シネマ日記

超映画オタクによるオタク的になり過ぎないシネマ日記。基本的にネタバレありですのでご注意ください。

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ラヴレース

2014-03-05 | シネマ ら行

いま一番好きと言っていい女優アマンダサイフリッドが主演ということでかなり前から見に行くと決めていた作品です。

1972年アメリカで公開され大変なヒットとなったポルノ映画「ディープスロート」に出演したポルノ女優リンダラヴレースの半生をアマンダが演じるというので、どんな仕上がりなのかとちょっとドキドキしながら見に行きました。日本の宣伝文句では「清純なイメージのあるアマンダサイフリッドがポルノ女優に挑戦」って言われてますけど、アマンダって世間では清純なイメージなんでしょうか?ワタクシはめちゃめちゃエロいイメージなんですけどねぇ。アマンダは普通に立ってるだけでエロい気が。。。

「ディープスロート」っていうのは映画ファンとしては題名だけは知っていましたけど、ポルノ映画ですし、もちろん見たことはなく、70年代のポップカルチャーのひとつとしての認識しかなく、リンダラヴレースという人のことも何も知らなかったので、非常に驚くような内容でした。「ディープスロート」の詳しい内容とかそういうのは個々でググッていただくとして、「タイタニック」に匹敵するほどの興行収入を記録し一大センセーションを巻き起こした作品だったということだけ書いておきましょう。

リンダの人生がまず将来夫となるチャックトレイナーピーターサースガードと出会ったころあたりから語られます。最初のシークエンスでリンダは現在21歳。17歳のとき妊娠しその子を養子に出した過去があること。母親シャロンストーンはカトリックの教えに従って生き、娘にもとても厳しいこと。父親ロバートパトリックは優しいが母親の教育方針にあまり口を出すタイプではない。リンダ自身も母親の教えが厳しすぎるとは思っているものの、その影響下にあるためかあまり奔放な生き方ができるタイプではなさそうな、友人との会話でもちょっとお堅い雰囲気を見せる。そのことから17歳で妊娠したのもおそらく奔放さのせいではなく、そういう知識のなさからかなと思わせる部分がある。

それこそ一時はセクシーの代名詞だったようなシャロンストーンが厳格な母親という少し意外なキャスティングです。でも違和感は全然ない。彼女も芸達者な人ですね。

友人と行ったローラースケート場でチャックと出会うリンダ。バーの経営者で優しそうに振る舞うチャックに魅かれたリンダは実家を出たい気持ちもありすぐに結婚する。

チャックのバーの経営が厳しくお金のない2人。チャックの発案でリンダはポルノ映画に出ることになる。そして「ディープスロート」が思わぬ大ヒット。彼女は一気にスターダムにのし上がる。

ここまでの展開がねぇ、なんか違和感があるんですよねー。あんなにお堅そうだったリンダがポルノ映画?旦那に言われたからってほいほいそう簡単に出るかなぁ???と思いながら見ていると少しずつその内幕が明かされていく。

「ディープスロート」のヒットから6年後。なぜかウソ発見器にかけられている6年前とは風貌の全然違うリンダが映る。暴露本を出版しようとしているリンダの言っていることが本当かどうか出版社が彼女をウソ発見器にかけたらしい。そこから先ほどまで見ていたチャックとの出会いから「ディープスロート」のヒットとその後までの真実が徐々に見せられていく。

この展開の仕方が非常にうまいと思いました。最初の半分で当時の観客や世間に映ったリンダラヴレースという人の人生が語られ、あとの半分で真実が語られる。その時の世間も最初はスターになったポルノ女優としてリンダのことを見ており、暴露本によって真実を知ったわけで、映画の観客はその当時の世間が感じたことを同じように感じられる作りになっている。

その真実とは、、、

前半で見たシーンと同じシーンが別の角度から見せられる。前半では見せられなかった、見えなかった部分が暴露されていく。チャックは結婚した瞬間からリンダが嫌がるプレイを強要し、口答えすればボコボコにし、拳銃をちらつかせリンダに売春させて自分の小遣い稼ぎをしていた。耐えかねたリンダは実家に助けを求めたこともあったが、「妻とは夫に従うべき」という母親は助けてはくれず、「良い妻になりなさい」とリンダをチャックの元へ帰してしまう。リンダももちろん殴られていることは言えても、売春をさせられていることまで母親には言えなかったから結局チャックの元に帰るしかなかった。友人が手を差し伸べてくれそうなときもあったが、報復を恐れて強がって大丈夫と言ってみせた。

「ディープスロート」で成功したあとも、映画の出演料などもリンダは持たせてもらえず自由になるお金はなかった。あのリンダラヴレースとヤレる、みたいに妻を複数の男に売ったチャック。

最終的にリンダは映画の製作者の一人ロマーノクリスノースに助けを求める。このロマーノって人はマフィアだったので、リンダを匿ってくれてチャックを「二度とリンダに会わせない」と言ってボコボコにしてくれちゃうんだよねー。悪いけどこの時めちゃくちゃスッキリしてしまったよ。チャックみたいな野郎はあれくらいの報いを受けて当然でしょ。チャック演じるピーターサースガードがまたうまいんだわ。なんかキモイ役増えてきてないか?

リンダの半生を知って、旦那にそんな酷い目に遭っているなら離婚すればいいじゃないって簡単に言ってしまえる人がいるかと思うのですが、虐待や支配をされている人にとってそこから抜け出すということはそれほど簡単なことではない。リンダが自分とチャックの夫婦生活を暴露しようと考えたのも、自分が世間からポルノ女優としてずっと後ろ指を指され続けなければいけないことの辛さから抜け出したかったというのもあるだろうけど、それ以上に自分と同じような目に遭っている女性たち(または男性)を助けたかったというのが一番大きかったのではないかなと思います。実際、彼女は後世を活動家として生きていたそうですね。

リンダがウソ発見器にかけられたとき、初めの質問が「あなたはリンダラヴレースですか?」だった。彼女はそれに「もっと簡単な質問から始めてくれる?」と答える。“リンダラヴレース”という存在そのものが彼女にとって非常に複雑なものだったことを物語るシーンだった。

彼女がテレビでどうしてこんなことになってしまったのかを語り、それをテレビの向こうで両親は見ていました。自分たちの何がいけなくて娘がポルノ女優なんかになっちゃったのか?そう思っていた両親でしたが、実は娘は自分たちの言ったことを従順に実行してしまっていたのですよね。この両親も決して悪い人たちではなく、娘を良い方向に導こうとしていただけだったとは思うのですが、最後の砦として守ることをせずに突き放してしまったことは大きな間違いだったと気づきます。

ロブエプスタインジェフリーフリードマン監督は数々のドキュメンタリー作品で評価されている人たちだそうで、綿密な調査をした上でこの作品作りに挑んだそうです。上に書いたような見せ方のうまさもあって、上映時間93分とは思えない濃い内容の作品となっています。

アマンダはエロいイメージと最初に書きましたが、彼女のイメージがどうであれこの役は非常にチャレンジングだったと思います。一時はリンジーローハンも候補に挙がっていたらしいですけどね。アマンダはそばかすを書いていましたが、リンジーだったら素のままでいけたのになぁとか思いつつも、アマンダのキャリアの中でこの作品に出演したことは、これからとても大きな糧になるのではないかと思いました。

最後に本物のリンダの写真が写るのですが、それが本を発表したときの姿で、ポルノでスターになったときの姿じゃなかったところが、製作者たちのリンダへの敬意が見えてとても好感が持てました。


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