ロバートデニーロの監督第2作目の作品。デニーロってまだこれが2作目なんだー。なんかもっとしてたような気がしてたけど。1作目の「ブロンクス物語」は地味だけど、とても丁寧に作られた作品だった。今回もデニーロが監督というだけあってキャストが豪華でとても楽しみにしていたのだ。
CIAの誕生と、それに関わった男たち。それに翻弄された一人の男エドワードウィルソンマットデイモンの物語。お話は「キューバ危機」から振り返って第二次世界大戦~冷戦時代を描いている。時系列がバラバラに進む上に、時代ごとのセットとかの全体的な雰囲気はほとんど変わらないし、なんせスパイの話だけに、敵味方入り乱れてるし、政治的な背景も分かってないといけないしで、頭がこんがらがってしまった人はもう最後まで絡まった糸をほどくことができないかも、という危険は孕んでいるものの、演出はとても丁寧で淡々と進む中にもスパイ映画独特の緊張感があってワタクシはとても気に入りました。
スパイ映画としての緊迫感プラス、このエドワードウィルソンという一人の男の人生をたどっていく面白味があります。この役を演じるマットデイモン。ワタクシはあんまり好きな俳優さんじゃなかったんですけどねー。この作品を見てちょっと好きになりそうです。デニーロがどうして彼を選んだのか、見る前は少し謎だったんですが、見てみるととてもこの役にはまっていました。頭脳明晰で真面目なエドワード。でも、どこか他人の期待に応えようとするというか、他人が自分に期待していることが彼にとって重要という印象を受けました。秘密結社スカル&ボーンズで放尿されるという洗礼を受けて怒ってやめると言ったときも仲間だろと止められあっさり戻ったし、ドイツでハンナマルティナゲデックに誘われたときも「僕にそうしてほしい?」と聞き、息子エディレッドメインに合唱を見に来て欲しいと言われたときもまったく同じセリフを言ったエドワード。他人に望まれればそうしてしまう。それでいて、実直で勤勉。それは彼の長所でもあり、弱点でもあったんじゃないかな。だからこそ、初恋の人ローラタミーブランチャードと結ばれることなくマーガレットアンジェリーナジョリーと結婚することになったんだろうし。したことは不誠実だったけど、もともと真面目で純情すぎたからこそあんなことになっちゃったんだもんな。そして、彼がそういう人間だったからこそ、CIAという組織にがっぷりはまって、汚い仕事も引き受けてやってきた。彼はCIAの立役者であり、祖国の被害者だったのかもしれない。そんな彼の真面目さともろさ、そして20代から40代までを幅広く演じられる俳優。それがマットデイモンだったのだろう。派手なアクションのまったくない完全なる静のスパイを演じるマットにしびれました。
マットデイモンと同じく彼の妻マーガレットを演じるアンジェリーナジョリーのキャスティングも実はワタクシには謎でした。アンジーは大好きな女優さんだけど、40年代の良家のお嬢さんなんて似合わないよーってね。フタを開けてみると、良家の「奔放な」お嬢さんでした。あ、だからアンジーなのね。って最初は思ったんですよね。でも次第にそれが「だから」だけではないことが分かります。マーガレットの奔放なふるまいはおそらく良家のしきたりや古い慣習などに若さゆえ目一杯反抗してみせていただけ。中身はそういう反抗児にありがちなガラスのハートを持っていたんじゃないかな。ただの策略だけでエドワードと結婚したとしたら、彼女自身もあんなに苦しまなかったはずだもんね。アンジーほど迫力のある人じゃなくても良かったかもやけど、彼女もマットと同じく20代から40代まで演じ分けないといけなかったですもんね。そこらへんの実力はお墨付きですからね。
デニーロがキャスティングが決まったとき、成功だと思ったと言っていた理由が見てみると分かりました。
その他にもアレックボールドウィンとかマイケルガンボン(ホグワーツの校長先生ね)とかジョンタトゥーロとか(ちょっとしか出ないし、一瞬誰か分からんかったけど)ジョーペシとか映画ファンにはたまらないキャスティングです。そしてデニーロ本人もエドワードをリクルートし、CIAについて皮肉な預言めいたことを言うサリヴァン将軍の役で出演している。
エドワードが初恋の人ローラと結婚していたらどうなっていただろう?とか、彼がお父さんの遺書をもっと早く読んでいたらどんな人生を送っていただろう?とか切ない要素もいっぱいのサスペンスでまさにワタクシ好みでした。苦手な人は多そうな気もするけど、ワタクシは好き。
オマケ1秘密結社「スカル&ボーンズ」っていうのは実際にイェール大学に存在するようです。秘密結社って西洋の映画にはよく登場しますね。なんか金持ち坊ちゃまの欺瞞のかたまりのような気がしなくもないが…
