ずぶずぶな3連戦は、辛うじて2勝1敗で勝ち越すことができました。
どうやら5時間42分はリーグ史上最長試合時間とのことで、3試合で13時間26分の長丁場を乗りきった両チームのベンチ、選手、そして球場に足を運ばれたファンの方々には、心からお疲れ様でしたとの言葉を贈りたいと思います。
ただ西武鉄道の配慮で臨時列車の手配までしてもらったにも関わらず、試合終了がその列車の発車時刻でしたので、ちょっと帰路が心配ではあります。
その乱戦を締めくくったのが、プロ初セーブをマークした内でした。
1点差の一死満塁という緊迫した場面での登板となりましたが、見事にピンチを切り抜けました。
ここまで気の弱さを見せて失点を重ねていただけに、今日のピッチングには狂喜乱舞をしています。
栗山の4球目に落ちるボールがショートバウンドをしたにも関わらず、田中雅のサインに4度も首を振って得意の縦のスライダーを投げ込んだ自我の強さは、守護神には絶対に必要な資質ですので、やはり内には守護神を目指してもらいたいです。
その栗山を三振に切って取ったときに気合いがほとばしっていましたので、ひとつの壁を乗り越えてくれたのではないかと思います。
ベンチとしては川崎が持ちこたえられずに仕方がなく内を起用したのでしょうが、今日のピッチングを見て内への評価が変わったと思いますし、変わらなければ嘘です。
またそのベンチの気持ちを動かすためにも、内には次の登板でもきっちりとした結果を残す必要があります。
ようやく遅れてきた逸材が前に足を踏み出したことで、伊藤との守護神争いの幕が切って落とされました。
投のヒーローは内ですが、打のヒーローは西岡と大松です。
西岡は4安打3四球と7打席の全てに出塁をしましたし、右に左にと素晴らしいバッティングでした。
しかしそれ以上に凄かったのが守備で、三遊間の深い当たりの、しかも難しいバウンドをすくい上げてのジャンピングスローや、二遊間を抜けていこうとする速い球足の、こちらもバウンドが変わった打球を見事なグラブ捌きで処理をするなど、身体能力の高さを見せつけてくれました。
後者はバーナムJr.のショートバウンドを拾った守備も見逃せませんが、とにかく「これぞ西岡」といったプレーがてんこ盛りで、大松の打球に判断よくスタートを切った走塁感も見事でしたし、今日は走攻守に満点の西岡でした。
そうなるとどうして天は西岡に二物を与えなかったのかと、ひ弱な体幹が嘆かわしくもなりますが、それを含めて愛さなければならないのが西岡なのでしょう。
西武ドームで西口と言えば大松ですが、今日も西口からしっかりとタイムリーを放つなど4安打5打点で、第2ステージに突入をしたようです。
三井から放ったホームランは左腕を苦にしないことをアピールできたでしょうし、あの場面で竹原が出てくるのではと思っていただけに、我慢をしたベンチを評価したいと思います。
外角低めに落ちていくボールを上手くバットに乗せて運んだ技術は福浦ばりでしたし、前半戦の不調が大松を成長させる糧になったようで、やはり人は苦難を経ることで伸びるものであり、その壁を乗り越えた先には輝かしい未来があります。
終わってみれば昨年の24本を越えるホームランを打っていたという、そんなシーズンになってくれればと思います。
田中雅もいい経験をしました。
ここまで打数は少ないもののドカベンばりに8割の打率を誇った打撃は結果が出ませんでしたが、いつもどおりの「何とかしなければ」という姿勢は見て取れました。
また捕手として厳しい4イニングを守りきったことは、田中雅にとっては非常に大きな経験になったはずです。
こちらも内と同様に棚からぼた餅といった出番ではあったのですが、リードでも何とかしたいというガッツが溢れていました。
キャッチングはミットが動きすぎて今ひとつでしたが、課題のフットワークは改善をされているようで、バウンドをした全てのボールをきっちりと体で止めていたことは収穫です。
内野手として勝負をかけた方がよいようにも思いますが、PL学園から近大と修羅場を経験してきた田中雅の捕手力をベンチが今後にどう使い込むのか、興味を引くところです。
