アカデミー賞を受賞した後15年間鳴かず飛ばずの脚本家キースマイケルズヒューグラントはエージェントに薦められて田舎の大学の脚本コースの講師の職を引き受ける。次に脚本が書けるまでの腰掛くらいにしか考えていないキースは着任早々まだ授業1日目にも至っていない初日にいきなり大学の学生と関係を持つというふざけた態度。講師の歓迎会でもジェーンオースティンの研究家であるメアリーシェルドン教授アリソンジャネイに女性差別発言をして嫌われ、脚本コースの学生たちも選考のための脚本など読まずフェイスブックで顔を調べて女子はキレイな子、男子はダサいヤツだけを入れた。
そんなふざけきったキースなんだけど、ヒューグラントが演じているせいか、なぜか憎めない。彼の行動を見ていると決して性根の悪いヤツじゃないんだよなぁというのが伝わってくる。学生に簡単に手を出してしまったり、女性差別的なことをジョークのように言ってしまうのもハリウッドという文化にどっぷり浸かっていたせいで、キースが悪いヤツだからじゃないんだなということが分かる。
初めはやる気もなかったキースだけど、学生たちの脚本の指導をしているうちになんだかやりがいのようなものを感じ始める。学生の中にいるシングルマザー・ホリーマリサトメイは同世代でキースに遠慮なく自分の意見を言って、キースとは正反対な性格だけど、彼女のアドバイスにはっとさせられることも。
ミドルエイジクライシス的なものに、定番の学生と教師の交流も混ぜつつ、ハリウッドという広い世界に見えてとても狭い世界に住んでいたキースの目が開いていくという過程を見るのが楽しい作品。
そこに涙もろい学科長のJ・K・シモンズやちょっとキモい役の多いクリスエリオットなど個性の強い役者たちが脇を固めていて、アリソンジェネイも含め全員が役者でありながらコメディセンス抜群の人たちばかりが集まっているから、「間」が最高なんだよね。
特に目新しいものがある脚本なわけじゃないけど、なんだか心温まる作品でした。
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