シネマ日記

超映画オタクによるオタク的になり過ぎないシネマ日記。基本的にネタバレありですのでご注意ください。

インサイドヘッド

2015-08-18 | シネマ あ行

ブログを書く時間が取れず1か月以上ご無沙汰してしまいました。書きたい作品はたまっているので時間を見つけてアップしていきます。少し間隔が開いてしまうかもしませんが続けていきますのでよろしくお願いいたします。




字幕版を見てきました。

今度のピクサーの作品は頭の中の5つの感情が主役。いままで色々な奇想天外なシチュエーションを考え出してきたピクサーが挑むのは今度は頭の中か~、どんな作品になるのかなぁとずっと楽しみにしていました。

しかしその5つが「喜び」「悲しみ」「怒り」「嫌悪」「びびり」だと知った時、え?ポジティヴな感情は喜びだけで、あとは全部ネガティヴな感情なんやー、となんだか腑に落ちない気持ちでいました。しかし、フタを開けてみて納得。ライリーという現在11歳の女の子の頭の中にいるこの5人が非常にうまく機能していることが分かりました。確かにポジティヴな感情はヨロコビエイミーポーラーだけなのですが、ビビリビルヘイダーは危ないことからライリーを守る役目だし、ムカムカミンディカリングも嫌い物を食べさせないことで毒物からライリーを守ったり、イカリルイスブラックも不公平なことに立ち向かう感情として非常に大切な役割を果たしていたりする。ただ、カナシミフィリススミスの役割だけは仲間内でもいまいち分からず、触れる物触れる者ブルーに変えてしまうカナシミのことを持て余している感があった。

それでも5人の望むことはただひとつ。ライリーの幸せ。5人は力を合わせて日々ライリーが幸せでいられるように司令部で頑張っている。5人はライリーの感情を左右するとともに「記憶」や「思い出」といったものの管理をしており、色々な記憶を整理する中で特に重要な記憶は「コアメモリー」というボックスに入り、それが少しずつライリーという人間の人格を形成していく。そしてそのコアメモリーが貯まるとさらに人格の島が出来上がっていく。このコアメモリーから人格の島ができて、という設定が非常にうまくできているなぁと思いました。

ライリー11歳のある日、家族は父親カイルマクラクランの仕事の関係でミネソタからサンフランシスコに引っ越すことになり、これがきっかけで11歳のライリーのコアメモリーから作られた人格の島々が初めて大きく揺れ始めることになる。引っ越し先の学校で初めての挨拶のとき、カナシミがうっかり感情のボタンを押してしまいライリーは挨拶途中で泣き出してしまう。このコアメモリーがライリーの人格形成に影響を与えることを恐れたヨロコビはこのメモリーが人格の島に行くのを止めようとして事故が起こり、ヨロコビとカナシミが司令部から長期記憶の倉庫へと飛ばされてしまう。

コアメモリーだの、人格の島だの、長期記憶の倉庫だのってちょっとこのアニメの独特な世界観過ぎて読んでいるだけでは見ていない人には分かりにくいかもしれませんね。

とにかく司令部からヨロコビとカナシミがいなくなったことでライリーの頭の中にはビビリ、イカリ、ムカムカという感情しかなくなってしまい、家族や学校の友達とも全然うまくいかなくなってしまう。残されたビビリ、イカリ、ムカムカも懸命にライリーを幸せにしようとするがやっぱりヨロコビがいないとどうにもうまくいかない。

ヨロコビが落ち込んでいるカナシミを連れてなんとか懸命に司令部に戻ろうとするこちら側の冒険とライリーの現実とが交互に描かれることになる。ヨロコビたちはライリーの長期記憶の倉庫にいた昔の空想のお友達ビンボンに出会い、協力してもらうことに。このビンボンがまた可愛かったなぁ。小さい頃はあんなにライリーと仲良しだったのに、大きくなったライリーの記憶の片隅でひっそりと生きていたビンボン。もう一度ライリーと一緒に遊びたい。その気持ちがとても切なかった。

ビンボンは頓珍漢なことばかりで助けになっているのやらなんやらよく分からないのですが、ライリーを思う気持ちだけはヨロコビやカナシミと同じ。最後に自分を犠牲にしてヨロコビを助けてくれた時は涙が出ました。

ヨロコビはこの冒険を通して、いままで存在意義が分からなかったカナシミの重要な役割に気付きます。カナシミがなければヨロコビもない。カナシミを受け入れ人の優しさを受け入れることがライリーにとってどれほど重要なことなのかを知ることになるのです。

5つの感情とビンボンがライリーを思う気持ちがなんだか切なくて可愛らしくてとても愛おしかったです。この冒険が終わって司令部はリニューアルし、ライリーはいよいよ本格的に思春期に突入していくようでした。物語の始めのほうでカナシミがよく分からないまま台頭してきていたのはライリーが思春期の入り口に立ったことを示していたのかもしれません。

ピクサーの作品だけに笑えるシーンも多く、ライリーだけでなく他の人や犬猫などの頭の中の5つの感情たちも面白かったし、なぜか口ずさんでしまう古いCMのメロディが記憶係のいたずらだったりするのもウケました。全体的に非常にうまくできた設定だなと思いました。

エンドクレジットの途中に"This film is dedivated to our kids. Please don't grow up. Ever."というメッセージが出るのですが、字幕になっていなかったのが非常に残念でした。これを見つけたときとてもジーンときました。どうしてちゃんと字幕にしなかったんだろう?見落とし?子供たちへの温かいまなざしを感じるメッセージでした。

オマケ1映画が始まる前にこの作品の日本語吹替え版の主題歌であるドリカムの曲のプロモ(?)が流れるのですが、あれはいらなかったなぁ。ドリカムの曲を聞きたい人は吹替え版を見に行ってると思うんですよね。

オマケ2いつもディズニーやピクサーの映画の前にある短編を楽しみにしているのですが、今回の「火山」はちょっといまいちだったな。女の子の火山がこけしみたいでちょっと怖かったです。