ネタバレ注意です。(ここは基本ネタバレありですが、公開前なので一応警告を入れておきます)
よくもまぁ、これだけ対イラク戦争が泥沼化しているときにアメリカ礼賛映画を作れるもんだなぁと思っていたんですが。。。
実際にはアメリカ礼賛映画ではありませんでした。FBIの捜査官が4人で双方の国の許可もなく、サウジアラビアに乗り込んでテロの捜査をするなんて、できっこねぇんじゃねぇの?という疑問はありつつも、、、そして、あれだけ砲弾が行き交う中、よくもアメリカ人だけ死なないもんだなぁという疑問もありつつも、、、
冒頭の自爆テロの様子はかなりリアルで本当に怖かった。ひと昔前までなら、あの映像を見ても映画の演出としての怖さしか感じなかったと思うのですが、今この世の中になって見ると、本当に心底怖いです。いかに9・11事件が、世界の認識をガラリと変えてしまったかが分かりますね。
4人のFBIの中に紅一点ジェニファーガーナーがいるわけですが、現代の映画的に一人は女性を入れとかないとっていう配慮の他に、せっかく彼女を入れるなら、サウジでの女性の扱われ方をもう少し取り上げても良かったんじゃないかなという気もした。バリバリ男の中で働く“職業婦人”がサウジでならもっとひどい扱いを受けたり、直接何か言われたりするんじゃないかなぁと。本題から少し離れてしまうことや、サウジという国そのものを批判することになるのを恐れてあえて避けたのかもしれません。
テロのアジトが簡単に見つかったり、情報提供者がすぐに現れたりと、突っ込むところは多々ありながらも、すべてはあのラストシーンのセリフのためにあったわけですね。テロの被害者側も、テロの首謀者が制裁を受けた時にも双方が同じセリフを言う。
「皆殺しにしてやる」
このセリフを聞いて「ミュンヘン」を見たときの感想を思い出した。“永遠に終わることのない戦い”救いのないラストだったが、「娯楽作品としての映画」ということだけで評価すると、ワタクシは良かったと思う。救いのないラストを娯楽として良かったというのは変なふうに聞こえるかもしれないけど、アメリカ礼賛でないところと、ラストの意外性(ワタクシが予見していなかったという意味で)が良かったと思う。
オマケ1阿刀田高さんの“知っていますかシリーズ”に「コーランを知っていますか」という本があります。コーランについて説明するのは非常に難しいようなんですが、それをできるだけ易しく解説してくれています。コーランに興味のある方にはアラーとキリスト教でいうところの神様っておんなじなんですね。。。そんな基本的なことも知りませんでした。同じ神様を崇めているんだから仲良くすればいいのに…なんて簡単には済まないんでしょうね。でも、もしアラブ諸国に石油が出なかったら?「聖戦(ジハード)」なんて言われてますが、宗教の争いだけでこんなことにはなっていなかったでしょうね。
オマケ2またまた「シリアナ」のときのようにアラブ系の人たちの顔を見分けるのが大変でした。一緒に見に行った人はジェイミーフォックスと仲良くなる警官とその部下を同一人物だと思っていたようでした。