かっこうのつれづれ

麗夢同盟橿原支部の日記。日々の雑事や思いを並べる極私的テキスト

「薔薇の花かんむり」感想。

2007-10-13 23:32:22 | マリア様がみてる
 なんだか風邪がやたらと流行っている感じです。このところ急転直下に気温が下がってきているのが原因なのでしょうか? 気温が下がった、と言っても、まだ平年より少し高いか、せいぜい平年並みになったくらいのところなのですが、ほんの1ヶ月前は平年値より5℃以上高かったのですから、体感的にはいきなり寒くなった、と言うように感じられるのでしょう。
 ただいま、家人のうちでは私一人が風邪の症状を呈すること無く無事に済んでいる状況ですが、この分だといつ私も風邪をひくやも知れません。出来るだけ暖かにして睡眠を十分にとるのが肝要のようです。

 さて、発売から既に10日を超えましたので、そろそろネタバレ感想の一つも記録しておこうかと思います。
「マリア様がみてる 薔薇の花かんむり」。
 これまで引っ張りに引っ張り続けた祐巳瞳子のスール問題がようやくにして解決した重要な巻です。中でも、前々巻「あなたを探しに」でほぼ決着が付いたスール問題。残るはロザリオの授受だけと言う話を、今回一体どうやって1巻分に引き伸ばしてまとめるのか、と言う点が気がかりだったのですが、実にあっさりと、わずか40ページ少々で話を決めてくれました。そして、その後お話の本筋は、祐巳たち2年生が主催するイベント「3年生を送る会」の準備と挙行に移ります。その一方で祥子がついぞ見た事の無い「がり勉」ぶりを見せたり遅刻しそうになったり、と言う謎の奇行を繰り広げる様を、受験を終えて復活した築山三奈子を絡めて話を膨らませてあるという構成になっておりました。色々と想像していた内容とまるきり違う展開に肩透かしを食ったような気がしたのは否めませんが、まあそれはある意味当然なわけで、ようはそれが十分面白く納得できる展開なら問題は無いわけです。
 で、結果的には十分に面白かったと言えるわけですが、発売日の日記にも記載したように、なんとなく違和感と言うか漠然とした理由のわからない不満が残っておりました。その後3回ほど読み返してなんとなく、ああそんなことかもしれないな、と言うところに思い当たりました。
 一つは、瞳子がしっくりと何の軋轢もなく山百合会にはまりきったこと。これまで、祐巳はもちろん志摩子や乃梨子が薔薇の館になじむまでには色々とドラマがあり
、それが丹念に描かれていたように思うのですが、今回は祐巳の「スールになったからよろしく」宣言一つで全てオチが付いたところが、なんともあっさりしていて「ふーむ」と腕を組みたくなった点になります。しかも乃梨子と瞳子の1年生コンビがまたとんでもなく元気で気が利いていて、ほとんど欠点のない無謬性を見せ付けてくれるあたり、ほんとにこいつら一年生か? と疑問の一つも呈したくなるほどのものでした。まあ、スール宣言直後の乃梨子喜びの涙が素直に感動的で、そのあたりの違和感はほとんどそれで解消、というので一向に構わないのですが、ちと末恐ろしさを覚えたのも事実です。
 それよりも多分本質的に違和感を覚えたのが、「3年生を送る会」を巡る祐巳たちの対応振りでしょう。1年前、体調を崩して倒れるようなところまで行った祐巳が今回は実に余裕綽々でこなしているように見えるのです。文中には忙しさをアピールするような文言も散見されるわけですが、「いとしき歳月」の焦燥感というか、多忙で切羽詰ったような感じは今回まるでありませんでした。それだけ祐巳たち2年生トリオが生長し、また1年生コンビが1年生離れした活躍をして仕事をこなしていったからなのだろうと思うわけですが、1年前、祥子と令が「3年制を送る会」にかまけるあまり、山百合会お別れ会を完全に失念していたような余裕のなさを示したのと比べれば、雲泥の差が感じられます。生長振りを描くのはもっともだと思うのですが、少々生長し過ぎているように感じたのは、読者のわがままということになるのでしょうか。
 でもきっと、一番不満を潜在させた原因は、おそらく祐巳ー瞳子の至極あっさりした描かれ方だったのかもしれません。同人関係で散々激甘なお話を見てきたせいか、あっさりと「お姉さま」、「瞳子」と互いを呼び合うことをクリアしたり、その後もさして目立った二人の関係を描くシーンがなかったり、というのが刺激不足に感じられたのだと思います。その点については、今後更に連載が続くのならば何らかの解決を見てみたいものです。

コメント
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