今回も大分に腰を落ち着けての居候型の4泊でしたのでバラエティさには欠くだろうと覚悟をしていたのですが、意外にいろいろなものを食べることができました。
史跡巡りの効率を無視してでも訪れる順番を変えるなどそれなりに努力もしましたし、もちろんいつもどおりに失敗もあります。
雨には苦しめられましたがことグルメについては大収穫だったと、今回もいい経験をさせていただきました。
初日は昼前に大分に着いて竹田に向かうまでの電車の待ち時間が40分ほどでしたので、あまり時間もかけられないので弁当での第一歩です。
豊後牛すきやき味玉しぐれは豊後牛を使ったすき焼き弁当で、豊後牛は黒毛和牛ですが煮込まれてしまうともったいないかもしれません。
塩味が強い玉子に濃い味の牛肉と疲れている体にはちょうどいい感じなのかもしれませんが、徹夜明けながらも気合い満々な初日の昼にはちょっときつかったです。
夜はかなりの雨が降っていましたが目星をつけた店まで行って、大分の郷土料理のコースを頼みました。
すっかりと焼酎ブームな今回は泰明と荒城の月で、麦焼酎です。
泰明はかなり香ばしい煙を吸いながらのような味わいが面白く、これは大ヒットでした。
一方の荒城の月は度数はこちらの方が高かったように思いますが、泰明の後に飲めば水のようでもったいなかったです。
まずは関さば、関あじの刺身で、今や大分の高級ブランドです。
太平洋と瀬戸内海がぶつかる豊後水道は海流が速いために魚は身が引き締まっており、ぷりぷりとした食感がたまりません。
偽物も出回っているようですが大分市観光協会のホームページにも載っている有名な店ですので、舌に自信はありませんがまず間違いないでしょう。
琉球は言ってみれば漬けみたいなもので、醤油や胡麻などのだし汁に漬け込んだものです。
これは酒のつまみにはもってこいですが、ご飯に乗せて食べれば絶品でしょう。
コースは何種類かあったのですが一通りの郷土料理を網羅しているものを選んだので、どうにも手が出しづらいものも含まれていました。
わた酢は見るからに苦手なものでしたし単品だったら間違いなく頼まず、旅先でなければ出てきても箸はつけなかったでしょう。
とり天は大分の代表的な郷土料理で、下味のついた鶏肉が天ぷらと竜田揚げの中間のような感じで揚げられています。
ちょっと酸味のある天つゆのようなものにつけて食べるのですが、さくさく感が特徴でこれは美味しいです。
締めはご飯とだんご汁で、ご飯にかかっているのは琉球の残り汁です。
メニューにご飯があることは分かっていたのでかけて食べたかったのですが行儀が悪いかなと思って下げてもらったのですが、若い店員さんがそれを持っていくのを別の店員さんが止めて「是非ご飯にかけて食べてください」とのことでしたので、それが王道なのでしょうから遠慮なくかけさせてもらいました。
鍋で最後にご飯をいれるのと同じでいろいろな味がしみ出ただし汁が白ご飯にぴったりで、これだけでおかずは不要なぐらいです。
だんご汁は熊本で食べただご汁と似たようなもので、ごぼうに人参、椎茸にネギなどが入った味噌仕立ての豚汁のようなものに平ったい麺が鎮座をしています。
最初はそのまま、途中からかぼすを搾ってとの店員さんのアドバイスに従って二種類の味を楽しみましたが、自分としてはかぼすは余計だったかもしれません。
豚汁定食、あるいはラーメンライスと同じでバランスは悪いかもしれませんが、だんご汁定食は充分にありでしょう。

二日目の昼は小倉駅の立ち食いそば屋で食べたかしわうどんで、福岡では代表的なうどんでメニューのトップにありました。
甘辛く煮た鶏肉が大量に入っていて、これで400円ですから是非とも東京や千葉にも進出をして欲しいぐらいです。
鶏肉が大好き人間ということもありますが立ち食いでこれですから、普通の店でも食べてみたいと思わせる逸品でした。
中津では中津からあげですが、これはちょっと肩すかしでした。
中津の名物として代表的なファーストフード、学生が気軽に食べているなんて情報を事前に調べていたので簡単に食べられると思っていたのですが、扱っている店の大半が飲み屋のメニューで昼間に食べられる店は数えるほどで探すのに苦労をしました。
ぶんごやはからあげグランプリで金賞を連続受賞した有名な店ですが基本的には肉屋さんで、グラム売りで揚げてもらうのですから聞くと見るのとでは大違いです。
揚げたての唐揚げは美味しかったですが、しかしただの唐揚げでしかありませんでした。
前日の豊後牛が頼りなかったのと、ホテルに帰ってパ・リーグTVを観たかったので、同じ店で買ったのが極上豊後牛ステーキ弁当です。
レアな焼きっぷりながらも食べ応えは充分で、大分県人は塩っ辛いのが好きなのかこれまた塩こしょうが強すぎましたが、まずまず美味しかったです。
ただ不愉快だったのが店員の対応で、注文をしてから焼き始めるのですが途中で調理人の知り合いが店に来たことで喋りながらの調理は不衛生でしたし、さらには他人の商品をレジで蓋を開けて写真を撮らせるという信じられない暴挙をやらかしてくれました。
時間がなかったので渋々受け取ってきましたが、そうでなければキャンセルをしたところです。
もう絶対にこの店では買い物はしません。
三日目の昼は佐伯駅で柿の葉ずしを食べたのですが、これがリサーチ不足でした。
