オリオン村(跡地)

千葉ロッテと日本史好きの千葉県民のブログです
since 2007.4.16
写真など一切の転用、転載を禁止します

朝の霧

2016-01-08 00:04:30 | 読書録

朝の霧

文藝春秋

このアイテムの詳細を見る

波川清宗、あるいは波川玄蕃、と聞いてピンとくる方はほとんどいないのではないかと、そんな土佐の国衆である波川清宗が主人公です。
あるいは清宗とその家族、妻の養甫と子どもたちのストーリーでもあります。
長宗我部氏に仕えた武将、ということで飛びついたのですが、しかし案に相違をした内容ではありました。

武勇に長け、民心に通ずる清宗は主人公ですので当然の颯爽ぶりで、無益な殺生を好まない、この時代からすれば異質な存在として、そして部下や民衆から慕われています。
元親の妹である養甫との睦まじさ、息子や娘との血の通った繋がり、ほのぼのとさえします。
ただ悪役となる元親を短気で嫉妬深く、また猜疑心の強い狭量に描いているのはそれはそれで構いませんし、香宗我部親泰が凡庸で家臣に支えられる存在でしかないのも我慢をするとしても、大野直昌などの記述は時代考証を疎かに、あるいは無視をしすぎているようで残念ではありました。
長宗我部フリークということもあり面白くない展開だったこともありますが、何を言いたかったのかも今一つ分からず、今も残る波川玄蕃城への思い入れも尻切れトンボで、また各章を最後まで描ききらずに終えたのは余韻をもたらして読み手に考えさせる効果はあったにせよ、しかし中途半端さも否めません。
残るものがあまり無かった、が正直な感想です。


2016年1月7日 読破 ★★★☆☆(3点)


ブログランキング・にほんブログ村へ
明日への活力にクリック応援をお願いします。

この記事についてブログを書く
« 2015年通信簿 55 白嗟承 | トップ | 2015年通信簿 56 チャッド... »