オマケ2パーティでアンジェリーナジョリーとマットデイモンキーが出会うわけですが、テーブルを挟んでアンジーに上目遣いで見つめられるマット。あれって、もうまさに
ヘビににらまれたカエル でしたな。
CIAの誕生と、それに関わった男たち。それに翻弄された一人の男エドワードウィルソンマットデイモンの物語。お話は「キューバ危機」から振り返って第二次世界大戦~冷戦時代を描いている。時系列がバラバラに進む上に、時代ごとのセットとかの全体的な雰囲気はほとんど変わらないし、なんせスパイの話だけに、敵味方入り乱れてるし、政治的な背景も分かってないといけないしで、頭がこんがらがってしまった人はもう最後まで絡まった糸をほどくことができないかも、という危険は孕んでいるものの、演出はとても丁寧で淡々と進む中にもスパイ映画独特の緊張感があってワタクシはとても気に入りました。
スパイ映画としての緊迫感プラス、このエドワードウィルソンという一人の男の人生をたどっていく面白味があります。この役を演じるマットデイモン。ワタクシはあんまり好きな俳優さんじゃなかったんですけどねー。この作品を見てちょっと好きになりそうです。デニーロがどうして彼を選んだのか、見る前は少し謎だったんですが、見てみるととてもこの役にはまっていました。頭脳明晰で真面目なエドワード。でも、どこか他人の期待に応えようとするというか、他人が自分に期待していることが彼にとって重要という印象を受けました。秘密結社スカル&ボーンズで放尿されるという洗礼を受けて怒ってやめると言ったときも仲間だろと止められあっさり戻ったし、ドイツでハンナマルティナゲデックに誘われたときも「僕にそうしてほしい?」と聞き、息子エディレッドメインに合唱を見に来て欲しいと言われたときもまったく同じセリフを言ったエドワード。他人に望まれればそうしてしまう。それでいて、実直で勤勉。それは彼の長所でもあり、弱点でもあったんじゃないかな。だからこそ、初恋の人ローラタミーブランチャードと結ばれることなくマーガレットアンジェリーナジョリーと結婚することになったんだろうし。したことは不誠実だったけど、もともと真面目で純情すぎたからこそあんなことになっちゃったんだもんな。そして、彼がそういう人間だったからこそ、CIAという組織にがっぷりはまって、汚い仕事も引き受けてやってきた。彼はCIAの立役者であり、祖国の被害者だったのかもしれない。そんな彼の真面目さともろさ、そして20代から40代までを幅広く演じられる俳優。それがマットデイモンだったのだろう。派手なアクションのまったくない完全なる静のスパイを演じるマットにしびれました。
マットデイモンと同じく彼の妻マーガレットを演じるアンジェリーナジョリーのキャスティングも実はワタクシには謎でした。アンジーは大好きな女優さんだけど、40年代の良家のお嬢さんなんて似合わないよーってね。フタを開けてみると、良家の「奔放な」お嬢さんでした。あ、だからアンジーなのね。って最初は思ったんですよね。でも次第にそれが「だから」だけではないことが分かります。マーガレットの奔放なふるまいはおそらく良家のしきたりや古い慣習などに若さゆえ目一杯反抗してみせていただけ。中身はそういう反抗児にありがちなガラスのハートを持っていたんじゃないかな。ただの策略だけでエドワードと結婚したとしたら、彼女自身もあんなに苦しまなかったはずだもんね。アンジーほど迫力のある人じゃなくても良かったかもやけど、彼女もマットと同じく20代から40代まで演じ分けないといけなかったですもんね。そこらへんの実力はお墨付きですからね。
デニーロがキャスティングが決まったとき、成功だと思ったと言っていた理由が見てみると分かりました。
その他にもアレックボールドウィンとかマイケルガンボン(ホグワーツの校長先生ね)とかジョンタトゥーロとか(ちょっとしか出ないし、一瞬誰か分からんかったけど)ジョーペシとか映画ファンにはたまらないキャスティングです。そしてデニーロ本人もエドワードをリクルートし、CIAについて皮肉な預言めいたことを言うサリヴァン将軍の役で出演している。
エドワードが初恋の人ローラと結婚していたらどうなっていただろう?とか、彼がお父さんの遺書をもっと早く読んでいたらどんな人生を送っていただろう?とか切ない要素もいっぱいのサスペンスでまさにワタクシ好みでした。苦手な人は多そうな気もするけど、ワタクシは好き。
オマケ1秘密結社「スカル&ボーンズ」っていうのは実際にイェール大学に存在するようです。秘密結社って西洋の映画にはよく登場しますね。なんか金持ち坊ちゃまの欺瞞のかたまりのような気がしなくもないが…
オマケ2パーティでアンジェリーナジョリーとマットデイモンキーが出会うわけですが、テーブルを挟んでアンジーに上目遣いで見つめられるマット。あれって、もうまさに
ヘビににらまれたカエル でしたな。