風薫る道

Who never feels lonely at all under this endless sky...?

Nelson Freire - Memories

2022-11-01 00:10:44 | クラシック音楽

Gluck: Orfeo ed Euridice, Wq. 30 - Mélodie (Dance of the Blessed Spirits)

Villa-Lobos: Bachianas Brasileiras No. 4, W264 - I. Prelúdio (Introdução)

Brahms: Intermezzo in A Major, Op. 118, No. 2


フレイレが亡くなってから今日(11月1日)で一年。
でもなんとなく私は、彼が亡くなったのは10月31日という感覚の方が強いのです。あの最後の晩についての記事のせいもありますが。
昨夜サントリーホールでマイスキーのチェロを聴いていて、マイスキーが1年前の今日、ロンドンでフレイレを追悼する演奏をしてくれたことを思い出していました。
それから帰宅してネットを覗いたら、先日『Memories』という没後一周年を記念した未発表音源のアルバムがDeccaから出ていたことを遅ればせながら知りました。
その中から「グルック:精霊の踊り」、「ヴィラ=ロボス:ブラジル風のバッハ」、「ブラームス:間奏曲op118-2」を上にご紹介。私にとっても思い出深い3曲です。

没後1周年を記念し、未発表ほか貴重な録音を集めたアルバム。CD2枚組

 昨年(2021年)11月に亡くなったブラジル出身のピアニスト、ネルソン・フレイレ。その1970年から2019年の未発売の録音を集めたアルバムがCD2枚組で発売されます。
 2014年ベルリンでの、グルック、バッハ、ベートーヴェンの録音。ベートーヴェンの『アンダンテ・ファヴォリ』はネルソン唯一のこの作品の録音となります。そして1970年から1985年のベートーヴェンの第4番、ブラームスの第2番、バルトークの第1番の協奏曲とR.シュトラウスの『ブルレスケ』はラジオ放送局に残されていた貴重なテープの録音です。ヴィラ=ロボスとドビュッシーの作品は初CD化。ブックレットには、ネルソンのプロデューサーを長い間務めたデッカのドミニク・ファイフ氏による新規エッセーが掲載されています(欧文)。

 「ネルソンはこの上ないレコーディング・アーティストでした。彼は私が出会ったどのアーティストよりもスタジオに細心の注意を払って準備し、その録音には最も編集が少なかったアーティストの一人でした。私たちは彼の並外れた芸術性のためだけでなく、その厚い友情、ユーモア、謙虚な人柄のために亡くなったことが残念でなりません。彼は偉大な真にかけがえのない人物でした」~ドミニク・ファイフ、デッカ・プロデューサー(輸入元情報)

(hmv ネルソン・フレイレ/『Memories~未発表&放送音源集』)

このドミニク・ファイフ氏によるコメントの原文は、フレイレが亡くなった時にファイフ氏が寄せたこちらの文章↓ですね(なぜか和訳では途中の大事な部分が省略されているけれど)。自分の録音は決して聴かないということは、フレイレ自身もインタビューで度々言っていました。聴いたら修正したくなるに決まってるしキリがないから、とかそんな理由だったような。

‘Nelson was the consummate recording artist. He was more meticulously prepared for the studio than almost any artist I have encountered and his recordings among the least edited. Paradoxically he claimed never to listen to his own recordings but he knew when his performance matched his exacting standards and he placed his trust in our hands to capture this. We will miss him not just for his extraordinary artistry but also for his friendship, his humour, his humility. He was one of the greats and truly irreplaceable’.
Slippedisc

【収録情報】
Disc1
1. グルック:精霊の踊り(歌劇『オルフェオとエウリディーチェ』より ズガンバーティ編)
2. J.S.バッハ:主よ、人の望みの喜びよ(カンタータ第147番 BWV.147より)
3. ベートーヴェン:アンダンテ・ファヴォリ ヘ長調 WoO57
4. ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第4番ト長調 Op.58
5. ベートーヴェン:バガテル Op.119-11
6. R.シュトラウス:ブルレスケ ニ短調
7. ドビュッシー:レントより遅く
8. ヴィラ=ロボス:ブラジル風バッハ第4番より前奏曲

 ネルソン・フレイレ(ピアノ)
 ウリ・セガル指揮、シュトゥットガルト放送交響楽団(4)
 ゾルターン・ペシュコー指揮、バーデン=バーデン南西ドイツ放送交響楽団(6)

 録音:
 2014年2月 ベルリン(1-3)
 1972年10月 シュトゥットガルト(4)
 2006年4月 スイス、ラ・ショードフォン(5)
 1985年12月 バーデン=バーデン(6)
 2008年6月 ハンブルク(7)
 2019年2月 ハンブルク(8)

Disc2
1. バルトーク:ピアノ協奏曲第1番イ長調 Sz.83
2. ブラームス:ピアノ協奏曲第2番変ロ長調 Op.83
3. ブラームス:6つの小品 Op.118より第2曲:間奏曲イ長調

 ネルソン・フレイレ(ピアノ)
 ミヒャエル・ギーレン指揮、フランクフルト放送交響楽団(1)
 ホルスト・シュタイン指揮、フランクフルト放送交響楽団(2)

 録音:
 1970年10月 フランクフルト(1)
 1977年4月 フランクフルト(2)
 2006年(3)

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