秋の最強ジャンパー決定戦・第137回中山大障害(J・GI 芝4100m 13頭立て)が20日、中山競馬場で行われました。昨年の大障害・春の中山グランドジャンプと障害GⅠ2連勝中の⑧アポロマーベリック、京都ジャンプステークスを勝った⑩オースミムーン、東京ハイジャンプ覇者③サンレイデューク、イルミネーションジャンプステークス覇者⑥レッドキングダム、他にも④ケイアイドウソジン、⑪バアゼルリバー、GJ2着②リキアイクロフネ、⑤メイショウヨウドウなどが参戦しました。
3,4コーナー中間点からのスタートで、⑫ドリームセーリングがポンと飛び出し、アポロマーベリックは2番手からの競馬。まず最初の5号生垣障害をドリームセーリングが先頭で飛越すると、後続もクリア。正面スタンド前で、オースミムーン3番手、シャイニーブラック4番手、バアゼルリバー5番手。6番手にケイアイドウソジン。レッドキングダムとリキアイクロフネは中団を追走、その後ろには①セイエイ・⑦クリノテンペスタ・サンレイデューク・メイショウヨウドウと続き、⑬メジロサンノウが最後方でスタンド前を通過。
先頭で飛ばすセーリングは、スタンド前の連続障害(水ごう&生垣)、1,2コーナー中間点の3号生垣を先頭で飛越。マーベリックは依然として単独2番手。オースミとシャイニーが3,4番手で並び、ヨウドウが6,7番手までポジションを上げた。13頭は大障害コースに差し掛かり、「最近落馬しない」大竹柵障害に向かう。ドリームセーリングがトップで飛び越えると、他の馬たちも続々とクリアした。今年も大竹柵での落馬はなし。
逆回りになったところで、セーリングとマーベリックの差が詰まる。バンケットのところでメイショウヨウドウが2番手に浮上してきた。4番手集団にオースミムーンとバアゼルリバー、中団グループにはレッキンとデューク、ドウソジンが控えている。坂を上がったところでヨウドウが単独2番手、アポロマーベリックは3番手に下がる。そして2回目の大障害コースに入り、今度は「赤レンガ」大生垣をドリームセーリングらが無事に飛越。バアゼルとテンペスタがバランスを崩すも、なんとか持ち直した。
順回りに戻り、2号生垣を全馬クリアするが、3号障害でクリノテンペスタが落馬してしまう。レースも終盤に差し掛かり、アポロマーベリックが2番手に上がり、オースミムーンも進出し始める。レッドキングダムは6番手。3コーナーのバンケットでレッキンが3番手まで進出し、坂を上り終えたところでマーベリックがセーリングを抜いて先頭に躍り出て、最終障害をトップで飛越。
全ての障害を飛び終え、残すは平地での追い比べ。アポロマーベリックが後続を離し、ダートを横切って先頭で芝コースに入った。そして2番手のレッドキングダムが懸命に追いかける。このままマーベリックが押し切るかと思いきや、大外に持ち出したレッキンが徐々に接近し、ラスト100mでマーベリックをあっさりとかわし、そのまま突き放して1着ゴールイン!アポロマーベリックは2着、3着争いはサンレイデュークが入りました。
中山大障害 全着順&払戻金
1着⑥レッドキングダム 4分41秒0
2着⑧アポロマーベリック 3馬身
3着③サンレイデューク 5馬身
4着⑨シャイニーブラック 1馬身
5着⑩オースミムーン クビ
6着⑫ドリームセーリング 2馬身1/2
7着④ケイアイドウソジン 3馬身1/2
8着⑤メイショウヨウドウ 1/2馬身
9着①セイエイ クビ
10着⑪バアゼルリバー 1/2馬身
11着②リキアイクロフネ 5馬身
12着⑬メジロサンノウ 大差
中止⑦クリノテンペスタ
単勝 ⑥ 960円
複勝 ⑥ 220円 ⑧ 120円 ③ 210円
枠連 [5]-[6] 1120円
馬連 ⑥-⑧ 1020円
馬単 ⑥-⑧ 3030円
ワイド ⑥-⑧ 430円 ③-⑥ 860円 ③-⑧ 410円
3連複 ③-⑥-⑧ 2200円
3連単 ⑥-⑧-③ 15590円
障害レースの年末の大一番・中山大障害は、アポロマーベリックの1強ムードかと思われましたが、単勝4番人気のレッドキングダムが優勝。道中は中団の位置でレースを進め、2周目3コーナーで3番手まで押し上げ、北沢伸也騎手のムチ連打に応えるかのように末脚を伸ばし、前を行くアポロマーベリックを捉え、最後は3馬身差をつけました。単勝1.7倍と断然の1番人気だったアポロマーベリックはJ・GⅠ3連勝ならず。3着には3番人気のサンレイデュークが入り、2番人気のオームミムーンは6着に終わりました。今年は13頭が出走して12頭が完走。2周目の3号障害で落馬競走中止したクリノテンペスタと植野貴也騎手は、ともに異常ありませんでした。無事でよかった。
勝ったレッドキングダムは、栗東・松永幹夫厩舎に所属し、父がディープインパクト、母・プラウドビューティーという血統。ディープインパクト産駒が障害GⅠを勝つのはこれが初めて。同じ産駒ではメイショウブシドウが重賞2勝(小倉サマージャンプ&阪神ジャンプステークス)しています。それにしてもレッキンの直線での伸び脚は、まさにディープ産駒そのものでしたな。
レッキン鞍上の北沢伸也騎手はデビュー25年目で嬉しいGⅠ初勝利。今年3月に障害通算100勝を達成すると、重賞も2勝。12月20日時点で12勝と障害リーディングをひた走っています。2012年以来自身2度目の障害リーディング獲得も確実か?松永幹夫調教師は平地ではレッドディザイアが2009年の秋華賞を勝利していますが、J・GⅠは初勝利です。
レッドキングダムは今年4月に障害に転向し、4戦目の小倉・未勝利戦で初勝利。それ以降、オープン戦とイルミネーションジャンプステークスで勝ち、中1週で臨んだ今回、重賞初勝利をGⅠで飾りました。デビューから未勝利のまま地方・岩手に移り、中央に戻っても低迷。平地で泣かず飛ばずだった馬が、障害で才能を開花させ、障害界の「キング」となりました。今後も王者として障害戦線を牽引し続けてほしいものです。