夏草に。
同じものを見ても、同じ本を読んでも、同じ出来事に遭遇しても、ひとそれぞれによって感じ取り方がちがう。
ひとひとりのこころの空白が、何かを反映して染まってゆくとき、どう動いてゆくのか、他者には、たぶんわからない。
もどかしさとおもしろさ。
わたしにはおひとに対して余計な詮索癖がない。
自分では美点だと思う。あらさがしはきらいだ。
人生はさまざまに思い煩うには短すぎるから、よぶんなことは考えない。
いやになったら、自分からさりげなく消えることにしている。
見たくないものは見ないほうがいい。
中城ふみ子さんの歌についての葛原妙子さんの論評、的確でするどい。そうして無駄がない。りっぱな文章をお書きになる歌人だったと思う。
葛原さんの文体、「男性的」とも感じるくらい、きちっとしている。