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大戦国志 |
副題に「道三の遺書」とありますが、実子義龍に討ち取られた斎藤道三が遺した「美濃譲り状」を受けた武将の戦いを描いています。
「美濃譲り状」は道三が織田信長に対して遺したと言われていますが、信長の美濃侵攻を大義づける偽書というのが通説のようです。
この作品では織田信長、明智光秀、竹中半兵衛の3人に譲り状が遺されたとし、竹中半兵衛を中心に物語は進んでいきます。
と言いますか、副題にもなった「遺書」が物語の中でキーポイントになると思いきや、たまに出てくるだけで肩すかしです。
おそらく当初は信長・光秀・半兵衛の3人を中心にした3者3様の葛藤を描くつもりだったのでしょうが、いつの間にか半兵衛が中心の物語となり、光秀に至ってはほとんど出番がないという消化不良の展開となっています。
木下藤吉郎は道三配下の忍びであった、など斬新な設定もありますし、うまくストーリー展開できれば素晴らしい作品になったと思うのですが、最後の最後にでてきた長尾景虎の役所も意味不明ですし、なぜ桶狭間の合戦が中心で、しかもそこで話が終わってしまうかも理解不能です。
続編があれば景虎配下となった光秀の活躍もあるでしょうし、ここで終わってしまうのは非常に残念です。
才能のある作家であることは感じることのできた作品ですので、是非とも続編を執筆してくれることを期待します。
2007年8月3日 読破 ★★★☆☆(3点)