そのラベルを見てすっかりと佐伯の名物かと思っていたのですが、帰ってきてから調べてみれば奈良や和歌山、あるいは石川の郷土料理とのことです。
大分の柿の葉を使っているらしいのですが大失敗で、まあこんなこともあります。
言うなればただの押し寿司でさば、さけ、あなごの詰め合わせだったのですが、さけが2個であなごが1個のバランスの悪いブラインドシステムもかなり不満でした。
夜は臼杵での夜ご飯で、わざわざこれがために臼杵をこの日の最後に持ってきました。
臼杵の郷土料理などを単品で頼んだのですが結果的には定食のようになり、トップの写真がそれになります。
黄飯はクチナシの実を砕いて染まった水で炊いたご飯で、大友宗麟がパエリアを真似たとも言われている臼杵の郷土料理です。
これといった味はしませんでしたが赤飯のようにお祝い事のときに食べられるとのことで、しかし最近はあまりメニューに入れている店は少ないようで探すが大変でした。
きらすまめしも同じく臼杵の郷土料理で、下味のついた刺身におからをまぶしたものです。
ご飯のおかずというよりは酒のつまみに合いそうで、帰りの電車のことを考えてノンアルコールだったのが残念でした。
小倉でハモを食べる時間がなかったので、その代わりの黒ハモ唐揚げです。
お店の人の説明ではいわゆるハモとは別の種類らしいのですが、自分の中ではハモで整理をしました。
かなり淡泊な味わいの白身魚で、かぼすを搾ってかけるとやはり酒が飲みたくなりました。
黒〆味噌汁はドロッとした食感でとろろ昆布を思い出しましたが、豊後水道の黒〆は大分の沿岸部では代表的な食材とのことです。
四日目の大分は大雨だったために昼はコンビニで軽く済ませて、夜は初日の大分の郷土料理が美味しかったのでコース料理のリターンズです。
珍しくもメニューに日本酒があったので久しぶりに頼みましたが、鷹来屋は辛口が好きな自分にはちょっと甘かったです。
気を取り直しての麦焼酎は西の星で、そろそろロックで飲むことも考えた方がよいかなと思わせた一品でした。
ちなみに自分の中では超メジャーな焼酎であるいいちこと二階堂は、大分の酒造メーカーだということをこの店で初めて知りました。
いいちこなどは下町のナポレオンなんて言われているので勝手に東京のものと思っていたのですが、ちょっとビックリです。
まずは泳ぎあじ刺身と泳ぎさば琉球で、関あじでも関さばでもないのですが、やはり刺身は日本人のDNAに訴えかけます。
泳ぎって何よと思ったのですが、目の前のいけすで泳いでいるのが理由なのでしょう。
歳をとったこともあってか嗜好は肉よりもすっかりと魚で、身の締まったぷりぷり感がたまりません。
琉球は前の店の方が濃厚さがあって絶品だったのですが、こちらもご飯を頼みたくなる美味しさでした。
とり天はやはりさくさく感が絶妙で、これは一日でも早く全国区になって欲しいです。
自分の中では唐揚げよりも竜田揚げなのですが、とり天はその竜田揚げに肩を並べました。
ふぐの唐揚げは言われればそうなのといった感じの白身魚の唐揚げで、これといった味はありません。
学生のときに奮発をして下関で食べたふぐ刺しも今ひとつでしたし、きっと人間が安上がりにできているのでしょう。
締めはじゃこ飯とやせうま、そしてだんご汁です。
じゃこ飯はじゃこが申し訳程度に入っているだけで食感が楽しめず、付け合わせの漬物の方がポリポリとした歯ごたえがあって美味しかったです。
やせうまはきな粉餅のようなもので、だんご汁に入っている平ったい麺と同じものにきな粉がまぶされています。
基本的にはお菓子ですので、デザートと考えればよいのかもしれません。
平安時代に都から豊後に落ちてきた幼君に乳母である八瀬が作ってあげたのがこのお菓子で、幼君が「八瀬、うま(まんま)」と言ったことからついた名前と言われています。
だんご汁は前の店や熊本のものとは具がかなり違い、鶏肉や白菜、油揚げやじゃがいもが入っていました。
最終日は大分空港でこれといったものが見当たらなかったために、杵築で昼に食べたサンドイッチが結果的に最後のグルメとなりました。
都城の焼き肉三昧や日南のカツオのたたきと同じように杵築でもニューグルメを志向しているようで、「きつきど~んと丼」と「きつきサンド」と銘打って展開をしています。
しかし都城や日南のそれとは違って限りなく縛りは緩く、どんぶりもの、あるいはサンドイッチであれば何でもありのようです。
牛とぐらっとくるサンドはグラタンが挟まれた厚切りのトーストサンドの上に杵築牛の焼肉が乗っており、シャレにならないぐらいのボリュームがありました。
レタスが一枚物ですのでかじるとそれに引きずられて焼肉とプチトマトがこぼれ落ちるという構図で、その食べづらさはビッグマックの比ではありません。
両手と口の周りをべたべたにしながら食べたのですが、カリカリに焼いた牛肉の濃厚さとホワイト&ピザソースのハーモニー、そしてサッパリとしたレタスとトマトのバランスが素晴らしく、是非とも杵築に行かれた際にはお試しあれと、自信を持ってお奨めします。
【2012年6月 大分の旅】
雨と城の大分
雨と城の大分 旅程篇
雨と城の大分 旅情篇
雨と城の大分 史跡巡り篇 竹田の巻
雨と城の大分 史跡巡り篇 小倉、中津の巻
雨と城の大分 史跡巡り篇 津久見、佐伯、臼杵の巻
雨と城の大分 史跡巡り篇 大分の巻
雨と城の大分 史跡巡り篇 暘谷、杵築の巻
雨と城の大分 スイーツ篇
雨と城の大分 おみやげ篇