ノーラエフロン監督と言えば、ワタクシはロブライナーの女性版だと思っていて、とても良いけど、ちょっと詰めが甘いかなと思う作品を作っている人というイメージがある。いや、決して嫌いではない。ロブライナー好きだし。作品を見ているだけで、この人たちってきっとええ人なんやろうなぁと思わせる雰囲気を持っている。ただ、今回も良いけど詰めが甘い感じの映画かなと思いながら見に行った。
1つの物語は1949年から始まる。外交官ポールチャイルドスタンリートゥッチの妻ジュリアチャイルドメリルストリープは夫の転任のためパリにやって来る。暇をもてあましたジュリアは色んな習い事を試してみるがどれもしっくり来ず、ル・コルドン・ブルーのプロ養成コースで料理を習い始める。始めはタマネギのみじん切りさえできなかったジュリアだが、持ち前の明るさと根性でみるみる上達。人に料理を教えるまでになっていく。
もう1つは現代。9・11の後処理をしている公務員のジュリーエイミーアダムスはうまくいかない鬱屈した日常を過ごしつつ、日々の料理でストレスを発散させていた。そんな折、夫エリッククリスメッシーナにブログを始めることを薦められ、どうせなら好きな料理のことをと、かねてからファンだったジュリアチャイルドのレシピ本の524品の料理を365日で完成させるという目標を立てる。
この2つの物語が交互に語られるのだけど、この二人の物語はまったく交わることがない。現代を生きるジュリーのほうは、もちろんジュリアをお手本にしているわけだけど、ジュリアのほうは当然ジュリーのことなど知るわけもない。そんな2つの物語が交互に語られるのにも関わらず、まったく違和感もないし、無理やり感もないというユニークな構成になっている。
ジュリアチャイルドという人はアメリカでは相当に有名な人らしく、身長が188cmもあり、料理本の出版のほかにテレビの料理番組のホステスを務めていたらしい。映画の中でも現代のジュリーがテレビの再放送を見ているシーンがあるが、メリルストリープが少しオーバー目に(?実際の彼女を知らないからオーバーかどうか分からないんだけど)声が大きくて大らかで、番組で失敗しても「あ~ら、悪い例を示しちゃったわね~。でも大丈夫。キッチンにはあなた一人しかいないんですもの。誰も見ちゃいないわ~」なぁんて言ってのけちゃうジュリアをとても魅力的に演じていて、作品の中で彼女の夫が言う「ジュリアはみんなに好かれる」というのがとてもうなづける。
一見、まったく関係性のない2つの物語を見せながら、なぜかうまくリンクしているようにも思える天才的な脚本の運びで、ジュリアチャイルドの人間性とユーモアにとても微笑ましい気持ちにしてくれる。現代を生きるジュリーがこのブログを通して人間的に成長し、夢を叶えていく姿にも共感できる人は多いんじゃないかな。
演技のほうは演技派揃いで、もう言うことなし。エイミーアダムスは正式にメリルストリープの後継者を名乗ってもいいんじゃないかなとさえ思える。そして、スタンリートゥッチも素晴らしかったなぁ。このキャストを聞いたときには「大丈夫か?」と思ったけど、いつまでも変わらない優しい愛情でジュリアを包む夫ポールを違和感なく演じていた。ジュリーの夫エリック役のクリスメッシーナは食べ方が汚くてちょっとイヤだったけど、まぁアメリカ人ならこんなもんか。
料理が題材の作品なので、もう少し調理のときに観客に香りが伝わってくるほどのカメラワークを見せてくれると良かったんだけど、そこまでするには、物語だけでお腹も尺もいっぱい過ぎたかな。最後のほうにジュリーのブログのことをジュリアは気に入らなかったと人づてに言われるシーンがあるけど、実際のところどうだったのか、最後のテロップでもいいから出してほしかった。それだけがいまでも気になるところだけど、「パイレーツロック」に続き、年末に来て今年最高の1本のひとつに出会えた。
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あ、ダメ?(笑)
ま、見たくないか。
トチ夫はあんまり賞をもらっているイメージがないけれど
とても器用で演技の上手な役者さんですよね。
アダ美はすでにあの若さで賞レースの常連さん。
これから長いこと楽しみな女優さんです。
ビデオ1でレンタルして見ました。 うわっ、 でっけえメリ子(←メリル・ストリープ)
しかも、夫役は 「プラダを着た悪魔」で共演したトチ夫(←スタンリー・トゥッチ)。
ノミの夫婦という珍しい役柄だわ
そんなハゲでチビでメガネの旦那と度々ベッドでイチャつき、
今にも裸で絡み合いそうなメリ子に「脱が んといて。見たくないし!」と、心で呼びかけておりました。
けど 演技面では 料理なだけに うまく溶け合ってんですよ~ 野菜の具のトチ夫と スープのメリ子の二人が!
じっくり コトコト煮込んだ コンソメスープみたいにネッ(←ホメてます)
もうひとりの主役はアダ美(←エイミー・アダムス)。
環境保護のテレフォンサービスの苦情受付係りで ストレスたまりまくりのウンザリ日々
そんなある日 ジュリアの料理本を見て心機一転!一年間で彼女のレシピをすべて作ってブログで記載すると闘志を燃やしたよ~
まるで、しがない無名ボクサーだったロッキー・バルボアがチャンピオンのアポロから指名された時みたいに
しっかし、やってみたはいいが ロブスターにてこずるアダ美をみかねて手を貸してくれる恋人。
やっぱ、料理も愛の力だね。