シネマ日記

超映画オタクによるオタク的になり過ぎないシネマ日記。基本的にネタバレありですのでご注意ください。

ナイトクローラー

2015-08-25 | シネマ な行

銅線やマンホールを盗んでそれを売るお金で生活をしているコソ泥のルイスブルームジェイクギレンホール。ある夜たまたま交通事故現場を撮影するパパラッチを見て、自分もやってみようと思いつく。初めはちゃちい個人用のホームビデオカメラをゲット。(当然それも自転車を盗んでそれと交換した)

警察無線を傍受し、警察内で使われるコードを覚え、ついに銃撃事件の被害者に近づき血がどくどく流れる映像を撮ることができたルイスは、深夜枠のニュース番組のディレクターニーナロミナレネルッソに売り込みをかける。初めて映像を売ることに成功したルイスはニーナに自分を売り込み、これからもいいものが撮れたら買い取ってもらえるよう話をつける。

視聴率の低迷に苦しむニーナは、ルイスに過激な映像を撮ってくるように求め、ルイスも自分はこの仕事に向いているとどんどんエスカレートしていくことになる。

ジェイクギレンホールは12キロも痩せてこの役に挑んだそうです。頬が痩せこけてただでさえ大きい目が余計にぎらぎらギョロギョロして、目の下にクマがあって気持ちの悪い男を演じている。このルイスという男は見た目だけではなくて性格も気持ちが悪い。学歴はないらしいんだけど、オンラインでビジネスを学んだとか、勤勉で覚えが良いとかやたらと自己評価が高い。まぁ、アメリカ人が就職活動をするためには自分を売り込まないといけないから、自己アピールが激しいのは普通なのかもしれないけど、彼の場合、なぁんかそのなんの裏付けもない自信が気持ち悪かった。なんかその自信でニーナに関係を迫ったりするのも超キモかったけど、結局視聴率のためにニーナもルイスの言いなりになるんですね。

だからルイスが撮るものがどんどんエスカレートしていって、倫理的にも法的にもどうなの?ってことをやるようになってもまるで違和感がなくて逆にそこに不気味さを感じることができなかった。もっとどこにでもいる普通の人がどんどん踏み外していくって感じだったほうが良かった気がするんですよねぇ。そこがちょっと残念。

それにしても日本でも事件や事故の現場にズカズカと入って行って関係者に無神経なことを聞いたりしてムカつくなぁと思うんですけど、このナイトクローラーたちはそれとは比べ物にならないほどハゲタカ状態ですね。ライバルのナイトクローラービルパクストンが現場に向かう途中に追突事故を起こすシーンがありますが、本当にいつあーゆーことになってもおかしくないくらい。警察は何してるんだろう?って思いました。一人だけ刑事がルイスを連行して尋問したりしていますが、結局普通に釈放されているし。なんらかの罪に問えないのかな?

そんな奴らを野放しにした上、高額で買い取るテレビ局も要するに過激な映像を視聴者が望んでいるからだというわけで、愚民どもの風刺になっているんでしょう。そこんところは否定できないのが悲しいですね。

ワタクシはあまり高い評価をつけていませんが、世間の評価はとても高いようなので、ちょっとワタクシの評価はあてにならないかもしれません。ジェイクギレンホールの怪演は見る価値ありだと思います。ギョロ目のキモい男の次は筋肉モリモリのボクサー役が見られるみたいです。

オマケアメリカでは「ジェイクジレンホール」と発音されているようですが、日本での一般的な呼び名に習います。