マリリンモンローの自筆のメモ、日記、詩などを基に彼女の実像にせまるドキュメンタリー。マリリンモンローの日記などを本人として読む役をグレンクローズ、ユマサーマン、マリサトメイ、リンジーローハン、エヴァンレイチェルウッド、エリザベスバンクス、ヴィオラデイヴィス、リリテイラーなど様々な女優が演じ、ポールジアマッティ、ベンフォスター、デヴィッドストラザーンなどがマリリンモンローの周囲にいた人々を演じている。
「マリリン~7日間の恋」の記事でも書きましたが、ワタクシはマリリンモンローが好きなので、このドキュメンタリーも楽しむことができました。
あの時代のハリウッドで女優がのし上がるためにはプロデューサーと寝て仕事を取るというのが当たり前だった。初期のころのマリリンも役を得るためにそうせざるを得なかったが、彼女はそんなこと気にもしていないといったふうだったようだ。人気が出るまでは仕方のないこと、と腹をくくっていたのかもしれない。スターになるためにはそれくらいなんてことないと思うほど、スターになることを夢見ていたということなのかな。
当時彼女の映画を見て有名なモンローウォークを見た人たちがなんという歩き方なんだ!とビックリしたというエピソードが興味深かったです。あのセクシーな歩き方はマリリンモンローの代名詞ですが、あの時代以降はそれを真似する人もたくさんいたし、ただ「セクシーな歩き方」という認識しかなくて、それを本当に初めて映画でやってみせたのがマリリンモンローだとは思っていませんでした。しかも、マリリンは骨格や筋肉の作りや動きなどを解説した医学書を読み漁り、体をどのように使えば美しく見えるのかということを徹底的に研究していたというのですからすごいですよね。
「マリリン~7日間の恋」のワンシーンにもあるように、彼女は“マリリンモンロー”というキャラクターを見事なまでに作り上げ、普段町を一緒に歩いていた友達に「今から彼女になるわ」と言って、普段の彼女から“マリリンモンロー”になった瞬間、町行く人々が彼女に気付いたというのですから、彼女のセルフプロデュース力というもののすごさを証明していますね。実際のインタビューの受け答えなどを見ていても、自分の意見をきちんと表明できて、ウィットに富んだことも言えて決して世間のイメージのような「ダムブロンド」(アホな金髪娘)ではなく頭の回転の早い人だったんだろうなという印象を受ける。
彼女はコメディタッチの映画でスターになったあと、演技派として認めてもらいたくてアクターズスタジオに行き、リーストラスバーグとその娘に教えを受けたらしいのだけど、非常に勉強家である反面、精神的にもろい部分があった彼女はどんどん自分を追い詰めるようになっていく。このころ、3度目の結婚相手であるアーサーミラーとの仲が不安定だったことも悪い方に働いてどんどん精神的に危うい状態になっていったようだった。
たくさんの女優達が彼女の遺した詩や日記を読んでいくんですが、そういうのを聞くにつけ、精神的にもろかった彼女を支えてあげられるパートナーと出会っていれば彼女の人生ももっと違ったものになっていたのかなぁと寂しい気持ちになりました。彼女の性格のせいで人を惹きつける一方で人を遠ざけてしまう面もあっただろうから、それはもう本当に彼女の運命と言うしかないのかもしれませんが。
出演女優の中ではマリサトメイが一番良かったかな。エヴァンレイチェルウッドやリンジーローハンはまだまだ貫録不足といった感じ。グレンクローズだとちょっと貫録出過ぎだしな。
マリリンモンローがお好きな方にはすごくオススメの作品です。