のシュートは甲府GK・荻晃太に止められ、はね返ったボールは大前の体に当たり、ゴールに吸い込まれるかと思いきや、甲府DFがゴールライン際でクリア。逆に後半23分、甲府・阿部翔平が左サイドからダイレクトボレーを狙ったが、清水GK・櫛引政敏が防ぐ。櫛引は後半30分にもクリスティアーノのシュートを体を張って防いだ。試合は0-0のまま終了し、清水が勝ち点1を積み上げて残留を決めました。
サンフレッチェ広島2-0ベガルタ仙台@エディオンスタジアム広島
試合途中から雪が降りだしたこの試合、後半19分に高萩洋次郎のゴールで広島が先制すると、さらに3分後の後半22分、青山敏弘の縦パス→またしても高萩にゴールが決まり1点追加。仙台は今季限りで引退する柳沢敦が後半途中から出場するもゴール無し。
ヴィッセル神戸1-2川崎フロンターレ@ノエビアスタジアム
得点王を争っている川崎・大久保嘉人と神戸・マルキーニョスが最終節で顔を合わせました。川崎は前半11分、ゴール前のこぼれ球を大久保が押し込んで先制点をもぎとると、後半40分にレナトが獲得したPKを大久保が決める。大久保はこの試合2得点を挙げ、今季18得点。一方の神戸は、後半終了間際に田代有三のPKで1点返すも時すでに遅し。エース・マルキーニョスも不発に終わりました。
FC東京1-1横浜Fマリノス@味の素スタジアム
FC東京は前半42分にCKから高橋秀人のヘディングシュートで先制。しかし、マリノスも後半14分に伊藤翔のゴールで同点とする。試合はこのまま1-1の引き分け。
なお、雪で中止となった新潟VS柏の試合は、8日(月曜日)にカシマスタジアムで代替開催。せめて味スタか大宮、あるいは駒場でもよかった。
J1第34節順位表(暫定)
1位 G大阪(勝ち点63/得失点差28)※来季ACL出場決定
2位 浦和(勝ち点62/得失点差20)※来季ACL出場決定
3位 鹿島(勝ち点60/得失点差25)
4位 鳥栖(勝ち点60/得失点差8)
5位 柏(勝ち点57/得失点差6)※1試合未消化
6位 川崎(勝ち点55/得失点差13)
7位 横浜FM(勝ち点51/得失点差8)
8位 広島(勝ち点50/得失点差7)
9位 FC東京(勝ち点48/得失点差14)
10位 名古屋(勝ち点48/得失点差-1)
11位 神戸(勝ち点45/得失点差-1)
12位 新潟(勝ち点44/得失点差-4)※1試合未消化
13位 甲府(勝ち点41/得失点差-4)
14位 仙台(勝ち点38/得失点差-15)
15位 清水(勝ち点36/得失点差-18)
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16位 大宮(勝ち点35/得失点差-16)※J2降格
17位 C大阪(勝ち点31/得失点差-12)※J2降格
18位 徳島(勝ち点14/得失点差-58)※J2降格
J1残留争いは甲府に引き分けて勝ち点1を上積みした清水が15位で残留決定。大宮はセレッソ戦に勝利するも勝ち点1差及ばず、10年目で無念のJ2降格です。最終戦勝ったのにJ2落ちってのは、99年の浦和レッズ以来じゃないか?浦和は優勝を逃し、大宮はJ2降格で、さいたま市にとって辛い1日となってしまいました。
得点王争いは大久保嘉人選手が18得点を挙げ、2年連続得点王を確実としました。日本人選手が2年連続で得点王に輝いたのは、前田遼一選手に次いで2人目です。
2005年に始まったJリーグの1ステージ制は今季を以って終了。来年からは「2ステージ制+ポストシーズン」が導入されます。新たに導入されるポストシーズンは前期と後期の優勝チームと年間勝ち点2位と3位のチームが「スーパーステージ」に出場し、その勝者が「チャンピオンシップ」で年間勝ち点1位のチームと「年間王者」をかけて戦います。
来週・13日は日産スタジアムで「第94回天皇杯全日本サッカー選手権大会」の決勝戦が行われます。2冠王者・ガンバ大阪が3冠をかけてJ2のモンテディオ山形と対戦します。山形は準決勝でジェフ千葉に勝ち、J1昇格プレーオフの1回戦では、GK・山岸範宏選手の決勝ゴールでジュビロ磐田に勝利しており、いまJ2で最も勢いに乗ってるチームです。もしかすると、ガンバの3冠を阻止するってこともあり得るかもしれない…。