市の星月夜日記

織江市の短歌、エッセイ

柩より薄明光(て)りぬかりそめの薔薇ゆゑ麝香も寝台(ねだい)に揺れる

2008-06-11 18:10:23 | Weblog
    “薔薇”

 
  すがれたる薔薇(さうび)をまきておくるこそふさはしからむ恋の逮夜は

  香料をふりそゝぎたるふし床より恋の柩にしくものはなし

  にほひよき絹の小枕(クツサン)薔薇色の羽ねぶとんもてきづかれし墓

  夜あくれば行路の人となりぬべきわれらぞさはな泣きそ女よ

  其夜より娼婦の如くなまめける人となりしをいとふのみかは

  わが足に膏(あぶら)そゝがむ人もがなそを黒髪にぬぐふ子もがな(寺院にて三首)

  ほのぐらきわがたましひの黄昏をかすかにともる黄蝋もあり

  うなだれて白夜の市をあゆむ時聖金曜の鐘のなる時

  ほのかなる麝香(じやかう)の風のわれにふく紅燈集の中の国より

  かりそめの涙なれどもよりそひて泣けばぞ恋のごとくかなしき

  うす黄なる寝台の幕のものうくもゆらげるまゝに秋は来にけむ

  薔薇よさはにほひな出でそあかつきの薄らあかりに泣く女あり



 JINMOさんのブログ日記から。


 芥川龍之介の短歌群を、引用させていただきました。

 初めて知った。

 濃艶な歌。岡本かの子と親交があったそうだけれど、このデカダンス、情感、独得。小説とおなじく、どこか病的だけれど、それが魅力でもある。


 彼の歌をまとめて読んでみたくなりました。


 知らせてくれてありがとう、JINMOさん。

 彼のブログには彼の凄みのある返歌。そちらはご遠慮いたします。

 好奇心を動かされた方、覗いてください。

 直接お話する御本人は、やさしくて礼儀正しくってナイーブなかたと思います。


 表現はすごいけど(ゴメン

 
 つられてわたしも、つい詠いたくなった。

 わたしはあんまりデカダンスには詠えないタイプと想うけれど。


 エドガー・ポーの「リジイア」ふうに。





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3 コメント

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龍歌 (JINMO)
2008-06-11 19:44:44
芥川龍之介の作品は著作権保護期間が終了しておりますので、全作品が青空文庫で自由に読むことができます。
あまり知られておりませんが、彼は結構な数の短歌、俳句を残しております。

彼の歌は以下のURLにあります。

http://www.isis.ne.jp/mnn/senya/senya0931.html

また、松岡正剛氏が“侏儒の言葉”について書かれた文章中で、芥川の歌に触れ、
『きっと50歳をこえた芥川がいたとしたら、日本の俳諧や短歌を塗り替えたのではあるまいか。』
と、述べられています。
私も同感です。

http://www.isis.ne.jp/mnn/senya/senya0931.html

当方ブログへの御立ち寄りと御紹介、たいへん嬉しいです。
ありがとうございます。
返信する
訂正 (JINMO)
2008-06-11 19:46:07
青空文庫のURLが違っておりました。
訂正いたします。

http://www.aozora.gr.jp/cards/000879/files/178_14584.html
返信する
こんばんは (雪香)
2008-06-11 22:15:32
いつもながら、カゲキなサイトですね

青空文庫ですか。時間のあるときに覗いてみますね。

芥川龍之介の俳句はすこし知っていますが、短歌は初めてでした。

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