無双の花 |
本多忠勝と並び称されて、豊臣秀吉にも「その忠義、鎮西一。その剛勇、また鎮西一。」と評価をされた、立花宗茂が主人公です。
大友氏の家臣として北上をする島津氏に抗したところまでを前半生とすれば、この作品は後半生で関ヶ原にて敗れて帰国をするところからの生き様を描いています。
関ヶ原で西軍に与して改易をされながらもその後に旧領に復帰をした唯一の武将であり、立花の義、正室との心の繋がり、なかなかにてんこ盛りでした。
ただ残念ながら、あまりに小ぎれいに過ぎたように思います。
帰国後の柳川城での攻防で一敗地に塗れましたが宗茂は出陣をしておらず、その後の大坂の陣、島原の乱でも槍働きの勇壮さはありません。
それはそれで大名としてはむしろ当然ではあるのですが、その全てがあまりに潔く、人間味に欠いているとでも言いますか、聖人君子の域で身近に感じられないのがもどかしいです。
その出処進退があまりに見事すぎてどこか嘘っぽく、もう少し泥臭さがあってよかったようにも思います。
いわゆる史実と言いますか、有名な逸話は漏れずに挿入をされていますし、最近に見直しが進んでいる正室、立花道雪(実際は北条早雲と同じく立花を名乗ったことはないとのことですが)の娘との関係や、継室、継々室との人間関係を上手くまとめるあたりはさすがだっただけに多少は隙が欲しかったかなと、凡人には窮屈さが否めません。
長宗我部盛親や真田信繁との挿話などは縦横無尽に筆をふるっただけに、作中の徳川家康の言葉とは裏腹に画竜点睛を欠いた宗茂でした。
2016年1月28日 読破 ★★★☆☆(3点)
波乱万丈の人生や文武両道っぷり、伊達政宗や真田幸村らと同級生という若さ、幅広い交友関係に恵まれた部下。それに何と言っても嫁誾千代に実父紹運、義父道雪といったキャラの強い肉親。
オリオンさんがおっしゃるように伝承が多少盛られすぎな感はあります。ですがもっと取り上げられて欲しいですし、これほど大河に恵まれた素材はないと思います。やはり島津義弘同様、朝鮮出兵で活躍しすぎたのがネックですね。
ただ今の大河スタッフが手を加えると碌でもない作品が生まれそうなので、逆に手付かずの方が幸せな気もします。(笑)
この作品でもそこを取り上げていて、そうなんだ、と思った次第です。
政宗と同じく宗茂も10年早く生まれていたら、だったのか、そういった歴史のifは妄想が広がります。
でも政宗と同じく宗茂も信長の野望とかでなかなか出てこないんですよね、若すぎて(笑)
朝鮮出兵での活躍はそのまま描けばよいかなぁ、事実は事実、それを言い出したら韓流ドラマなんかは成立しないでしょうし。