goo blog サービス終了のお知らせ 

オリオン村(跡地)

千葉ロッテと日本史好きの千葉県民のブログです
since 2007.4.16
写真など一切の転用、転載を禁止します

王になろうとした男

2016-12-30 00:03:31 | 読書録

王になろうとした男

文藝春秋

このアイテムの詳細を見る

伊東潤の短編集です。
北条氏を中心とした関東の武将を取り上げることが多いのですが、しかし今回は織田氏です。
それでもあまりメジャーではない渋いところを引っ張りだしてくるのはさすがと言いますか、伊東潤はこれでなきゃ!といった感じでしょう。
逸話などがあまり多くないことでそれだけ作者の腕の見せどころ、今作もたっぷりと楽しませてもらいました。

毛利新介、塙直政、荒木村重、津田信澄、そして彌介と、思わずニヤリ、といった顔ぶれです。
桶狭間で今川義元の首を取ったのが毛利新介、一時は柴田勝家と肩を並べるまでになった塙直政は原田直政の方が通りがよいかもしれず、叛乱を起こしたのは荒木村重、津田信澄は信長の甥で明智光秀の女婿だったために本能寺の変のどさくさで謀殺され、黒人奴隷から信長に取り立てられた彌介はやはり本能寺の変での奮闘を最期に姿を消しました。
これらの人物の半生を描くのではなくテーマは野心、距離を置く者、取り込まれて自滅する者、ふと気がついて冷静さを取り戻す者、夢を追い求める者など、切り口は新鮮です。
中川清秀、万見仙千代、あるいは本能寺の変での丹羽長秀、村井貞勝など登場人物の関わり合いもなかなかに面白く、これはお薦めです。


2016年12月27日 読破 ★★★★☆(4点)


ブログランキング・にほんブログ村へ
一日一クリック応援をお願いします。

この記事についてブログを書く
« 2016年通信簿 48 宮崎敦次 | トップ | 2016年通信簿 49 陳冠宇 »