ずぶずぶな試合でしたので、もちろん悪いところも目立ちました。
渡辺俊は立ち上がりは順調だったものの、中盤にあっさりと捕まって6回で事実上のKOとなりました。
どうもロッテの先発陣は中6日以上の100球前後と甘やかされてきたせいか、スタミナ不足で中盤にガス欠をするケースが目立ちます。
キャンプでの投球数の制限なども影響をしているのでしょうが、ここのところは故障者が出ていないこととのトレードオフなのかもしれないので難しい問題ではあるのですが、歯がゆい思いがあるのが正直なところです。
登板間隔が空いているのですから、せめて120球ぐらいは自分の力を落とさないレベルで投げられるようなピッチングができる指導を、次の内閣にはお願いしたいところです。
中継ぎ陣のボールが総じて高かったのも、そんな単純な話ではないことは分かってはいますが、走り込みが足りないことによる上半身任せのピッチングが理由ではないかと、そう思いたくなるぐらいに今日は上ずったボールが目立ちました。
荻野と伊藤はまさにそんな感じで、コントロールがままならなかったのも下半身を使い切れていないからではないかと、そんな安直な考えに走りたくもなります。
特に伊藤は被弾が目立ち始めてきましたし、いくら何でもストレートとスライダーだけでは抑えるのは難しいので、封印をしているらしいシュートを使うべきだと考えます。
ベンチも野手を総動員するなど、今日も迷走の采配でした。
バントを何度も失敗をしてきっちりと決められない今江にも問題があるのですが、あの1球毎に変わるサインには辟易としますし、交流戦でもあるまいし投手を打線に組み込んだ戦いなどは見たくもありません。
ベニーにバントをさせることは諸手を挙げて賛成をしますが、それであれば事前の準備が必要で、練習もさせずにバントのサインを出すなどとは野球を舐めています。
5番のサブローを同点の場面で交代をさせるなど、バレンタイン監督の暴走を止めることができるスタッフはいないのかと、今さらながら頭が痛くなります。
まあ両チームともあっさりと先頭打者を歩かせたかと思ったら、バントを簡単に失敗をする始末で、今の順位に相応しい泥仕合であったというのが正しい評価なのかもしれません。
その泥仕合をホームランの出やすい球場が後押しをしたことで、スリリングな試合展開で面白かったことは確かですが、こんな試合をやっているようではCSは縁遠いでしょう。
とは言え3連勝をできたかもしれませんが、逆に3連敗だったかもしれないところを勝ち越しをしたわけですから、そのことを素直に喜ぶことにします。
ドラフト当日に私が一番期待をしていると言い放った上野が、その期待通りにルーキーの先陣を切って1軍に登録をされました。
川崎が降板をした際には内か上野かとドキドキとしましたが、さすがにあの場面でプロ初登板をさせるほどの勇気はベンチにはなかったようです。
しかしこの3連戦で中継ぎ陣はフル回転をしたために、明日からのオリックスとの3連戦で出番があることは間違いないでしょう。
スマイル上野の名に恥じないような笑みが炸裂をするような、そんな登板になることを期待します。
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西武 |
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◆7月2日(木) 西武-千葉ロッテ12回戦(ロッテ8勝4敗、18時、西武ドーム、11,156人) ▽勝 川崎 28試合1勝 ▽S 内 4試合1S ▽敗 山本淳 3試合1敗 ▽本塁打 西岡6号(西口)、銀仁朗3号(渡辺俊)、中村25号(渡辺俊)、大松10号(三井)、中島12号(伊藤)
▽バッテリー 千葉ロッテ 渡辺俊、荻野、伊藤、シコースキー、川崎、内―里崎、橋本将、田中雅 西武 西口、三井、大沼、岩崎、星野、小野寺、山本淳―銀仁朗、野田
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