シネマ日記

超映画オタクによるオタク的になり過ぎないシネマ日記。基本的にネタバレありですのでご注意ください。

オズ~始まりの戦い

2013-03-13 | シネマ あ行

「オズの魔法使い」と言えば1939年のミュージカル映画と「虹の彼方に」を思い出す人が多いだろう。古い映画は見たことがなくてもなんとなくお話は知っている。そんな感じかな。ワタクシは大昔にこの映画を見たことはあるけれど、ドロシーとブリキの人形、ライオン、かかしが登場するってこと以外はすっかり忘れてしまった。このレビューを書くのに調べてみたら原作がすごくたくさんシリーズであることに驚いた。

今回の映画化はこの「オズの魔法使い」のオズがいかにして偉大な魔法使いになったかという前日譚ってやつらしい。最近ではオズと言えばミュージカル「ウィキット」が有名だけど、あれとはどう違うのかなぁ???とか、「ウィキッド」の内容も知らないのでどうにも分かりようがなかったんですが。魔女役に大好きなレイチェルワイズが出てるし、やっぱ見に行くかぁと思って行きました。

自己中で女ったらしのマジシャン・オズジェームズフランコは竜巻に飛ばされて魔法の国オズへ。そこで出会った西の魔女セオドラミラクニスにたまたま予言と名前が同じだったために“偉大なる魔法使いオズ”と間違われ、「オズの国を支配する邪悪な魔女をやっつけて欲しい」と依頼される。調子のいいオズは西の魔女の姉で東の魔女のエヴァノラ(レイチェルワイズ)から黄金の財宝を見せられ邪悪な魔女をやっつければこれはあなたの物と言われ魔女退治を引き受けてしまう。

魔女姉妹の言う邪悪な魔女の南の魔女グリンダミシェルウィリアムズのところへ行ったオズは、彼女は邪悪な魔女ではなく、本当に邪悪な魔女は東の魔女エヴァノラだと分かる。グリンダはオズが偉大な魔法使いなどではないということを見破るが、人々の希望を打ち破らないため彼と共にエヴァノラと戦おうことを決める。

道中でたまたま命を助けて従者になるサルのフィンリーザックグラフと途中で助けた陶器の村の陶器でできた少女ジョーイキングと一緒に旅をするのだが、このサルのフィンリーも陶器の少女も正直言って最初ちょっとヴィジュアル的に気持ち悪かった。見ているうちにキャラクターの可愛さがあって慣れてきたのだけど。

何の魔法の力も持たないオズが邪悪な魔女をどうやって倒すのかというのが、なかなかに興味深く、物語の設定が昔の時代なのでその戦略もレトロ感があって素敵だった。マンチキン族とか他の種族の活躍も良かったし、悪者はただ逃げていくだけっていうところも絵本チックで良かったです。

レイチェルワイズは、どうしてもどこか善良なイメージがあって邪悪な魔女を演じていても最後には改心するんじゃないかと思ってしまったけど、今回は完全に真っ黒な役だったらしい。ミラクニスが演じるセオドラのほうは本当は悪い魔女なんかじゃなかったのに、だいたい元はと言えばオズのせいであんなふうになっちゃったんだよね。。。かわいそう。彼女が全身緑になったので、これがあの「ウィキッド」の緑の魔女か、と思ったんだけど「ウィキッド」では名前とか違うんだね。まったく別物と考えたほうがいいのか。。。

オズを演じるジェームズフランコはどこか世の中を舐めたようなというか斜に構えた皮肉っぽさというのを持っている役者さんだと思うんだけど、そんな彼がこういう素直なファンタジーを演じるというのは意外だったな。オズはちょっとふざけた役だから合ってると言えば合っているのかもしれない。

意外と言えば監督のサムライミもワタクシは怖いイメージが強い監督なので、彼が撮る「オズ」ってどんなん?って思っていたけど、意外に素直なデキでびっくりした。彼がこんな子ども向けの作品を作れるとは思いませんでした。

どうやら続編ができるという話なんですが、まーこのまま終わってもいいし、それだとやっぱりセオドラが可哀想なので、なんとか彼女に改心のチャンスをあげたいという気もします。「ウィキッド」も映画化の話があるそうでブロードウェイに行けないワタクシは、それならぜひミュージカルのまま映画化してほしいなぁと思います。