
死んだ直後の人間の体重は死ぬ直前より21g軽くなっているらしい。つまりはそれが魂の重さだってことらしいんだけど、実際魂に重さなんかあるんかなぁ?あったとして、21gってまたもの凄い軽いねぇ。まぁ、重さが重要じゃないんかもしれんなぁ。
アメリカのポスターのキャッチコピーは
「復讐」の重さは?
「愛」の重さは?
「罪悪感」の重さは?
だった。さて、21gとは何の重さなんだろう。
夫と娘二人を交通事故で亡くした女性ナオミワッツ。
その3人をひき逃げした男ベニチオデルトロ。
被害者の心臓を移植してもらい延命した男ショーンペン。
その妻シャルロットゲンズブール。
むむむむむー。すごいメンバー…
この作品、時系列がバラバラです。ですので、少し分かりづらい面がありますが、きちんと見ていれば分かってくるのであわてないでじっくり見てください。見ているときは始め、「なんでわざわざ時系列をバラバラにすんねんやろー…なんか、芸術っぽくしたいだけかぁ?」なぁんてことを少し思いながら見ていたんですが、見ているうちに、そして見終わってから考えると、「いま現在の主人公たち」と「少し前の主人公たち」を交互に振り返りながら見せることで、彼らの運命が大きなうねりのように変わっていく姿をまざまざと見せ付けられているような気がするんです。アレハンドロゴンザレスイリニャリトゥ監督(すごい名前!)の意図がどこにあったのかは知らないけど、一つの出来事が人の運命を変えていく様がそこにあるような気がしました。
心臓移植をしてもらったショーンペンとその妻のシャルロットゲンズブールの夫婦仲が良くないところなんかもミョーにリアルでね。普通、映画の中で片方が重病の夫婦って仲睦まじいもんでしょ?そのへんがそんじょそこらのハリウッド映画ではないんです。
ベニチオデルトロなんて顔も演技も濃い人で、目立たないようにしてても目立ちそうな人なのに、ショーンペンとナオミワッツの間に入っては彼さえもかすんでしまう。ナオミワッツは「マルホランドドライブ」のときに非常に大きな衝撃を受けた女優さんで、それから注目していてこの作品の情報が入ってきたときには、ショーンペンとデルトロと映画に出ても絶対に引けをとらないだろうなぁと思っていたら案の定やってくれた。こわい女優さんだ。いい意味で。
21gは魂の重さ。死んだときに失われる重さ。ということだけど、この作品を見ると愛する人を失うことによって、残された人から奪われる重さのような気がした。それは、とても軽いけれど、確実にそれだけは失われている。そして、それが21gであれば、人はまた生きていくことができる。そんな気がした。
21gってCMを観ていた時は移植された心臓の重さかと思ってました。でも心臓がそんなに軽いわけないですよねー!本当にアホだな、私...
ぜひ、今度レンタルしてみて!
あ、でもちょっとヘビーなので、落ち込んでるときはオススメしません。