第一部「運命の序曲」194分 (1970)
第二部「愛と悲しみの山河」179分 (1971)
第三部「完結編」187分 (1973) 計9時間23分の超大作。
1931年の満州事変前夜から1939年のノモンハン事件までを描く。
登場人物は新興財閥伍代家と彼らを取り巻く人たち。
当時の日本映画界が総力を挙げて製作したと思われるメンバーが次々に出るわ出るわ。現代のワタクシたちが見ても「あ、アノ人!アノ人も!わっか~」とか言いながら見れてしまう。「中村勘三郎なんてまだ子供やし!吉永小百合も浅岡ルリ子もめっちゃキレイ!三国連太郎、佐藤浩市よりずっとカッコ良かってんなぁ。山本圭はいまと変わらん!」と、ミーハー心に胸ときめかせつつ、内容は重厚で非常によくできた作品だった。
9時間23分は確かに超長いし、ワタクシも何回かに分けて見たんだけど、全然苦痛な時間ではなかったです。それどころか、すごく先が気になる物語でした。ただやっぱり登場人物が多いし、長丁場だしで、最後見終わってから「結局アノ人、最後どうなったんやったけ?」って思った人物が結構いるかも…
これが40年前に撮られたものとは思えないほど、映像はきれいだし戦闘シーンも迫力がある。ベッドシーンも遠慮気味とは言えちゃんとあるし、吉永小百合までベッドシーンしてるしリアルに表現しようという意気込みが感じられました。
歴史認識については40年前だから、現代とはちょっと異なる部分もあるとは思うけど、それも1970年代の日本の認識を知るにはとても参考になると思う。
そして、この作品が素晴らしいのは、ただ日本の近代史を語るだけではなく、そこに登場する人々の内面まで掘り下げられているということだ。彼らは富豪も貧乏人も時代に翻弄されつつ、自分たちの思うところに従って行動し、まさに“生きて”いる。そんなそれぞれのキャラクターが魅力的であるからこそ、9時間23分もの長丁場を見ていられたのだと思う。
地井武男や井川比佐志が朝鮮人、山本学、栗原小巻が中国人を演じていたりと、ちょっと不自然な部分もあるが、それは目をつぶって見るほうがいいかな。
第三部で日本が太平洋戦争に突っ込んで行く手前で完結となっているが、実は予算が続かず、第四部は製作できなかったということらしい。そのことは非常に惜しいと思う。彼らの行く末を第四部まで全部見たかった。
あー、それにしても北大路欣也が一番めちゃくちゃカッコ良かったなぁ。高橋英樹も端正な顔立ちだけど、やっぱり北大路欣也が一番カッコ良かった。いまではすっかりお父さん犬なのに…あ、でも彼はいまでも十分にカッコ良いですもんね。超渋くて好きな役者さんです。
それから女優さんで一番気になったのは北大路欣也演じる伍代俊介に恋する苫を演じていた夏純子さんという女優さんです。現在では結婚されて芸能界から遠ざかってらっしゃるようなんですが、ちょっとググってみるとかなりヒットするんですよね。昔の作品を知ったいまの人たちが色々と載せていて。やっぱり魅力のある人は時代を越えてって感じでしょうか。
多分、よっぽどの映画好きしか見ない作品だと思いますが、ワタクシは見て損はないと思います。
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